2020年5月映画感想文 ゴッドファーザーⅠ/真珠の耳飾りの少女/帰ってきたヒトラー/ヒックとドラゴン/王様の剣/きつねと猟犬/銀河ヒッチハイク・ガイド

Twitterで既にスクショであげた映画感想文をちょこっと水増ししてこちらに転記しました。

ゴッドファーザー PARTⅠ

原題 :The Godfather
製作年:1975年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月5日
鑑賞方法:テレビ録画

私は長い映画が苦手です。DVD借りる時はパッケージひっくり返して上映時間をいつも確認しています。2時間半を超えていたらそっと棚に戻します。
だから本作を観返すのにも、ものすごい気合いが必要だった。昔DVDで観た時は完全に集中力を切らしちゃって、自動車爆発とトップメニューのインパクトしか記憶に残らなかった。
新型コロナ禍でどこにも行けないゴールデンウィークでもなければ二度と観返さないだろお前!!と自分に喝を入れて、録画を再生。

だけど実際に観てみたら最初から最後まで引き込まれるシーンしか無かった。お昼のパスタ食べたり皿洗ったりと休憩は挟んだけど、それでも約3時間があっという間に過ぎていった。
いやマジで、ゴッドファーザー、こんなに面白かったっけ? 初見時にのめり込めなかった理由がさっぱりわからないな?? 当時の私の感性と集中力はゴミ以下か?

まず、177分の中に一切の無駄がない。長い映画って大体、ここいらねえだろとか、もっとコンパクトにできるだろって思うシーンがあるものだけど、本作には一切ない。ボリューミーなのに極限まで削ぎ落とされている。
例えば幕開けの結婚式で、コルレオーネファミリーのそれぞれの人柄や家族関係をさっさと紹介。その後すぐにドンの襲撃イベントとマイケルの覚醒で、ついさっきまでカタギだったマイケルの非凡さを見せつけ、この物語の主人公はマイケルなんだと、こいつは只者ではないんだと刷り込ませる。
この展開の速さにびっくりした。177分の中に、山場がそれこそ山のようにあるんだけど、そのどれにもきちんと展開上の意味があって、繋ぎ方が綺麗だから飽きが来ない。物語としての強度・練度・密度が高すぎる。
まあ冷静に観返したら削っても問題ないシーンはあるかもしれないけど。私はこの177分がベストだと思う。普通の青年だったマイケルがどんどん冷酷なマフィアのボスに変貌していく過程に説得力を持たせるなら、これくらいの尺は必要だよ。

そんな息もつかせぬ展開の連続であちこちに布石を打っておき、それらが最後の、虐殺と粛清のクライマックスシーンに収束していくのは、さながら数多の支流が広大な大河へと流れ込んでいくような華麗さ。
生まれたばかりの赤ちゃんに洗礼を施すという神聖な儀式の裏で、裏切り者たちを問答無用で殺していき、おびただしい量の血が流れているおぞましさ。この背徳の同時進行にやられないオタクはいない。

それでもって役者の演技がぜんぜん大味じゃないからこの映画はとんでもねえんだわ。
家族への温かさと冷酷さを併せ持つドンことマーロン・ブランドと、最初はマフィア関係ない青年だったのにどんどん裏社会のボスの風格を纏っていくマイケルことアル・パチーノ。気迫と繊細さを併せ持つ名俳優の名演技に、完全に呑まれてしまった。洋画を観る時はそんなに俳優の演技を気にしない(というか演技の善し悪しが判断できない)(外国語だと棒読みとかよくわからんし)けど、そんな感度ゼロのポンコツな私ですら、この二人を見てると、名演技だ……と心奪われてしまった。雰囲気と存在感が、今まで観てきたどの映画の、どんな俳優よりも別格だった。

特にマイケル覚醒の際、椅子に肘をついて腰掛け、兄弟や部下たちに語りかけるシーンは、テレビの前でフリーズしてしまった。あれは一生忘れられない。たとえ忘れられなかったとしても何度でも観たい。
ドンはソニーの死を知って悲しむシーンと、庭で孫と遊んでいるシーンが好き。後者は特に好き。ぷつりと糸が切れたようなあっけない最期が無常感にあふれててたまらない。
以前DVDで観た時、きれいな庭の光景だとばかり思っていたトップメニュー画面がまさにその、ドンが死んだシーンの庭だったんだと観賞後に気がついて、愕然としたのをよく覚えている。

頭からケツまで、いっっっっっっっさいの妥協や手抜きや適当さがない。スキがない。不朽の名作と呼ばれるものほど『神は細部に宿る』をきちんと実践しているんだと、徹底的に叩き込まれるような映画だった。
あと長い映画を観る時は無理せず休憩を挟みながらでもいいんだとわかった。

ところでPARTⅡの録画いつ観ようか……上映時間がPARTⅠを超えてて乾いた笑いと共に心が折れたんだよな……。


真珠の耳飾りの少女

原題 :Girl with a Pearl Earring
製作年:2003年
製作国:イギリス
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月6日
鑑賞方法:テレビ録画

寒々しい色調の画面からは、17世紀のオランダ・デルフトの街の冷たい空気が伝わってくる。光の当て方というか、カットごとの光の採り入れ方、陰影の見せ方は、フェルメール作品が持つ雰囲気、空気感をそのまま再現しようとしてるかのようで、いちいち神懸かってる。主演のスカーレット・ヨハンソンは、本編では終始質素なボロ衣装かつほぼノーメイクなのに、そのきれいな画にまったく負けていないどころか、素材のままの美しさが暴力的なまでにほとばしってた。頭巾で隠していた髪が初めてふわりと現れるシーンには撮影班の本気を感じた。当時19歳であの美しさと演技と存在感はすごい。
映像の美しさとスカーレットの美貌だけでだいぶ満腹になってしまって、ストーリーの面白さ云々がわりとどうでも良くなる。

かと言ってストーリーに見所なしだったわけでは決してない。
フェルメールの超有名絵画『真珠の耳飾りの少女』にはモデルを務めた娘がいた、という設定の元、フェルメールとその娘の恋模様を描いた作品。
……という触れ込みだったから、立場の違う二人が芸術を通して少しずつ惹かれ合うピュアラブストーリーなのかなって思ってたんですよ。観るまでは。とんだ見当違いでした。フェルメールのグリートを見る目がヤバ怖いったらなかった。

いや、最初の方はそんなでもなかったんだ。グリートの芸術センスに気がついたフェルメールが、彼女に遠近法や絵具の使い方を手解きして交流しているのは王道だなぁ微笑ましいなぁと思ってたんだ。
だけどフェルメールの彼女への認識が変わっていくにつれて、だんだんと目つきが据わってくるのが、マジで怖い。髪を下ろしたグリートをガン見してるシーンなんてめちゃ怖かった。明らかに狂気が滲んでた。単純な恋愛感情とは違う「芸術家」としての執着、言うなれば冷たい熱情が、あの目つきにはこもってた。

で、一方のグリート→フェルメールは、恐らく作中最大の見せ場、終盤でグリートが真珠の耳飾りを付けるために、耳にピアス穴を開けられる場面。
フェルメールの指先がグリートの(&スカーレットのチャームポイントであるプルップルの)唇に触れた時、彼女は何かを、どストレートに言えばキスを期待するように顔を向ける。本当に少しなんだけど、そのわずかな仕草に熱がこもってる。
でもフェルメールはそれに何も応えずにスッと遠ざかっていく。この一連のシーンがすごく好き。↑のフェルメールとは対になってると思った。

ちなみに追記するとこのピアス穴開けシーン、どちゃどちゃに官能的だった。俗っぽいエロとか、スケベとかを軽く超越して、官能的としか言いようがない神秘的なエロスを醸し出してた。結局エロか。
「穴を開ける」という行為は、見ているとどうしてあんなにもぞくぞくドキドキするんだろうか。少女漫画や乙女ゲームのロマンスシーンでの甘いときめきとは全く違う、痛みと緊張に共鳴する心臓の鼓動に、自分でも少し戸惑ってしまった。

ラブストーリーというよりは、『芸術家を創作にかき立てる一種のリビドーと、それを理解できない妻の激情の犠牲になった少女の物語』だと思った。
絵画の『真珠の耳飾りの少女』における彼女のミステリアスな表情には古来からさまざまな解釈がされてきたけれど、本作の物語があの絵の背景にあったのかもしれないと想像してみると、今まで見えていなかった視点から、また新たな一面を絵画の中の少女に見出せる。そんな映画だった。


帰ってきたヒトラー

原題 :Er ist wieder da
製作年:2015年
製作国:ドイツ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月12日
鑑賞方法:配信(Amazonプライム)

はい名作でした素晴らしい拍手喝采。
取り扱い要注意のやべえ題材を使って、一切日和らず、最後までやり切った、というのがまず最高。こんなの好感しか持てない。
『日和らない』はほんとに大事なことで。こういうのは中途半端が一番の悪手なんだよ。やるなら思いっ切りぶっ飛ばすか、そもそもそんな題材を使わないか、の二択しかない。

現政権への容赦ない皮肉と風刺を交えながら、21世紀の現代社会でどうしても浮いちゃう総統閣下の滑稽さはカラッと笑わされる。
それと同時に、総統閣下が現代においても天性のカリスマを人身掌握術をフルに発揮して人々の心を掴んでいく姿は薄寒い。
ユーモアとスリルが交互にやってくるのでも、並行して進んでいくのでもなく、片方を忘れかけたらもう片方がすかさず侵食してくるみたいな、空気感のバランスが本当にすごい。笑えるところはほんとに笑えるのに、怖いところは空気が瞬時に変わって文字通り身体が凍りつく。緩急うますぎか。
総統が現代のお菓子のビニール袋を開けられないという、細かい描写にも感心した。

特に印象的だったのはユダヤ人のおばあちゃんの「Dass ist Hitler」の台詞。
Er(彼)ではなく、Dass(これ、こいつ)と呼ぶニュアンスの違いを感じ取れた時、学生時代にドイツ語をかじっててよかったと心底思った。コメディからドキュメンタリーに一気に引き戻されたみたいにゾッッッとした。

でも何が一番よかったかと言えば終わり方だよ。これ以上ないくらいに最高だった。
前半であんなに笑わせに来てたのに、アドルフ・ヒトラーという男の恐ろしい本質を、最後の最後で知らしめる。むしろベースはコメディとして進んでいたからこそ、ヒトラーの怪物性、常軌を逸したカリスマ性が際立ってた。あんなに怖い思いをしたのは久しぶりだった。
黒というのは暗闇ではなく、明るい場所でこそ際立つ。

ヒックとドラゴン

原題 :How to Train Your Dragon
製作年:2010年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月17日
鑑賞方法:DVDレンタル

ドリームワークスはほんとにいい仕事をしますね!!!!!!!
マジで欠点が何一つ浮かばない傑作、いや名作だった。強いてケチをつけるならヒックの日本語吹き替えが若干棒っぽかったことくらいかな。それだって映画そのものが悪いわけではないし。日本の配給会社のせいだし。

種族を超えた友情モノとしても、すれ違う親子の和解ドラマとしても、出来が良すぎる。もはや何から褒めたらいいのかわからない。文字を打ってて気がついたけど、これってどちらも「相互理解」だよね。本作のテーマはそれなのか。
ヒックとトゥースが少しずつ距離を縮める過程で、互いに台詞が一言もないの、微笑ましさと緊張感が程よく両立されてて秀逸。話の勢いを途切れさせない、流れるような場面転換もうますぎる。

そしてなんと言っても、ドラゴンが、めちゃくちゃ、かわいい。
最初は色合いがどぎつくていかにも怪物みが溢れたデザインだなと感じたのに、だんだんとそれがカラフルな見た目の愛嬌たっぷりな生き物に見えてくるの。アニメの魔法だと思った。
特にトゥースの猫みたいな仕草はもう、可愛すぎてダメ。無理。ひたすらに可愛い。耳パタパタさせたり、瞳孔が大きくなったり小さくなったり、ハートを撃ち抜かれるというか、もはやガトリング砲を連射されたうえに手榴弾を投げ込まれて大爆発させられたような心地。つらい。かわいい。

それでもって素晴らしいのが、ヒックが足を失うという結末。ヒックのせいで片方の尾羽を失い、自分の力だけで飛べなくなってしまったトゥースが、隻足のヒックを支えて家を出ていく後ろ姿のカットを見た瞬間、私の中で名作認定が下りました。
これで二人は同じ立場になった、としか私は思ってなかったけど、『トゥースを傷つけて飛べなくさせたヒックが罰を受けた』『これで二人は支え合って生きていくしかなくなった』という解釈に膝を打ちました。ドリームワークスはほんとにいい仕事をなさいますね!!(二度目)

相互理解や異種族交流を綺麗事に、単純な感情交錯と歩み寄りのドラマに仕立てず、種族の違う者同士が、同じ道を歩んでいく、共に生きていくことを選ぶのはどういうことなのか。
その答えの一つを真摯に示したドリームワークスに心からの敬意を表する。

さっきからドリームワークスを褒め称えてますが白状するとDW作品はシュレックシリーズくらいしか観たことない……すみません……時間を見つけていずれきちんと他作品も観ます……。


王様の剣

原題 :The Sword in the Stone
製作年:1962年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月25日
鑑賞方法:DVDレンタル

正直お話は雑で薄い。かのアーサー王伝説を題材にして(正確にはアーサー王伝説を題材にした小説を原作にして)よくもまあこんなにパンチに欠けたものができるなと逆に感心する。
ワートは成長系主人公かと思いきや、最後まで王様になることに消極的なまま、誰も抜けなかった剣をあっさりと抜いて、あっさりと王様になるという結末。当時のスタジオではこのプロットに誰も異論なしだったのか??と真剣に疑問。マーリンの特訓や教えとワートの即位につながりがないというか、描写が少ないから気分は今ひとつ盛り上がらない。雌リスに迫られるところはちょっとくどいししつこかった。これはディズニー暗黒期の(悪い意味での)代表作とか言われてもしょうがないわ。

なんだけど。

・オープニングクレジットの古めかしい字体
・分厚く物々しい本が開いて『昔々……』から始まる導入
・なんと言えばいいのかわからないけどいかにも昔の録音技術って感じのアナログっぽい歌と音楽
・やたら生き生きと動く無機物
・ちょっとユーモラスなのにトラウマを植えつけてくる不気味な悪役

と、ディズニー作品で私が好きな要素はあらかた揃っているから勢いよくぶっ叩く気にはなれないっていう。
ストーリー全体はアレだけど、いろんな動物に変身しての修行のシーンや、マーリンとマダムミムの変身対決は視覚的には楽しかったし。アルキメデスかわいいし。

そして記事タイトルにもしてる通り挿入歌のヒギダス・フィギダスがめちゃくちゃ気に入った。良すぎじゃん?? 聞いてるだけでノリノリになれるし、荷物がバッグに詰め込まれていくアニメーションは見てるだけで楽しい。本作の一番の功労者は作詞作曲のシャーマン兄弟だと思う。

というわけで内容の薄さの割に満足度はそこそこ高かった。幼稚園に上がる前からディズニーのVHSを観て育ってディズニーが頭にも身体にも刷り込まれてると、世間的には駄作の部類に入る作品もけっこう楽しく見れちゃうとわかった。良いことなのか悪いことなのか。


きつねと猟犬

原題 :The Fox and the Hound
製作年:1962年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月30日
鑑賞方法:DVDレンタル

かわいい仔ギツネとかわいい仔犬のが映った微笑ましいパッケージとは裏腹の、(ディズニーにしては)ハードな作風にびっくり。
流血こそないけど、初っ端から母親死亡、高所からの転落、仲間死亡、相手の首や耳に本気で噛み付く、巨大熊に吹っ飛ばされて岩に激突、とそれなりに痛々しい描写が多くて、全体的な構成も上げて落としてまた上げて……の繰り返しだから、心臓がキュッと締めつけられつつ見入ってしまう。
普段はわりと愛嬌のあるトッド(狐)がコッパー(猟犬)と対決する時に一気に獰猛な表情に様変わりしたのは少しビビった。あそこの作画すごかったな。
あとクライマックスの、罠にかかりそうになる→二匹の対決→巨大熊襲来という怒濤の展開は、いい歳して結構本気でハラハラしちゃった。

……と、思ってたよりも情緒が乱されまくってしまってなんかちょっと悔しい。
パッケージのせいですっかり油断してたのと、私は人間より動物が痛い目に遭う方がつらくなるタイプだから、相乗効果で普段よりも感受性が過敏になってたのかもしれない。

しかし本作は何より、狩る側と狩られる側の物語を、安易なハッピーエンドにしなかったのがすごく好感が持てる。トッドは守るべき家族(嫁)がいて、コッパーは仕えるべき主人がいるから、昔のように二匹で仲良く同じ場所で遊んで暮らす、という選択肢はないんだよね。好きな終わり方だった。

大切な相手との幼少期の思い出を胸に秘めながら、それぞれ違う道を進んで大人になり、正反対の立場で再会する、という点はなんとなくムーンライトを想起させる。そういうシチュエーションは人間同士だろうが動物同士だろうがめちゃくちゃエモい。

ところでエンドクレジットで入野自由くんの名前を見てぶっ飛んだ。どこで出てたんだ。


銀河ヒッチハイク・ガイド

原題 :The Hitchhiker's Guide to the Galaxy
製作年:2005年
製作国:アメリカ
(映画.comより)
鑑賞日:2020年5月30日
鑑賞方法:配信(ディズニーチャンネル)

ダグラス・アダムスは天才か?????

実写化の失敗例なんて、映画に限らず古今東西に山ほどあるじゃないですか。それこそ挙げたらキリがないくらいじゃないですか。
たとえ原作者がガッツリ関わっててもダメな時はダメになるじゃないですか。具体的に何とは言いませんが。
その点で言うなら、製作途中で亡くなられたとはいえ映画にかなり関わってるダグラス・アダムスは間違いなくセンスの突き抜けた天才だと確信したし、本作の映画スタッフ全員『わかってる』ポイント3億点。

原作から端折った部分も、映画だけのオリジナル要素もかなりあるのに、こんなに面白いの、凄すぎるじゃん。奇跡じゃん。端折りもオリジナル要素も相当うまくやらなきゃダメ作品ルート一直線なのに。奇跡の一言で済ませるのはスタッフキャスト一同に失礼ですね。ごめんなさい。撤回します。

もちろん原作再現度もめちゃくちゃに高すぎる。ヴォゴン人やマーヴィンのデザインも、ゼイフォードの頭と腕の表現も、親指を立てる以外のリアクションができない。なんなら映画版ゼイフォードの造形って原作とはちょっと違ってるのに、見た目が多少変わっても言動や性格がそのまんますぎるから、違和感も何も感じさせない。
この世の不条理をすべてかき集めて乗算して音速で突き抜けるような展開や、冴えまくりのブリティッシュジョークも、ただただひたすらに楽しくて、痛快で、何も考えずに笑い飛ばせる。
アニメ仕立てのガイドのページに合わせて内容を淡々と読み上げるナレーションがまた、要所要所でいい仕事をしているんだ。

原作通りの要素、削った展開、オリジナル、その全部が全部きれいに調和して、単純に一本の映画として面白いから本当にすごい。原作を知らない人は爆笑できるし、原作を知ってても再現度の高さと新鮮さの両方をめいっぱい楽しんで爆笑できる。すごすぎじゃん。(だんだん語彙が尽きてきた)
オープニングのイルカミュージカルで神作の気配を察知した私の勘は正しかった。♪さようなら♪今まで魚をありがとう♪ あのオープニング無限に見ていたいです。

宇宙でヒッチハイクをする羽目になったらタオルを忘れずに持って行こう。Don't Panic(パニクるな)!!



なんか5月は濃い映画ばっかり観てたんだな……。


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