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天秤2-1[短編小説]

 燃える様な太陽がアスファルトを熱している。ゆらりゆらり、何かに揺らぐ僕の心は道端に落ちた小さな言葉につまずき、大きな音を立てて崩れていった。通りすがる者達の顔を占める2つの綺麗な水晶体に僕は心底怯えている。現状維持は衰退だ、と誰かから聞いたことがあったっけ。だとしたら僕は衰退しているのだろう。時間だけは確かに進んでいるというのに。

 心の奥底に眠っている何かしらの熱い気持ち。強気な僕と弱気な僕がゆらゆら揺れている。いつからこんな風に臆病になったんだろうな。唇を開くと出てくる薄い言葉に辟易とする。こんなに弱い僕、よくもそんな言葉を吐き出せるよな。笑っちゃうよ。こんな時も強い自分と弱い自分、2人の自分が牽制しあって、時に話し合いを繰り広げるのだ。

 水に浮いたり、ぬかるみに沈んだり。生きている事に泣いたり、また、生きている事に笑ったり。可愛いあの子と、もっと可愛いあの子で比べたり、才能がピカっと光ったり、同じものが数年後には腐ったりする。そんな人生を歩いたり、走ってみたり、時折そこに僕という主人公が割り込みあの子と比べてみたりする。燦々と照りつける太陽が、アスファルトと、こんな日々でも黙々と歩き続ける僕を燃やす。痛い思いも知らなそうな呑気なあの子と、転んでばかりの僕とを交互に照らし続ける。…いや、僕らが天秤の上に乗っているとしたらどちらか片方が上に上がった時に太陽の光が当たるのだろうか。だとしたら、僕に太陽が当たることはあるのだろうか。
 そんな事を考えていたら涙が溢れてきた。天秤の上で泣いている僕に太陽が当たる日は来るのだろうか。考えれば考えるほど虚しさに苛まれ、僕は天秤の上でひたすら泣いた。


ゆらりゆらりゆらぐ僕の心
道端に落ちた言葉につまずいた
2つの綺麗な水晶体に怯えながら
時間だけは確かに進んでいた

心の奥底に眠る熱い気持ち
いつからこんな風になったんだろな
唇開き出てくる薄い言葉
2人の自分と話し合い

浮いたり沈んだり
泣いたり笑ったり
あの子とあの子で
比べたり
光ったり腐ったり
歩いたり走ったり
僕とあの子で比べたり

燦々と照りつける太陽と
黙々と歩き続ける僕と
痛い思いも知らないあの子と
転んでばかりの僕と
天秤の上で泣いた

天秤/いむいぱぴ子

2次制作短編小説シリーズ第1弾試しにやってみました。楽曲「天秤」1番のみ。次回は2番の歌詞で広げていこうと思います。

過去に、タイトルだけで物語を広げる制作はやったことあるのですが今回は歌詞の言葉を全て入れるという条件付きでやってみました。続けていくならこのくらいの難易度がいいな!

試走運転です。なんか思いついたら色々やっていく!気楽に楽しく!自由に〜!

読んでくれて有難う。
また次回も待ってます👼🏻

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