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福利厚生として不妊治療を取り入れるアメリカ企業が増加中

10月第1週、デジタルヘルスNews

アメリカ最大の雇用主であるWalmart がフェムテックのKindbodyと提携を発表しました。社員とその家族はKindbodyのサービスを受けられるようになります。
ウェアラブルのデータを有効活用しようとする取り組みが多くなっています。不整脈の検知、治験での利用など、多くの取り組みがありますが、Google はGoogle Cloud と Fitbit を連携し、医療機関が早期に異変を検知できるツールを提供開始します。
スタートアップでは、上記と同じ文脈のGeneral Prognosticsがシードラウンドを調達しました。該社は心不全の予後異変をウェアラブルで検知するアルゴリズムの開発しています。

ウォルマート、フェムテックのKindbodyと提携し、従業員向けに不妊治療サービスを提供

ウォルマートは不妊治療のスタートアップであるKindbodyとの提携を発表した。従業員が体外受精を含む不妊治療をKindbodyの全米30以上のクリニックで受けられるようになるという。

ウォルマートの医療保険に加入している社員とその扶養家族は、不妊診断、不妊治療、遺伝子検査、体外受精、子宮内人工授精などのサービスを利用することができるようになる。クリニックでの対面だけでなく、オンライン・在宅でのケアも提供される。

労働力不足に悩む大企業は家族支援手当を拡充し、従業員の養子縁組を支援したり、不妊治療などのサービスを負担するようになってきている。2021年に行われたMecerの調査では、従業員2万人以上の大企業の42%が社員の体外受精費用をサポートしており、2015年の36%に比べて6ポイント上昇している。同様に、2015年には6%だった卵子凍結は2020年には19%に上昇している。

https://www.fiercehealthcare.com/providers/walmart-teams-kindbody-expand-fertility-benefits-us-employees

GoogleとFitbit、病院が活用出来るウェアラブルデータの分析ツールを発表

Google CloudとFitbitは、医療機関がウェアラブルデータを簡単に収集・選別できるソリューションを発表した。Device Connect for Fitbitと名付けられたこのソリューションは、Google傘下のFitbitと同社のクラウド部門が共同で開発している。

Fitbitユーザーがデータ共有に同意していることを前提に、慢性疾患管理、手術前後のケア、臨床研究など、多様なユースケースでFitbitで収集したデータを医療機関に連携することが可能となる。具体的な例として、睡眠トラッキング、心拍数、酸素飽和度モニタリングに加えて、脳卒中を引き起こす可能性のある不整脈の一種も検知し、医師と連携することが出来る。Googleは、これらのデータをすべて同社のクラウドプラットフォームに連携し、分析ツールを提供することで医師が遠隔からモニタリングできるようになるという。

一方で、SSCG MAP MDの調査では医師の半数近く(48.6%)が、患者から提供されたウェアラブルデータを確認したくないと考えており、58.2%が電子カルテにそのデータを保存したくないと回答している。

https://www.fiercehealthcare.com/health-tech/google-fitbit-launch-new-analytics-tools-help-hospitals-use-wearables-data

食品配送のInstacartがヘルスケア部門を立ち上げ

オンライン食料品配送のInstacartは、健康にとって重要要素である食料を配送の観点で社会貢献するべく、Instacart Health を立ち上げた。すべての消費者が健康的な食品を購入できるようデジタルツールやプログラムを追加していくという。非営利組織、病院、保険会社、企業などと提携し、会員や顧客が栄養面でより良い選択ができるよう支援していく。

具体的には、Care Cartsや Health Tagsからサービスを展開していく。

  • Care Carts:手術後の患者、高齢者、在宅患者のような自分で食事を手配することが難しい人々に病院、栄養士、介護者が代わって食品を配達する

  • Health Tags:オンラインショッピングで原材料や栄養情報が参照でき、かつ、「減塩」・「砂糖不使用」・「グルテンフリー」などのラベルも確認可能

GV (Google Ventures)、匂いから病気を嗅ぎ分ける会社設立を目指す

GVに参画したAlex Wiltschkoは、香りをデジタル化する会社をつくりたいと考えている。そのテクノロジーを利用することで、病気の匂いを検知して早期発見できるようになるとAlexは言う。すでに研究によってパーキンソン病の匂いを検知し、早期に診断出来る仕組みが出来そうだと、続ける。より早く病気を発見し、より良い治療法を提供することが将来可能になるかもしれない。

香りをデジタル化し、さらに再現するためのテクノロジーが誕生し始まっている。ニューロテックのスタートアップであるCanaeryは香りを感知するプラットフォームを開発するために、400万ドルのシード資金を調達した。また、同様に香りのデジタル化に取り組むスタートアップのMoodifyは、昨年、P&Gなどから800万ドルの資金調達を完了している。


スタートアップ資金調達

Rippl Care

  • 9/29/2022、シード; $32M

  • VC - Arch Venture Partners, General Catalyst, GV, F-Prime Capital, Mass General Brigham Ventures

  • 高齢者向けのメンタルヘルスケア

  • 電話、オンライン、患者の自宅から24時間365日ケアにアクセス可能

  • 在宅介護やホスピス機関との今後連携していく予定

  • 調達した資金でワシントン拠点の機関とパイロットプロジェクトを予定している

Hume AI

  • 9/29/2022、シード; $3M

  • VC - Northwell Holdings

  • 音声や非言語コミュニケーションから感情を理解するAI

  • 自然言語処理のような単純な語彙の分析ではなく、患者の話す声の調子、リズム、音色、笑い、ため息、あえぎ、顔の表情などの非言語的表現を評価する

  • API形式でエンジンを提供

Kahun

  • 9/29/2022、シード; $8M

  • VC - LocalGlobe, European Innovation Council Fund (EIC Accelerator), Founders Kitchen

  • 問診チャットボット

  • 患者の症状や背景についてチャットボットが質問し、医学文献を利用して希少な病気や緊急の問題を除外していく

  • さらに、医師向けに要約を提供し、追加の質問・確認が必要とする懸念があるか支援する

  • 現在は医学生や研修医の診断スキルの指導と評価に主に使用されている

  • 調達資金を使ってプライマリーケア以外の領域を追加し、テレヘルス企業との連携を検討していく

General Prognostics

  • 9/30/2022、シード; $3.2M

  • VC - Design for Ventures, Pete Moran、ソニーCTOの北野宏明, Masao Hitotsuyanagi(テルモ)

  • 血液バイオマーカーをデジタル化し、臨床予測を改善するAPIを開発する会社

  • 現在は心不全の予後を検知するアルゴリズムを開発中

  • 心不全は、米国では成人620万人が罹患、年間数十万人が死亡、年間推定307億ドルのコストがかかっている。治療を受けている患者でも、33%が90日以内に死亡または再入院している


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