見出し画像

ガンダムSEEDシリーズの魅力②: SEED後半の親子関係

ガンダムSEED FREEDOM 、何回観ても面白い…

さて、前回から引き続き、ガンダムSEEDの魅力の振り返りをしたい。
今回は、親子関係をテーマに振り返る。

ガンダムSEEDの主要なキャラクターであるキラ、アスラン、ラクス、カガリには、それぞれ特徴のある父親がいる。
そして、特別な出自の人物たちが主要なキャラであることは、冒頭には明かされない。
キラの出自は終盤になってようやく明かされるし、アスランが父であるザラ議長と話すシーンは中盤(フリーダム奪還以降)になって初めて描かれ、カガリがオーブ代表の娘であることは中盤以降に明らかになる。
(この点、ラクスだけは例外として、冒頭から「特別な存在」として描かれている。)
そして、それぞれの親子関係が全く異なっていることで、比較しながら、自分と親の関係と投影しながら、観ることができる。

ラクスの父のシーゲルは、そこまで多く語られていないが、娘と仲睦まじくお茶をするなど、娘といい関係を築いていたように思われる。
ラクスがフリーダムをキラに手渡したことも、シーゲルが知らなかったとは思えず、娘の意志を尊重する、懐の広い人物として描かれてもいる。
(語られてこなかった母については、フリーダムで描かれるわけであるが。)

また、カガリの育ての父であるウズミが、立派な人物であることを疑う人は少ないだろう。
バカ娘呼ばわりしながらも、愛情を注ぎ、将来、為政者になるために必要なことを様々な手段で教えてきた。
「思いを継ぐ者なくば、全て終わりぞ。なぜ、それが分からん」
引き継いだカガリは、デスティニーの後半とフリーダムで、為政者としての活躍を見せるわけである。

そんな立派な父を失ったカガリをみながら、自分の父と対話をするために危険を冒し、そして失敗するのがアスランである。
アスランの父パトリックは、強情で意地っ張りであり、最後までナチュラルを滅ぼすという自分の考えを変えることはなかった。
父が犯した罪は、アスランがディスティニーで剣をとるキッカケにもなる。
立派な家族だけではないという、当たり前であるものの目を背けたい事実を、SEEDシリーズは伝えてくる。

キラとカガリの生みの父も、そうした強欲な親の一人といえる。
最高のコーディネーターを作るという目的のためにキラが産まれ、そして母の強い願いにより、カガリが産まれた。
キラやカガリには、父と話す機会すら与えられず、特別な出生という事実だけが残される。

簡単にまとめるだけでも、様々な親子関係が描かれていることが分かる。
自分の親との関係を投影し、共感する人が多い理由もここにあるだろう。

立派な親を持ったと感謝の気持ちを抱くのか、志を異にする親への複雑な気持ちを抱くのか、直接話すことのできない親へのやるせない気持ちを抱くのか……。

いずれにせよ、この作品が面白い理由の一つに、人生と切り離せない親子関係に向き合っていることがあるのは間違いないだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?