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Photo by
lahainanoon
うろこ雲 詩
雲の上で少女が、竜と一緒に踊ってる。
そこにあるもの全てを飲み込む、 な力を求めてる。
雲は、柔らかい。踏んでも踏んでも、跳ね返る。
白い床。雪みたい。それも、処女雪。キレイな床。
竜は彼女を好いている。
この世の何よりも好いている。
今、ここで出会えたキセキを喜び、竜は少女とただ踊る。
長い尻尾を上手にさばき、短い手足を巧みに操り、髭が少女の肌に、触れながら。
少女には夢があった。
叶わなかった夢があった。
踊り子になりたかった。
踊り子になれなかった。
竜には後悔があった。
拭えぬ後悔があった。
竜は、雲の上から少女を見ていて、夢が叶うことを望んでいた。
けれども、少女は夢半ばで死んでしまった。
竜は、少女を救えなかった。
自分は不老不死であるくせに。
少女はここ、雲の上で夢を叶えた。
そして望んだ、壮大な力を。
生きては得られぬ、何かを望んだ。
せっかく雲の上ならば。
せっかく竜と踊るなら。
望むモノみな手に入れて。
ワガママ気ママにふるまいたい。
振る舞いたい。
少女の舞は、鰯雲になりましたとさ。
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