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傷心旅行2 一人芝居 戯曲


データ↑

あらすじ↓

約束の話

本文↓

傷心旅行

舞台の様子
机。椅子。ボストンバック。

佑二は電話をかけている。

「練馬区練馬北小路7の8の9コーポ敷田201です。はい、います。はい、あります。お待ちしています」

佑二は電話を切る

奥に向かって
「電話したよ。来てくれるってさ」
ボストンバックに向かって
「電話したよ。来てくれるってさ」

「コーヒー入れよ」

佑二ははける
佑二はコーヒーを持ってくる

「匂うな」

佑二はコーヒーを机に置く
佑二は窓を開ける
佑二は椅子に座る

奥に向かって
「空気がこもっちゃってたね」
ボストンバックに向かって
「空気がこもっちゃってたね」

佑二はコーヒーを飲む

♪奥から着信音

奥に向かって
「電話が鳴っているよ」
ボストンバックに向かって
「電話が鳴っている」

佑二は奥にスマホを取りに行く
佑二は戻ってくる

奥に向かって
「彼から連絡あったよ」
ボストンバックに向かって
「連絡があったよ」

佑二は椅子に座る

奥に向かって
「そんなに好きだったの」
ボストンバックに向かって
「俺より好きだったの?」

奥に向かって
「同棲を決めた時にさ、約束したよね」
ボストンバック
「約束したよね」

奥に向かって
「まだ一か月もたってないよ」
ボストンバック
「まだ一か月もたってないんだよ」

奥に向かって
「浮気したら殺すって言ったよね?」
ボストンバックを触って
「殺すって言ったよね」

♪着信音が切れる

佑二はコーヒーを飲む
佑二はコーヒーを片付ける

♪台所の音

佑二は戻ってくる

「あ、前の住所を言っちゃってた」

佑二は椅子に座る
佑二はテレビをつける

♪テレビ音

奥に向かって
「箱根だって。懐かしいね」
ボストンバックに向かって
「懐かしいね」

奥に向かって
「初めてだったんだよね、彼女とのお泊りって」
ボストンバックに向かって
「初めてだったんだよね」

「あ、草津」

奥に向かって
「草津、行きたかったね」
ボストンバックに向かって
「草津、行きたかったね。約束したもんね」

「行こうか、草津」

佑二は奥へリュックを取りに行く
佑二は部屋に戻ってきてボストンバックをもって部屋を出る

暗転

明転

「あの、予約してないんですけど泊まれますか?一人、あ、二人でお願いできますか?あの、泊まるのは一人なんですけど。彼女と草津に行こうって約束してたんですけど、亡くなってしまって、できればもろもろ二人分用意してもらえると。もちろんお金は二人分払いますから。おねがいできますか?はい。あ、開いていますか。じゃあ、そこで。へー、部屋に露天風呂もあるんですね。素敵ですね」

ボストンバックに向かって
「素敵だね」

ゆっくり暗転

END

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