錠前 一人芝居 戯曲
こだわりの話
データ↓
本文↓
錠前
玄関
舞台前に扉がある
「来て来て。
明転
♪鍵の音
「この音。この音が嫌いなの。鍵が閉まる音。
♪鍵の音
「正確には、外側から聞く、この音が嫌い。『二度と来るな』って言われているみたいで。そうだね。内側だと安心する音かも。
♪鍵の音
♪鍵の音
「うん。立場で違うね。立っている場所で違うね。なんでって、これから一緒に暮らすんだから、知っておいてもらわないと。私が家を出るときに、君がすぐに。
♪鍵の音
「こうしたら、かなり凹むからね。そして拗ねる。最後に怒る。大喧嘩だよ大喧嘩。関係ない。君が取り合わなくても、大噴火で大激怒だよ。もー、数週間は、口を利かないかもよ。ん?特に無いよ。気がついたら嫌いだった。うん。そう。
♪鍵の音
「折角の機会だし、君の嫌なことも聞こうかな。なんか無い?
間
「はい。帰らない日は連絡をします。他には?
間
「寛容だね、君は。え?あー、私もそれくらいかな。
♪鍵の音
「これくらい。
♪鍵の音
「これくらいだけど、これは本当に嫌い。
♪鍵の音
♪鍵の音
♪鍵の音
♪鍵の音
♪鍵の音
「ハマっちゃった。内側だからかな。あ、君が先に出るときもしないように心がけるよ。もちろん。嫌な気持ちにさせたくないからね。
♪五時の音
「お。五時だ。え?ああ、タバコ。行ってらっしゃい。あ、待って。
私は奥にはける
「牛乳を買ってきて!低脂肪じゃないやつ!行ってらっしゃい!
♪扉の音
私は玄関に戻ってくる
かなりの間
私は覗き穴を見る
私は鍵を閉める
♪鍵の音
暗転
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