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蛙 一人芝居 戯曲

データ↑

あらすじ↓
本質の話。

内容↓

場所はスーパーのバックヤード
舞台には椅子と机とボールペンと菓子パンとポケットティッシュ

店員が退出しようとする

「ごめんなさい、二人で話したいなんて言って。あの、五分とかで良いので。すみません」

店員が退室する
SE 扉の開閉音

「なんか、懐かしいな。覚えてる?俺が小学生の時にさ、万引きして、父さんが来てくれたの」
「父さん、あんぱん、好きだったっけ?お金なかったの?」
「一応、聞くけどさ、何回目なの?初犯?そっか」
「俺が帰省しているときに、何してんだよ。バカじゃないの。息子が、せっかく顔見せたって言うのに」

「俺の気持ちわかった?俺が何で万引きしたか」
「母さんと上手くいってないの?そりゃそうでしょ、俺だって、嫌な気持ちだよ。家族が犯罪したから引き取りに来てなんてさ。しかも、休暇中にだよ」
「俺が言えることじゃないけどさ、寂しいからって、することかよ。相談してくれよ、そんなに息子が頼りないか」
「泣くなよ、情けないな、ほら拭いてよ」

男はポケットティッシュで父の涙を拭く
「今日さ、三人で話そう。飯食ってさ」

「店の人と話してくる」

男は部屋を出る

SE ドアの開閉
SE ドアの開閉

男が帰ってくる

「お待たせ。今回は初犯だし、反省もしているみたいだから、警察には届けないでくれるって。商品は買取だけど。お店の人来るから、ちゃんと謝って帰るよ」

SE ドアの開閉
店員が入ってくる

「あ、今回は本当にすみませんでした。家族として、もう二度とこんなことさせませんので、本当にすみませんでした。はい、料金ですね」

男は財布から商品代を机に置く

「父さんも謝って」

「ありがとうございます」

SE ドアの開閉音
店員が出ていく

「じゃあ、帰ろっか」

SE 扉の開閉音
父さんが出ていく

男は机の上のティッシュとボールペンをポケットに入れる

SE 扉の開閉音
男が出ていく

暗転

END

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