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「幸せ」 一人芝居 戯曲

ゆうきは寝袋の上の遺書を読んでいる

「幸せでした。私の人生は、幸せ、というほかありません。私の死体に、居合わせた、方には申し訳ありません。見ただけ、です。呪いませんし、祟りません。閻魔になって、舌出せ、なんて言いません。閻魔といえば、私はどこへ行くんでしょうか。地獄でしょうか、天国でしょうか。宗教に、従え、ば私は地獄へ行くのでしょうか。自殺、しただけ、なのに。みなは偉そうに、生きろと言いますが、のほほんと生きて、きただけ、の皆様には分からないでしょうね。私は、今まで、冷や汗、をかきながら生きてきました。皆が性悪に見えたのです。人が性悪に見えたのです。そして、みたまえ、鏡を見ると、最も性悪な生き物がいるではないか。自分を棚に上げて、普通に生きて、きただけ、の同種を捕まえて性悪だなんて。でも、ゆえに、私は、幸せ、だったのです。最も性悪なモノが隣にいないからです。隣人が性悪であること以上の、不幸せはないでしょうから。勝手に、しやがれ、とお思いでしょう。勝手にした結果が、これです。死体の隣にあるでしょ、遺書が。みたまえ。私の死体を。どんな顔ですか?嫌われ、モノの死に顔は。身構え、ずに見て欲しい。素直な感想が欲しいから。気構え、せずに見て欲しい。わがままですが。下なめ、ずりでもしてますか?変態ですね。しわがれ、るまで生きてもよかったのですが、もう疲れました。人類のことは、これを読んだあなたに任せます。死体は、開かれ、た所にでも置いておいてください」

ゆうきは寝袋を開ける

ゆうきは寝袋を体で隠す

「見ちゃダメ」

End

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