調理 一人芝居 戯曲

データ↑

あらすじ↓
好きなモノと一緒になりたい、離れたくない。そう強く思う人のお話。

内容↓

調理

カスミはリビングにいる。
上手側が玄関。
下手側がキッチン。

「ごめんね、朝早いのに。折り返させちゃって。うん、びっくりしちゃって、寂しくて。本当に?え、嬉しいけど、大変じゃない?何言ってんの、バカ。ありがとう。じゃあ、ご飯作って待っているね。起きてる。それくらいさせて。待ってるから。じゃあ、お仕事、頑張ってね。行ってらっしゃい」

カスミは電話を置く
カスミはキッチンを向く

「パパ、夜には帰ってくるって。今日まで出張で、お仕事なのに終電で返ってこれるか調べて、帰ってくるんだって。優しいね。すぐに会えるよ、あこちゃん」

💡一瞬暗くなる

カスミはパソコンで調べ物をしている

「火。土。鳥。海洋。樹木」

カスミはメモを取り財布をもって外へ行く

💡一瞬暗くなる

カスミは紙手へはける

カスミは何冊かの本と大きなビニール袋を持って上手から帰ってくる
カスミは本を机の上に置きキッチンに袋を置く
カスミは中華料理の本を読む

💡一瞬暗くなる

📢三分クッキング

「はいはーい」

カスミはキッチンの方から戻ってくる
カスミは電話に出る

「もしもし。あ、お母さん。ごめんね、早朝に電話しちゃって。え、ううん。大したことないんだけどさ。うん。あこが死んじゃって。トシミツさん、出張中で、電話したら折り返してはくれたんだけど、お母さんにも電話しちゃった。うん。え、15歳くらいかな。引き取るときに、保健所の職員さんが、5歳くらいかなって言ってて、それからだいた10年だから。うん、天寿を全うした感じ。朝、いつもだったら散歩に行きたくて机の脚をカリカリやるのに、今朝はそれがなくて。私の方が先に起きちゃって。寝床に行ったら、まだ寝ているなって思って、かわいい寝顔だなって思って、頭撫でたら冷たくて。うん、一通りパニックになった後に、脈とか計ってみたらやっぱり死んでて。うん。そうだといいな。ごめんね、心配かけちゃって。そうだよね。心では、私の中では生きているもんね。お母さんの、そういう考え方、好きだな」

📢タイマーの音

「あ。え、ああ、トシミツさんが今日わざわざ帰ってきてくれるから、ちゃんと料理を作ろうかなって思って。今から、下ごしらえ中。え、子供?まだ結婚もしてないのに、気が早いって。孫?はいはい、早めにいい報告ができるようにしますよ。はい、はーい。お母さん、ありがとう」

カスミはキッチンにはけていく

💡一瞬暗くなる

カスミは居間で寝ている

📢ライン

カスミは出る

「もしもし。トシミツさん?最寄駅着いた?はーい。待っています。夜ごはん?何でしょー。ヒントは白。はーい。気を付けて」

カスミは切る
カスミはキッチンへ行く

「あこちゃん、パパが帰ってきますよ」

📢扉の音

「おかえりなさい」

カスミは料理を持ってくる

「えへへ、いい匂いでしょ」

カスミはキッチンへ行く

「え、ホワイトシチュー?」

カスミはホワイトシチューを持ってくる

「正解。よくわかったね」

カスミはキッチンへ行く

「え、うん。話したとおり早い方がいいかなって思って、私は弔いをしました」

カスミは料理を持ってくる

「おかあさんにも電話しちゃってさ。召し上がれ。え、ううん、トシミツさんには何にも言ってなかったよ。あ。え、いや。孫はまだかーとか」

カスミは席に着く

「え、私は先に食べちゃった」

「食べないの?」

「え?結婚?急にどうしたの?あー、会社に説明しづらかったんだ。私も同じ気持ちだよ。でも、プロポーズは、改めてやってよね」

「あこちゃんがキューピットだね。ありがとう。ずっと一緒だよ」

END

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