ネックレス 一人芝居 戯曲
データ↑
あらすじ↓
前向きな話
本文↓
ネックレス
美羽は部屋着でボサボサの髪の毛で椅子に座っている。
美羽は電話をしている。
「すみません、やはり行けそうにありません。はい。申し訳ありません。たぶん、今、春輝さんの前に行くと、泣き崩れて迷惑がかかると思います。すみません、まだ受け入れられていなくて。ごめんなさい。はい。わかりました。ありがとうございます。はい。指輪ですか。ああ、一緒に焼いてもらって構いません。私が返してもらっても使い道もないですし。売るのも、誰か知らない人の手に渡るが嫌ですし。はい。最後まで、彼と。春輝さんと一緒にしてやってください。はい。すみません、ありがとうございます。あの、納骨までには。春輝さんを墓に見送る時までには受け入れますから。あの、本当にありがとうございます。はい、失礼します」
美羽は電話を切る。
美羽は机の上の写真立てを手に取る。
「受け入れなきゃ」
美羽は机の上の遺書を取り出し椅子に座る。
美羽は遺書を読み始める。
「拝啓って、他人みたい」
読む
「寂しいに決まってる。謝るくらいなら先に死なないでよ、バカ」
読む
「本当に心配性。遺書なんか用意して」
読む
「ありがとう」
読む
美羽は立ち上がり食器棚からノートを取り出す
ノートを読む
「きんぴらごぼう、ほうれん草のお浸し、スムージー。全部野菜」
美羽は椅子に戻りまた遺書を読む
「はいはい、健康に気を付けますよ」
読む
美羽は立ち上がり隣の部屋からTシャツを持ってくる
美羽は机の上でTシャツをたたみ始める
「そんな、畳み方ひとつで変わらないでしょうよ」
茉日は遺書を読みながら小さくなる畳み方を試行錯誤する
「ちゃんとやろうとすると難しい」
試行錯誤
「あー、広がっちゃうな」
試行錯誤
「おー、春輝君、小さく畳めたよ？」
沈黙
美羽は丁寧にTシャツを机の端に置く
美羽はまた遺書を読む
「うるさいな。うるさいって。君が死んだ後に健康も何も。だいたい何で先に死んじゃった奴に健康のことを、ぎゃーぎゃー言われなきゃいけないんだよ。バカ」
沈黙
美羽は立ち上がり部屋から出ていく
📢扉の音
美羽は沢山のビールとタバコを買い帰ってくる
美羽ははビールを飲む
「今日は春輝君が決めてくれた休肝日だけど、ビール飲むから」
一本飲み切る
「一日一本までなんか知りません。何本でも飲んでやるからな」
二本目を開けて飲みながら煙草を開ける
「春輝君会ってから止めた煙草もまた始めてやる」
タバコを吸う
「あー、うまいなー。一周回って健康になりそうだ」
ビールとタバコを楽しむ
「おーい、止めないの？私は今、約束を破ってますよ？私がどんどんと不健康になっていくよ。春輝君が大嫌いな、自分を大切にしない私にどんどん戻っちゃうよ。ねえ、止めてみてよ、止めてよ」
沈黙
「私を抱きしめてよ」
沈黙
美羽は自分の結婚指輪を眺める
「春輝君」
美羽は遺書を読み始める
「幸せになれるわけないだろ、君なしで」
読む
「勝手なこと言わないでよ。君のことを忘れられるわけないでしょ」
読む
「他の人と幸せになってなれないよ」
📢電話
「はい。いえ、どうかしましたか？はい。クローゼットの奥ですか？」
美羽は奥の部屋へ行く
美羽は白い箱を持って部屋に戻ってくる
「誕生日プレゼント。春樹君が。ありがとうございます。はい」
間
「あの。気にかけてくれてありがとうございます。もう他人なのに。いえ、私は何も。むしろ、春輝さんから沢山のモノをもらっていました。そうですか。ありがとうございます。はい、はい。ありがとうございます。わかりました。失礼します」
茉日は箱を開ける
「ネックレス」
美羽は奥の部屋へオシャレ着を取りに行く
美羽はネックレス以外の身支度を整える
美羽は鏡の前でネックレスを締める
「春樹君、似合ってる？」
美羽は振り返る
「春樹君を感じるよ？」
美羽はネックレスで首を絞める
「春樹君」
ネックレスが千切れる
「ひどい。ひどいよ。会いたいんだよ？」
沈黙
美羽はネックレスを拾う
💡暗転
美羽は喪服に着替える
💡明点
美羽は出かける準備をしている
美羽は電話でタクシーを呼ぶ
「行ってきます」
美羽はける
End
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