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完成する頃には 一人芝居 戯曲



データ↑
あらすじ↓
未練の話
本文↓

完成するころには 

机の上には完成間近のパズル
美波とその彼氏の部屋

💡明転FI

美波はパズルのピースを探している

「うん、そうだねわかるわかる。ベッドの下かな?ちゃんと考えているから。やっぱりないなー。あと一ピースで完成なのにな。ごめんね、プレゼントしてくれたのに。でも、ここまではやったんだよ。あ、カーペットって、ひっくり返したっけ?返したか。でも、一応かえしておこう。ごっほごっほ。やっぱりないか。ホコリすごいね。窓開けようか。わかったって、聞いてるから。今日の空はキレイだね。え、曇ってても、ほら、ほの暗くてよくない?ほら、こっち来て」

美波は彼を窓際に連れていく

「別れないよ」

「別れたくない」

「なんでって?私は拓哉のこと、まだ好きだし。拓哉だって私のことき嫌いになったわけじゃないんでしょ?だったらいいじゃん。別れなくてもさ。あ、もしかしたら、箱の中に取り残されていたりして。灯台下暗し的なさ。あー、やっぱりないか」

美波は椅子に座る

「何それ。じゃあ嫌いになったって。納得できるわけないじゃん。拓哉が好きって言ったから付き合ったんだよね。笑顔が好きとか、前向きなのが好きとか、サバサバしているのが好きとか。それで別れるときは、理由が無いって。どうゆうこと?――寒くなってきたね」

美波は窓を閉める
美波は窓に映った自分の顔を見る

「拓哉が言ってくれた私の良さが失われてるよ、拓哉のせいで。笑顔じゃないし。拓哉と別れたら、もう二度とこんなに一緒にいたい人と出会えないんじゃないかなって思っているし。明日から憂鬱な日々が始まるかもって。今、私、超後ろ向きでしょ。未練タラタラだよ、サバサバなんてできないよ」

拓哉は帰ろうとする

「待って。まだ話し終わってないしさ、ほら、このパズル。このパズルが完成するまで待ってよ!せっかく、拓哉がプレゼントしてくれたんだから、二人で完成品を見たくない?いや、私は見たい。だからさ、最後のピース探すの手伝ってよ」

「は?何それ?私がわざと無くしたんじゃないかって思っているの?そそんなわけないじゃん。拓哉からのプレゼントだよ?本気で完成させたいって思っているよ?」

「私の子と信じてくれないんだ。嘘をついてるって思っているんだ。た拓哉からのプレゼントを無くすような人だと思ってるんだ」

美波はパズルをぶちまける

「なんでそんなこと言うの?ひどいよ!」

SE 扉の開閉音

美波はパズルを拾い始める
美波はパズルを拾いきる
美波はパズルを机に置く

「大嫌い」

暗転
明転

美波はパズルを作っている
美波はパズルを完成させる

「あれ、できちゃった」

美波はスマホで写真を撮り拓哉に写真を送る

SE 着信音

「もしもし?うん、完成した。ううん、見つけたとかじゃなくて。できちゃった。ありがとう。あのさ。完成したパズル、見に来ない?」

暗転

END


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