マガジンのカバー画像

戯曲集「いい趣味」

6
戯曲集「いい趣味」
運営しているクリエイター

記事一覧

仲間探し 一人芝居 戯曲

データ↑ あらすじ↓ 趣味の話 本文↓ 仲間探し ♪SNSっぽい音 「私の趣味はSNSで自殺を仄めかすことです。そして、その後ちゃんとアカウントを消すことです。毎回、新しいアカウントを作っては、こんな辛いことがあった、と伏線を張り、どうやって自殺するかを書き、そのアカウントを消します。どのSNSを使っているかって?それは秘密。まあ、新しいアカウントが作りやすいモノですね。ああ、フォロワーとか友達だとかは作りません。ひっそりと、こっそりと、人知れず消えていきます。それ

額縁 一人芝居 戯曲

データ↑ あらすじ↓ 空っぽの話 本文↓ 額縁 みずきは絵を見ながら椅子に座っている 「この絵は、小学6年生の時に描いた、下の子達の絵です」 みずきは絵を体で隠す 「まだですよ。額縁に入れて完成するんですから」 みずきは表を下にして椅子に絵を置く みずきは額縁を手に取る 「初めての挫折は、小学6年生のとき。私は長子で下が二人います。弟と妹です。その時、二人は5年生でした。あ、双子なんです。二卵性の。で、何の話でしたっけ?あ、挫折の話。そう、書道なんですけど、学

守護霊 一人芝居 戯曲

データ↑ あらすじ↓ 運の良い話 本文↓ 守護霊 歩は墓参りをする お供えする 歩は墓まりをする お供えする 歩は墓まりをする お供えする 「さて、何をしていたと思いますか?そうです、墓参りです。え?そうですよ。三つ連続で。え?あー、親類の墓が並んでいるわけではありません。一人も知りません。ええ。そうですよ。知らない人のお墓です。変ですか?そうですか?悪いことではないですよね?この行為が。きれいになっているし。お供えしているし。ねえ。あ、大丈夫です。選んでます。全然人が

我が子 一人芝居 戯曲

データ↑ あらすじ↓ 親バカの話 本文↓ 我が子 場所はある一室 部屋には机と椅子がある 机の上にはパソコンと原稿の束 芥川治は椅子に座りパソコンを操作している 「えー!」 芥川はひとしきり驚いた後にスマホを取り出し電話をかける 「もしもし?集英社ですか?あの、文学新人賞について質問が、いや、重大なミスを発見しまして。はい、そうです。ペンネーム芥川治で投稿しました。はい、わかりました、お願いします」 間 芥川は原稿に向かって話しかける 「大丈夫、お前は何も心

一人芝居 戯曲 ついていい嘘

データ↑ あらすじ↓ 嘘つきの話 本文↓ ついていい嘘 「久しぶり。え?会えると思ってたの?どうして?バクのぬいぐるみ捨てちゃったの?なんで?そうだよ。バクは夢を食べるけど。あ、母さんと会うために捨てたんだ。大丈夫だよ。ぬいぐるみのバクは夢は食べないから。え?ぬいぐるみのバクはね、蜘蛛とか食べてくれるよ。朱音は蜘が苦手でしょ?守ってくれるから。そうだよね、別の部屋に置いているだけだよね。起きたら、朱音の部屋に戻してあげなね。朱音のこと守ってくれるよ。母さんからのプレ

一人芝居 戯曲 空平線

データ↑ あらすじ↓ 空平線の話 内容↓ 空平線 📢海の音 📢海猫の声 明転 「海猫だ。え?今、鳴いていた生き物。あー。確かに。鴎の可能性も捨てきれないね。考えたことなかったかも。海にはよく来るんだけど、家近いし。一々、声の主なんて調べてなかった。確かに。海猫か、カモメか、区別できないかも」 📢波の音 「でも、ここでそんなこと考えたくはないな」 📢波の音 「こうやって、足だけ海に入って、遠くの水平線か空平線を眺めるのが好きなんだー。子供の頃から。え?空平