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けいちゃん、あいちゃん、ゆうちゃん

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いきぬきまぐれ。新↑
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海峡を歩いて渡る(更新中)

 ウエストや脇周りにはじわりと汗がにじむが、頬は氷のような風に打たれて感覚がない。真っ白い空気に閉じ込められている。

あそこの海峡は歩いて渡れるらしいよ。えっ行くの。楽しそうだね。うん、割と軽装備で行けるらしいしヘリは高いし、二人が良ければやってみない?

 この一大イベントを私はかなり楽しみにしていた。海峡を歩いて渡る人がいると教えてくれたのはここを管理してくれている方だ。いつも手作りのかわい

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葬式

 何年か前におばあちゃんが亡くなった。ゆうちゃんもお通夜に来た。

 わたしとゆうちゃんの家はそこそこ近く、電車で小学校に通っていた私たちにとって自転車で遊びに行ける友人宅はお互いの家だけだった。何度か家に遊びに来たし、おばあちゃんの医院にも一度来たと思う。小学校五年生の冬にゆうちゃんが引っ越してからはふたりで互いの家へ行って遊ぶことはなくなり、その内にあいちゃんと三人で遊ぶことが増えた。

 

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冬の家

 何だってまたこのように空調の効きづらい造りにしたのかしらん。
 
 家事の中では洗濯物をたたむことが好きだ。意識の九割が何処かに行っていても滞りなく進む。袖だたみをするとあいちゃんに怒られるので、残りの一割はカットソーをきれいにたたむことに使う。彼女は服屋さんの陳列棚に置けるくらいに整えられた服が好きだ。恐らく着た時に出来る皺も整っていて欲しいのだろう。私には分からないけれど。あいちゃんの洗濯物

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同い年

 ゆうちゃんとけいちゃんと小中をともに過ごしたが、高校で私は二人と違う場所にいた。高校受験には思うところがある。その後大学で合流。人生のうちどの位の時間一緒にいたのかは分からない。この二人が一番多い事は確かだけど。
 それだけ近くにいるのにゆうちゃんの事は未だに良くわからない。小学校までは三人ともごく普通のませガキだった。と思う。少なくともよくわからない子、だなんて感じたことはなかった。
 けいち

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