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ダニエル・ハリトーノフ ピアノリサイタル2021 プログラム紹介【後編】

いよいよ11月27日からスタートする『ダニエル・ハリトーノフ ピアノリサイタル2021 ドイツ・ピアニズムの巨匠 ~ロマン派3つのソナタ~』。
本リサイタルでは、ベートーヴェンとブラームスのソナタ3つ、ブラームスのラプソディ1つを演奏します。
前回の記事では、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第8番 大ソナタ悲愴 ハ短調 作品13」についてご紹介しました。
後編では、残りの3曲についてご紹介します♪


2曲目♪ ピアノソナタ第17番 テンペスト ニ短調 作品31-2

 「3つのソナタ」がまとめられた作品31を作曲していた1802年に、ベートーヴェンは「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる弟たちに宛てた手紙を書いています。難聴という音楽家としては致命的な病に対する苦悩の告白がその内容です。しかし、遺書といっても決して死を決意したものではなく、苦難の中強く生きることを宣言したものでした。
 「3つのソナタ」の2曲目である「テンペスト」と呼ばれるこのニ短調のソナタの第1楽章は、ラルゴで奏される冒頭部分に続くアレグロ、再びラルゴからアレグロという急なテンポの変化が見られます。また、それまでの雰囲気と異なった突如出現する楽想など、多くのドラマティックな要素が散りばめられたこの時期の作品には、苦難を克服して新たな道に歩み出そうとする作曲家の意志が感じられます。
 ちなみに、「テンペスト」はベートーヴェンが付した名称ではありません。


3曲目の前に、作曲家 ヨハネス・ブラームスについてご紹介します。

1833年ハンブルクで誕生したブラームスは、子どもの頃からピアノの才能に秀でていましたが、ピアノの演奏活動はやめて作曲に専念することを決意しました。多くの曲を作曲しましたが、度々破棄してしまうことがあり、彼が慎重で完璧主義者だったことが窺えます。
 ベートーヴェンを崇拝していたブラームスですが、同様に古典派の作曲家であるモーツァルトやハイドンも尊敬していました。ロマン派の作曲家でありながら、その作風は古典的な形式を重んじていたため「新古典派」と称されることもあります。また民族音楽にも非常に興味を持っており、その語法を歌曲、ピアノ曲、室内楽曲などに取り入れていることも彼の特徴です。
 ブラームスを賞賛し、作品を世に広めてくれたシューマンを深く尊敬し、彼の没後もその妻クララとの親交は長きにわたりました。クララが1896年に亡くなるとブラームスも体調を崩し、翌年の1897年に63歳でその生涯を閉じました。


3曲目♪ 2つのラプソディ 作品79

 1879年の夏、ブラームスが46歳の時にオーストリアのペルチャハという自然の美しい町に滞在している間に完成された作品。ピアノ作品としては久しぶりの作曲で、親交のあった作曲家・指揮者であるヘルツォーゲンベルクの妻となった、かつての弟子エリーザベトに献呈されました。
 ラプソディ(狂詩曲)とは形式が決まっておらず、民族的、叙事詩的、愛国的な内容の楽曲に19世紀の初め頃から用いられたタイトルです。このブラームスのラプソディは激しい情熱と内的な世界を感じさせる力作で、規模も大きく演奏効果にも優れていることから、度々演奏会で取り上げられる作品です。

4曲目♪ ピアノソナタ第1番 ハ長調 作品1

若きブラームスの記念すべき出版第1号が、このピアノソナタ第1番です。1853年に出版されたこの曲に先んじてピアノソナタ第2番が完成していましたが、彼は慎重にこのハ長調のソナタを一番初めの作品と決定しました。彼の作品を理解し助言を与えた、友人でヴァイオリニストのヨアヒムに献呈されています。
 ブラームスは同時代のショパンやリストのようなロマン的な傾向よりも、シューマンやベートーヴェンを模範としていることからわかるように、古典派的な傾向を強く持っています。和声の豊富さや情緒的な部分はロマン主義的ではありますが、彼が最も重視したのは形式であり、それが彼の全ての音楽に保守的で古典派的な枠組みを与えています。
 この作品はベートーヴェンのソナタ《ハンマークラヴィーア》《ヴァルトシュタイン》に影響を受けて作られており、堂々として若き情熱が溢れる大作です。

ハリトーノフの若さ溢れるエネルギーが発揮されること間違いなしの力強い名曲が揃った本プログラム。特に、ラストを飾るブラームスの「ピアノソナタ第1番」はリサイタルで演奏される機会が少ない曲なので、ぜひ多くの方にお聴きいただきたいです!

次回は隔離期間中に実施したハリトーノフへのインタビューをお届けします。お楽しみに♪


★公演詳細はこちら→ https://impres-tokyo.com/

★チケットご購入はこちら→ https://myticketnavi.com/event/list

★ダニエル・ハリトーノフ 公式Instagram↓
https://www.instagram.com/danielkharitonov.official/


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