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出会ったからには、離れられない

何が人と人を
引き合わせるのだろう?

高校に入って、
同級生が「バンドやろうよ」と言うまで、
私はロックを聴いたことがなかった。
半年後、
ドラムスティックを握って、
人前で演奏をしていたのだから、
人生はわからない。

ラジオを聴いたり、
雑誌を買ったりして、
いろんなミュージシャンのことを
少しずつ知っていったけど、
今はちょっとネット検索しただけで、
来歴とかすぐわかるから、
すんごい昔から知ってるミュージシャンでも、
新しい発見がいろいろあって楽しい。

バンドはとくに一人ではできないから
「この人とこの人は、
どうして出会ってしまって、
どうして離れられないんだろうな」
と考えるのは、とくに楽しい。

なかでも私がとくに好きなのは、
「リンダリンダ」で有名なブルーハーツの、
ヒロトとマーシーの話だ。

ヒロトは若いころ働く気がなかったそうだ。
将来は親の世話になろうと思っていたそうだ。
そんなヒロトをマーシーは、
「お前はやれば出来る子なんだよ!」と、
励まし続けていたそうだ。

ヒロトのダメダメぶりもちゃんと書いてある。
ヒロトとマーシーがバンドの打ち合わせをしていると、
ヒロトは突然
ロボット特撮番組の再放送があるとか言って、
部屋に帰ってしまった。
マーシーは激怒して
テレビのコンセントを抜いて撤去してしまったという。

ブルーハーツ結成直後とのことだから、
ふたりとも20代前半。

「お前はやれば出来る子なんだよ!」と、
マーシーが励まし続けていなければ、
励まし続けたうえで激怒していなければ、
ブルーハーツやザ・クロマニヨンズなんかの、
唯一無二の曲は
きっと生まれていなかった。

活躍している人を見ていると、
その人も努力しているんだろうけど、
そばで応援している人がすごい。

応援し続けられるのがすごい。

応援に、お金がかかることはあっても、
見返りはないということもありうる。
何もかも、
スッカラカンになる可能性だってある。

全エネルギーを費やして応援しても、
実を結ばないこともある。

世界ではこれまで
たくさんのバンドが結成されてきただろうけど、
デビューすらできないこともあるし、
デビューしてもヒットに恵まれない、
ヒットしてもバンドそのものが続かない、
そんなことがたくさんある。

それでも、
「出会ってしまったからには、
こいつを応援せんことには、
何のために生きとるんか?」
と思える対象にもし出会えたら、
もし出会えたら、
離れられないもんなのかも。

いったいマーシーは、
「お前はやれば出来る子なんだ」と、
どうしてずっと、
信じ続けることができたんだろう?

この世界は、
「やれば出来る子」だらけだと思う。
打ち合わせ中に
『バッテンロボ丸』を観ると言って
突然出ていってしまう子(20代…)も、
結果的には
本当に「やれば出来る子」だった。

足りないのは、
応援する人なんだと思う。

打ち合わせ中に突然
『バッテンロボ丸』を観ると言って
出ていってしまっても、
そんなヒロトを応援し続けた
マーシーのような人が
この世にもっとたくさんいればいいのにと思う。

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