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サヨナラが言えないコドモたち

洗濯機の中からTシャツを取り出し、
広げてみて、びっくりした。
背中の一番上あたりが、
ぽっかりと破れていて、
Tシャツが笑っているように見える。

どんなふうに着たら、こんなになるの?
ランドリーバッグに入っていたってことは、
これ、まだ着るの?

帰宅した家族くんに尋ねてみた。

私「あのお、Tシャツの首んとこ、破れてたけど」
家族くん「あ、そーやねん」

「あ、そーやねん」って?
やっぱ、知ってたんやね。

私「あのお、これまだ着るの?」
家族くん「あー…どうしようかな」

…迷うんや。
…ファッション?

家族くん「生地が気に入ってんたやけど、
とうとう、アカンかなあ」
私「どうしますの?」
家族くん「うーん」
私「廃棄でいいですか」
家族くん「うーん」

家族くんは、モノを捨てられない。

もう着なくなった服が、
家のあちこちで山積みになっている。
着ない服は捨ててほしいけど、
破れているTシャツでも捨てるのを迷う人なので、
まったく進まない。
捨てられないなら買うのを控えてほしいけど、
服を買うのは大好き。
いったいこの先、どうなるんだろう。

モモちゃんも、モノを捨てられない。

お菓子の空箱、こども雑誌のふろく。
買って、買って、買って、
ためて、ためて、ためていく。
いったいこの先、どうなるんだろう。

ふたりを見ていると、
お気に入りのものとの
「お別れがつらい」んじゃないかなと思う。
大好きなものと別れるのがつらい、
ゴミ箱に入る瞬間を見たくない、
ゴミ箱に入っている様子を見たくない、
ゴミ箱に入ったことを意識したくない、
そんな気持ちが伝わってくる。

私たちの世代は子どものころ、
シールとか、
小さいオモチャとか、
買ってもらうたびに大喜びしていた。
欲しいと思うものや、
友だちが持っていて、
うらやましいと思うものがたくさんあって、
手に入れたくて親に、おねだりした。

そういう、こまごまとしたモノと、
なかなか「サヨナラ」できない…
家族くんやモモちゃんの中には、
そういうコドモのような心がまだ残っているのだと思う。

私も、ひとのこと言ってる場合じゃない…

私は引っ越しのたびに、大量に捨ててきたはず。
それでもモノは多い。
私の場合、
服ではなくて、
親からもらったものや、
子どもが書いた絵なんかが、ごっちゃりたまってる。
捨てられない。

8月は暑くて外に出られないぶん、
一年で一番ヒマなのに、
時間があっても、捨てられない。
今年こそは、
昨年の2倍くらいは、がんばらなくちゃ…

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