ヒグマだと思ってください

モモちゃんとヘルパーさんがトラブると、
モモちゃんのケアもたいへんだけど、
ヘルパーさんへのフォローも必要になる。

福祉サービス専門のヘルパーさんでも、
モモちゃんの支援を、
ハードワークと思う人は結構いるみたい。
キョヒるし。
わめくし。
叩くし。
わけわからないこと言うし。

ましてや一般のヘルパーさんの場合、
モモちゃんとぶつかると、
ヘルパーさんのダメージのほうが
大きくなってしまうこともある。

スーパーでお買い物していたら、
ヘルパーさんから電話がかかってきて
「どうしましょう、
モモコさんが、スマホで曲を聴かせてほしいと
言うんですけど、やり方がわからなくて」と、
おろおろしている。

どういうこっちゃ。

スーパーに行く直前、
モモちゃんが観たいというドラマを
ちゃんと再生してから家を出たのに。
ドラマはそっちのけで、
しかも
これまでスマホの操作なんて
お願いしたことのないヘルパーさんに、
モモちゃんは
無理を言っていることになる。

帰ってみると、
モモちゃんは「聴きたい曲がある」
とブゼンとしていて、
ヘルパーさんは
しょんぼりしていた。
モモちゃんが怒り、
ヘルパーさんを叩いてしまったようだった。

モモちゃんに曲を聴かせている間、
私はヘルパーさんに説明した。

私「すみませんでした。
これまで、こんなことなかったのに」
ヘルパーさん「すみません、
モモコさんを怒らせてしまって」
私「怒らせたんじゃないんですよ、
モモちゃんは、そうですね、ヒグマなんです」
ヘルパーさん「?」

私「ヒグマだと思ってください。
ヒグマも、
もともとは人を襲うつもりないんでしょうけど、
たまたま出会って、ひどいことになるんです。
今日、ちゃんと丁寧に対応していただいたと思うけど、
モモちゃんはヒグマだから、
ちゃんと優しくしてくださっているのに、
よくわからないタイミングで、
話が通じなくなって、
乱暴になるんだなと思っていただければ。
怒らせたんじゃなくて、
モモちゃんは、そういう動物なんです。
いつも本当によくしてもらっていますから。
ありがとうございます」

モモちゃんヒグマ説。
どうしてこんな説明になってしまったのか?
自分でもわからない。
自分でも、説明が極端すぎると思う。
とにかく
「あなたのせいではないんです!」
と言いたかった。
そして
「モモコのせいでもないんです。
生まれつきですから」
と言いたかった。

私「モモちゃんはヒグマなんですけど、
目がよく見えていないんで、
たぶん、上手に逃げれば、
叩くことはできません。
すみませんが、
モモちゃんのほうが叩いたくせに、
叩いたことでモモちゃん自身が
傷ついてしまうので、
叩かせないように、お願いします」
ヘルパーさん「はあ…」

これまでの1年半で、
福祉サービス専門のヘルパー事業所さんへの
依頼は5か所。
うち1つは事業撤退、
うち1つはヘルパー不足で対応する人なし、
あと2つは来月からサービス開始。
1つだけは順調に依頼できているけど、
「できれば時間数を減らしてほしい」と言われている。

ヘルパーさんの支援が減ってしまったら、
今の生活は続けていけない。
でも、
今のままのモモちゃんが、
施設に入所したりしたら、
本物のヒグマになってしまうかも?

外も暑いけど、
頭も沸騰しそうやなあ…

まあ今日のところは
冷たいヨーグルトに
キウイでもぶっこんで食べて、
昼寝でもしよう。