うちの鳩時計は、時間を尋ねてくる

2階で片付けをしていると、
階下からパタンと戸を開ける音が聞こえてきた。
モモちゃんが自分の部屋の戸を開けたらしい。

そしてリビングでテレビを観ている
家族くんに話しかけた。
至近距離のはずなのに、
モモちゃんの声は、やたら大きい…

モモちゃん「明日、6時に起こしてちょうだい!」
家族くん「ハイ」

会話はそれで終わり、
モモちゃんが部屋の戸をピシャッと閉める音がした。

…かと思うと、
すぐまたモモちゃんの部屋の戸があく音がした。

モモちゃん「おかえりなさい!」
家族くん「はい、ただいま」
また戸をピシャッと閉める音がした。

「言う順番、逆やろー」と、
家族くんが笑う声が聞こえてくる。

しばらくすると、
またまたモモちゃんの部屋の戸があく音がした。

モモちゃん「お部屋にテレビ、2台ある?」
家族くん「う?　え?」
モモちゃん「お部屋にテレビ、2台ある?」
家族くん「あ?」
また戸をピシャッと閉める音がした。

またまたすぐモモちゃんの部屋の戸があく音がした。

モモちゃん「今、何時?」
家族くん「え?　ええっとお、7時半くらい、かな?」
モモちゃん「アリガト」
また戸をピシャッと閉める音がした。

私は笑いが止まらなくなった。

階下に降りて家族くんに、
「モモちゃん、鳩時計みたいですな」と言った。
家族くんは「鳩時計な」と笑った。

妹が鳩時計というケースも珍しいと思うが、
鳩時計が時間を尋ねてくるのも珍しい。

不思議なんだけど、
なぜかこれでちゃんと平和的に会話が成立している。
怒ることも、怒らせることもなく…
よくわからないな…

まあいいか。