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普通の人は出来ない、主人公を書くことの難しさは欠点部分にある

 おはようございます。

 この前Twitterをチラっと覗いた時に「キリト復活」がトレンドに乗っていて、そういえば主人公について書いていなかったと思い急遽書くことにしました。

 主人公というのは書くのが難しいキャラクターです。

 特にゲームの主人公は立ち絵がない一人称視点なことを加え、ボイスまでありません。それはある種の没入感を与えるために配慮された原点みたいなもの。

主人公の分類

 鈍感・成績底辺・常に朝寝坊・優柔不断・スケベ

 これはまとめサイトから持ってきた2011年のエロゲ主人公の特徴ですが、今でも見かける代表的な設定だと思います。

 低スペックな主人公が、ヒロインからモテるという構図。

 を作っている設定なわけです。

 主人公の設定とはそういうことで、一人称視点で見た時にどんな印象を受けるかがキーポイントでしょう。

 これによってある人は「そうか! じゃあ自分みたいな人間でも可愛い女の子からモテる可能性があるんだ!」と希望を持ちます。

 こういう人たちは「自己投影型」ですね。

 逆に、主人公を高スペックにすると「こんな主人公になりたい」と憧れる構図が出来上がります。

主人公の精神年齢

 それに伴い、精神年齢の設定も重要になってきます。ほとんどのコンテンツは中高生向けに発信しているので、必然的に主人公もそれぐらいの年齢になっていきます。

 エロゲでは主人公が成人男性であることは全然珍しくないですね(そもそも登場人物はみんな18歳以上なので)

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 主人公の最大の難関はここにあると思われます。

 目つきが悪いとか、料理が得意だとか、なぜかモテるだとか。こういうのはしょせん設定の部分でしかなく。

 ストーリーによってひき起こされる事件で「主人公がどうリアクションするのか?」が一番大切な部分な項目でしょう。

 面白い作品には変化がある~その1~で紹介した『僕らのノベルゲーム』の主人公なんかは喧嘩している友人に対して水をぶっかけたりするシーンもありました。

 当然プレイしていて「この主人公は精神年齢が等身大なんだなぁ」と感じます。

 同時に、「主人公にこんなことをやらせるんだ!?」という攻めた展開にリアリティも感じました。

 普通の人は怖くて出来ないと思います。

 この作者さんがそのシーンを書けたのは、そこまでに至る過程をちゃんと書けている、という自信があったからでしょう。

 友人に水をぶっかけても、この状況なら仕方がない。とプレイヤーに思わせる自信です。

 そして見事にそれは成功していました。

 しかしその過程がもし上手く描けていなければ「精神年齢が幼稚なんだな」と思われるだけになってしまいます。

 なので、精神的な面で弱い主人公は書くのは相当に難しい。

 失敗すると共感されないから。

 だったら最初から弱い部分を書かなければいい、となる。

 ハイスペック主人公

 小説家になろうの主人公から最強なものばかりが今も増えています。

 傾向はほとんどが憧れ型。

 こうあればいいなあ、という憧れが強く主人公に反映されている反面、第三者がそれを見た時に感情移入しづらいんですよね。

 確かに凄いけど、全然魅力的に映らない。という風に。

 そのポジション、本来なら主人公を邪魔するライバル役じゃない? みたいな。

 そしてお世辞にもその最強であるスペックを持ちながら、精神年齢は等身大、もしくは子供っぽいという悪いギャップでたたかれることもあります。

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 その点、今期でも放送中のリゼロなんかはかなり主人公で攻めた作品ですね。

 主人公がウザイとかノリがキモイだとかいう意見もありますが、ちゃんと心の弱さを描いています。

 上でも言いましたが普通の人は怖くて出来ないことをやっているので、そこはかなり賞賛ポイントだと思うんです。

攻めていかないと印象に残らない

 たびたびnoteで名前を出す『僕らのノベルゲーム』。

 相当印象に残っています。

 それだけの事件が起こり、それに対しての主人公のリアクションも新鮮だった。

 感想欄なんかも色んな意見が飛んでいて、作品をプレイして終わりではなく「この人はこう思ったんだ」「あ、自分と同じ意見の人がいる!」とその後も楽しめるほど深いゲーム。

 それだけ他にないパワーを感じたということでもありますし、自分もこんなゲームを作ってみたいと思わせる作品です。

 この前ちらっと紹介したかもしれませんが、『ダブルカタルシス』はTURU以外では「悲劇」を描くものなので、その部分で怖がらずに攻めた作品にするつもりです。

 それが果たして共感されるものか、それとも作者の独りよがりになるか。

 作者としてもそれが楽しみの一つです。

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