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2月をふりかえる

テーマは設けず、2月のふりかえりを記事にしておこうと思う。書きたい、と思うことが浮かばなかったら書かなくてもいいかな、というのが自分のnoteのゆるいルールなのだけど、3月が始まると思った時、少し今月をふりかえってみたいと思った。あっという間だったけど、濃い1カ月だった。

 2月は、悲しい知らせで始まった。1月の最終週に1泊2日で行った高崎旅で、まんまと乾燥にやられ、免疫が下がったのかコロナにかかった私は、2月の1週目はずっと家で寝ていた。そんな時にやってきたのは、実家の愛犬ハチの訃報だった。
昨年10月から自力で立てなくなり、薬を飲んでも徐々に痩せていっていたハチ。歩けなくても抱っこしたり乳母車のようなものに乗せて散歩にいくと嬉しそうにしていたハチ。家族の腕に体をすっかりあずけた最期の日々は、元気に走り回っていた頃とはまた違う身近さがあった。お正月に10日ほど実家にいたので、たっぷりハチと一緒に居れた私は、悔いは残っていないなと思いつつ家族LINEを見る目から涙が止まらないのだった。
 隔離期間がギリギリ終わり、火葬を見届けるため弾丸で東京に帰った。家族全員でこんなに泣いたのは初めてだったけど、この悲しみを共有できて、きっと大事な時間だった。訃報を聞いてから、遺体を抱いて動物霊園で火葬し、新潟に帰ってきてからも数日はなんだか呆然としていて、ふいに涙がこぼれていた。これがペットロスというものか。ハチ自身のことも寂しいけれど、ずっと面倒を見てきた母の寂しさを想って、より泣ける。

 2月中盤くらいからは、個人で制作している雑誌「なわない」の作業に時間を費やしている。自分で課した締め切りやメモとにらめっこし、インタビューを記事化したり、寄稿してもらった文章をチェックしたり。雑誌のつくり方の正解なんて、見たこともやったこともない私が分かるはずもなく、常に「これでいいのだろうか……」がつきまとっているけれど、つくりきるには前に進むしかない。手を動かす、できることをひとつずつやる、この単純な繰り返し。夜ごはんのあと、ついビールを飲みながらドラマを見てしまうけど、1時間でも机に向かう時間をつくるところから。小さな和室のアパートの部屋に、作業台をDIYで作って、作業モードになるようにもした。裁断機とプリンターも買った。環境を整えることは、仕事の進み具合にきっと影響する。

雑誌と仕事の予定の他は、あまり人に会わなかった。まあすでにそこで人とは会っているんだけど、完全なプライベートの予定として友達とごはんに行く、みたいなことがほとんどない日々は、私にとっては不思議な感じだった。以前の私は、週2くらいの頻度で人とごはんに行っていたし、それもだいたいが自分から声をかけるものだった。なにかやりたいことに向かっているとき、自然に友達とごはんに行くことへの関心は薄れていた。SNSで反応をくれたり、LINEをしていれば、それで充分つながっていける。そう思える友達が大半で嬉しい。

とはいえ、節目となる人の多い時期である春が近づいてきている。今のうちに会っておきたい人も何人かいた。数年ぶりに見に行った長岡造形大学の卒展では、3人の顔見知りの学生に卒業祝いを渡してきた。作品の感想や進路について話す。みんな1年ぶりくらいだし、大学生活の接点の回数で言ったらそれほどでもない関係性だけど、それぞれに思い出があり、応援したい気持ちがある。大学生との年齢は当たり前に離れていくけれど、だからこそ共感ベースではなく、堂々と違う立場から、まっすぐに君を応援できる。それがなんだか嬉しかった。
そしてツルハシブックスの頃から一緒にいろんなことを共にしてきた相棒のあきちゃんも、この春新潟を離れる。これまでだって、一緒に活動してきた仲間が新潟を離れるときは寂しいものだけど、その時期の自分も違うから、寂しさの種類もみんな違う。でも、九州に帰ったあの子とも、福井に帰ったあの子とも、今でもつながって、変わらずに大切で思い合えているのだから、きっと大丈夫なのだろう。いろんな思い出や思いが詰まりすぎていて、それを全部思い出そうとすると苦しくなるほどで、それだけあればきっと寂しくないね。

仕事のことと拠点のことはずっと悩んでいる。いつになったら答えが出るのだろう。ひとまず、出雲崎の一軒家は手放すことになり、でも同じ集落内で新しい空き家が見つかったりで、なんだかんだと活動は続いていきそうだ。
続けるために、変わる。先週3時間待ちの耳鼻科の待合室で読んだ「訂正する力」(東浩紀,朝日新書)はそのままそっくり人生に活きる考え方だった。過去をリセットするのではなく、再解釈しながら、現在につなげていく。そうやって人と関わり続けたり、自分と関わり続けたり、社会と関わり続けたりできたらと思う。





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