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昔話❶

「じゃあ今日も頼むで...」

弟分の【レイ】に言い残し街に出た、名目としては営業である
年齢が一回り上の客からの呼び出しだ近くのイタリアンで食事を済ませた後近くのラウンジへ...
若いホステスに鼻を伸ばしかけていた矢先に電話が鳴るレイからだ
客が増えて立て込んで来たから帰ってきて欲しい、そんなもんだろうと思い軽く電話に出た

「マスター速く帰って来てくださいお願いしますっ!」

後ろからは怒号が響く

「オノレこらあぁ!!はよ呼べぇ!!!!」

あーなるほど...あの人か...直ぐに戻る旨を伝え名残惜しくもラウンジを後にする…後ろから

「何かあったら電話しろよ!」

アテにならないのは分かっているので

「大丈夫でーす!」

と、言い残し直ぐさまタクシーに乗り込み店へ入るなり第一声は

「コラァっ!!!お前んとこの若い衆どないなっとんねんっ!!」

ん?どうなされましたか?問うと6Pチーズを買って来いと言ったが、レイが店内に一人なので買いに行けませんと言ったのが事の発端らしい

「こんなにアホにされたんは初めてや!どないすんねんっ?」

当時の僕は面倒くさがりで直ぐに謝って事を収束させる所がありました

「大変申し訳ございません…以後気をつけます」

と、告げたらやはりこの手の方は一筋縄では行かず

「土下座やっ!!土下座ぁ!!!!おいっ鍵閉めて来い」

お付きに店内の鍵を閉めさせる様に促したのです
うわぁ...面倒くさ...
ひとしきり罵倒したら溜飲が下がったのか僕に

「ホンマはこんなんしたないんや...お前も分かるやろ...?可愛い若い衆に...こんな事やりたくないんや...」

その手の筋の方 お得意の【飴と鞭】である
いやいやいや!あなたの若い衆になった覚えはございません
何かナルシズムに浸ってるけど、これって監禁罪だし何か色々オプション付いてくる事案ですよー!
とか思いながら(二人で土下座中)すると

「ショーゴ頭上げてくれや...」

二人で頭を上げたら再び怒号が

「コォルラァッ!!ガキぃ!!誰がワレまで頭上げえ言うたんじゃボケェ!!ワレは下げたまんまじゃあ!?ショーゴとワレが同じ立場でモノ考えるなっアホがっ!!!」

と、こうである
勘弁したって下さいと伝えると

「まぁ...お前がそこまで言うならしゃあない...頭上げてええど........せやけど明日の7時までに丸坊主にしてワシの家まで来いっ!!!分かったなっ?」

レイ「はい...」

歯を食い縛りながら弟分のレイは搾る様に返答した

「よーし!今日はこれで終わりやっ!帰るぞっ!ショーゴすまんかったのぉ?またの!」

と告げて、お付きと颯爽と帰って行ったのである、もう自分自身が情け無いなんて言葉で表現出来ない程の味わった事の無い感情が駆け巡る
レイにかける言葉も無い程に
何とか声を振り絞って出てきた言葉が

「今日づけで辞めてくれ本当にわるかった...」

そう伝えるとレイが突然ハサミを持ち出し

長いので2回に分けます。

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