交流2

ケンジとの交流を重ねていくうちに、彼は今日子の膝にのるようになったり、普段は食が細い子らしいが、一緒に食べる昼ごはんを一生懸命残さず食べて見せたり、絵本を私たちに読み聞かせたりと彼なりのアピール?は徐々に見え始めてはいたが、あまり笑顔が見られない事が私は気になっていたし、共感という部分では皆無であった様に思えた。血縁のない大人と5歳児が数回の交流で打ち解けるのは難しいのかとも考えたが、やはり何か違和感のような、子どもであって子どもでないような無機質で何か冷たい金属製のロボットのような空気感を感じていたと同時に、食欲、物欲以外の彼の感情を私は全くと言って良いほど理解が出来なかった。人は理解出来ない事や物に触れた時に恐怖を感じると言うが私は正にケンジという小いさくてカ弱い子どもに紛れもない恐怖を感じ始めていた。それは先行きの生活の不安などではなく、愛情というかけがえのない栄養をもらう事なく育ち、感情が欠落しているかの様なケンジ自身の心の闇に気づいてしまったからかもしれない。

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