マッチング

子どもとの触れ合い、施設への訪問、まさか自分がこのような道をたどるとは。人生いろいろです。ある日帰宅すると今日子から私達夫婦に養子の話が行政からきたというのである。つまりは、お宅らに子どもを紹介するから写真を見に来いというのだ、今日子は素直に喜んでいた。私は喜ぶと言うより不安であった。それは単純にその子の容姿、素行、性格もろもろが気に食わなかったらどうしようかという不安であった。我が国の現状の行政のシステムではこちら側に子どもを選ぶ権利がないというか人権問題なのだろうか、性別すら希望できないような妙な慎ましき日本人的な美学なのであろうか、あの子が良いだとか、この子に来て欲しいだとか、そんな事は口が裂けても言えない空気があり、そもそも養子の話が来る事すら簡単な事ではないだとか、縁だとか、出会いだとか、彼れらなりの正義に従うしか方法が無い、そのように私達は感じたので、ようやく訪れたこのマッチングに期待と不安と不妊治療の苦しみ、その他もろもろが入り乱れ、私は混乱していた。どの子もかわいい、子どもはみんな可愛い、本当か?覚醒したか?一体なにが。たいした事ではない。騒ぐほどのことでもない。写真を見てイエスかノーかの答えを導きだすだけである。もちろん実際に会ってみてから辞めるという決断も出来るのだが、この混沌としたお互いの複雑な事情が絡み合う中、決断するなんて当然私の思考回路は壊れてしまった。答えは風に吹かれている筈であろう。もう考えるのは辞めだ、芯の強い今日子がきっと決断してくれるだろう。

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