見出し画像

新刊の日

夜が仕事になって、読書のタイミングが狂った。

平日は晩酌のお供が本だった。食べ物が出てくると、明日はこれで呑もうと考えるのも楽しみの一つだ。夜番だと、帰ってきてからの時間が朝番より圧倒的に短い。

特に新刊が困る。
既読本は適当に切り上げられるが、新刊だと読むのも時間がかかるし、出勤前に読むのは落ち着かない。続きが気になったり、反芻してしまって仕事に身が入らない。

そこで、病院の待ち時間をあてることにしてみた。
自分自身は耳鼻科くらいしか行かないが、年寄りの送迎はちょくちょくある。病院が大きくなるほど時間もかかる。夜が仕事なのは、休まなくて良いので助かっている。
大病院は中まで付き添い、小さい所は駐車場で待つ。おかげで病院の日が楽しみにすらなってきた。
次はどれを読もう、あそこは待たされるから厚めのがいいな、とローテーションを考えて備える。

本好きに育ったのは両親の影響だと思うのだが、その彼らは目が弱ったので、読書量は減ったようだ。

母親は、また同じ本を買ってきてしまったと言っては、自分にブックオフ行きを申し付ける。
先日、ついに自分も同じことをして、おのれの老化を突きつけられた。
脳のエイジングケアに、今日も推し活に励もうと思う。

…なんて呑気なことを書いていたら、バチが当たったらしい。
正月早々、爺様が検査入院になった。
付き添いの準備に、早速とっておきの「リボルバー・リリー」を鞄に入れる。晩酌のアテにしたかったなぁ。
このまま新刊読み放題が続かないことを祈るばかりである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?