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娘にテニスを教わる

イップス――精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。 本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。(Wikipediaより)

趣味で10年くらい続けているテニスだけれど、私はフォアのイップスだ。
元々は軟式テニスをやっていて、フォアハンドストロークは得意だったし、硬式に転向してからも、バックハンドストロークよりもフォアハンドストロークの方が好きだった。

精神的に参っていた時期、体重が40kgを切って、機敏に走ったりすることが出来なくて半年くらいテニスを離れ、健康体になって戻ってきたら、もう打てなくなっていた。

ボールとの距離感が分からない。
テイクバックしたはいいけれど、ラケットを前に振れない。
そうなってから、かれこれ10年近く経つ。

もはや、そうなると「フォアハンドストロークが打てていた私」を知る人の方が少なくて、イップスと言うより、技術的な問題のように思えてくる。
しかし10年間常に打てていないわけでは無くて、過去に数回、ある日突然感覚が戻ってきて、また打てなくなる…というのを繰り返しているので、打てる技術はあるのだけど、打てない、とい状態なので、やはりこれはおこがましくもイップスと言うべきなのかな、と思っている。


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この頃、長女がテニススクールへ通い始めた。
レッスンを見ていると、長女はコーチの言う意味を理解しているにも関わらず、固まって、やらない練習がある。

どうも「上手く出来ないから、やらない」ようだ。
なんというプライドの高さよ…。

臆病な自尊心と、尊大な羞恥心。

私も、それを持っていたから、物凄く良く分かる。
何度、親に「最初は皆、出来なくて当たり前」「練習して、上手になるんだから」と言われたことか。

周りの子と比べて、上手に出来なくて、恥ずかしい。という自尊心があるのだろうけど、3歳~6歳が在籍するクラスで、3歳児は長女だけだ。

「失敗してもいいし、上手に出来なくて当たり前だよ」と、何度か話したけれど、分かってはいても、やっぱりレッスンになると固まってしまう。

失敗しても、上手に出来なくても、へこたれずに、試行錯誤しながら練習する子の方が、当然上達のスピードは速い。
次女は、まさにそのタイプで、スクールには通っていないが、ちょっと家族でやってみると、教えてもいないのに、あっという間に綺麗なスイングをするようになった。

長女、ますます拗ねる。

とにかく、長女に対しては他の子と比べるのではなく、昨日までの長女と比較して「これも出来るようになったね」「上手になったね」と、声を掛けるようにして、自信を持てるように、褒めて褒めて褒めて褒めて……いるのだけど、いざ、レッスンへ行くと、首を傾げて口をへの字にして硬直する長女になってしまう。

口をへの字にして固まるレッスンだけれど、「今日テニスの日だよ」と言うと、喜んでラケットを抱えて向かうので、どこか、何かは、わずかにでも楽しいと思えているようなので、もうしばらく様子を見ようと思う。


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ミスを恐れて振れず、ペアや練習相手に悪いからと、失点しないけど面白くないテニスを選択することも多いけれど、長女に「練習すれば上手くなる」を見せる意味でも、私自身も、もっと積極的に挑戦していかないと、いけない。

娘達に言い聞かせているつもりが、自分の言葉が自分に跳ね返ってくることがよくあるけれど、ことテニスに置いては、本当にそれが多い気がする。

人のフリ見て、我がフリ直せ、ではないけれど、自分が上手にやれなくて、不貞腐れている時は無いだろうか、意外とある気がする…。
3歳児の不貞腐れならば、多少の愛嬌はあるだろうけれど、3×歳の不貞腐れなんて……背筋が凍る。

まずは、身近な手本である私が、臆病な自尊心と尊大な羞恥心を脱ぎ捨てなければいけない。


つまるところ、「フォア上達したいな」っていう、私の話。

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