窮鼠はチーズの夢を見る

偏見や差別というものは、世の中に沢山あると思います。

その団体に所属するお前はあーだ、𓏸𓏸生まれのお前はこうだ、𓏸𓏸大学出身のお前はどーのこーの。
こんなことをするやつはどーのこーの。

最近ではこういった偏見を相手に直接ぶつけることにハラスメントという名前が付きました。

セクシャルマイノリティだからお前はこーだ。
立派なハラスメントだと思います。

では、偏見を直接相手にぶつけなければ良いのでしょうか?

ここ出身の人は大体苦手だから避けておこう、これが出来ない人はこうだから近づかないでおこう。こういう性格の人はこういう事をしてくれるだろう。
時には性格どころか、見た目や振る舞いで選んでいる時もあります。
話す前から勝手に嫌いになり、距離を取る。冷たく接する。

これは果たしてハラスメントにはならないのでしょうか。
受け手が嫌な気持ちになるのは、どちらも同じです。そういった意味では、これもハラスメントと呼べるでしょう。

しかし、自分の性格や経験を鑑み、人間関係を取捨選択することは、精神的健康を保つためには重要だと思います。
性善説を信じてはいますが、やはりパズルのピースが噛み合わない人は確実にいると思っています。人類皆友達、は桃源郷より難しいでしょう。

自分の健康を守るためには、時には偏見も重要だと思います。

ではなぜ、偏見を相手に直接投げることは良くないとされているのでしょうか。

大抵の場合、その行為によって誰かが理不尽な思いを受けるから、でしょう。
理不尽な思いとはなんでしょうか。
人権の侵害?男女差別?権力の行使?
外から分かりやすい実力差であれば、誰もがそれを問題視するでしょう。
しかしその偏見をぶつけたのが同僚だったら?

親友だったら?

同じ言葉でも違う意味になりませんか?もしくは、言い返しやすい関係性がありませんか?

ハラスメントとは、相手との距離感を見誤り、不適切な言葉を選ぶことなのではないでしょうか。

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』の中でこんなセリフがあります。

「いつも何時に寝るの?」

主人公の男が、直属の部下である女をわざわざカフェに連れていって言う一言。
実は見た時鳥肌はゾワゾワと立ちました。
この時の2人の関係はあくまでも仕事上の関係。仕事に就寝時間は関係ないし、知る必要のない情報です。
しかし、部下の女は嫌な顔一つせず返答をしていました。

側から見れば、仕事に関係のない一言。第三者である私はセクハラと受け取った。
だが、当の本人は嬉しそうに返答をした。

こういうものなのではないでしょうか。
嫌いなやつに言われる可愛いはキモくて、好きな人に言われる可愛いは嬉しいと同じ原理です。
結局、受け手がどう思うか、で決まるのです。

以前ニュース番組で、この発言はハラスメントだと思いますか?という馬鹿馬鹿しいアンケートが発表されていました。
アンケート結果が100パーセントに寄っていなかったことが、答えだと思います。


プライベートの友人と、会社の同僚や上司。
分類が違うだけで距離の縮め方は一緒だと思います。
上司だからって相手の話を聞くばかりになっていませんか?部下が何も頼ってくれない、なんて言ってませんか?
人は自分の話をしたがるものだといいます。相手の話も聞き、自分の話もする。深い話出来そうだなと思ったらすればいいし、出来なさそうなら適度に済ませる。
相手がこちらを信用してくれているからといて、信用を返さないといけないわけではない。期待はせず、自分が持って行きたい関係性に持っていく。
一緒に仕事をする上で、関係がクリアで潤滑なことは双方にとってのプラスだと思います。
相手と自分の関係性をしっかりと客観的に考えてみれば、ハラスメントは起きないのではないでしょうか。

最近の世間は、個性が強く求められていると思います。
だからこそ、大きな枠組みで自分を語られるのを嫌い、自分自身を見て欲しいと思うのでしょう。
偏見はその大きな枠組みの最たるものだと思います。
個々の関係性を今一度見直すことが、ハラスメントをなくす第一歩ではないでしょうか。


それでも、相手を思いやれない人もたくさんいますし、自分を客観的に見れない人もいます。
そういう人に出会った時はまず然るべきところに相談して、親にでもなった気持ちで、お子ちゃまだな可愛いなと思っていれば良いのではないでしょうか。
気付けているあなたは素晴らしい無知の知をお持ちだと思います。


人類太古の文明でも、いじめは存在していたと言います。
少なくとも2000年、人間という生命が活動を行っているのに解決していない問題ということは、それが人間の性なんだと思います。
食べないと死ぬし、寝ないと死ぬし、人間関係で悩んでないと人間は滅びるのだと思います。

根絶は諦めても良いのではないでしょうか?

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