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球体の考える音楽

当たり前だが、真空中には大気がほぼ存在しない。つまり宇宙空間のほとんどは無音の世界だ。惑星には大気が存在するものもあり、つい先日もNASAが探査機から届いたデータを解析し、世界で初めて「火星の風の音」を聞くことに成功した。その音声は一般に公開されており、ネットを通じて誰でも聞くことができる。

つまり村上春樹のデビュー作のタイトルである風の歌を聴けは事実上火星の地表にも応用可能だということになる。村上春樹のファンなら知っているだろうが、初期の氏の文体はアメリカのSF作家(本人はその呼ばれ方を嫌っていたらしいが)であるカート・ヴォネガットやリチャード・ブローディガンなどに影響を受けている。これは個人的な信条にもなっていることだが、ロバートAハイラインの夏の扉の中で「完全に新しいものを作り出すことは不可能であり、既存の何かを組み合わせることによって新しいものが生み出される」といった旨のことが書かれている。だから何事も模倣や研鑽や組み合わせなのではないかと個人的には思う。

事実、小さな子がやる何とかごっこは全て何かしらの模倣でありロールプレイだ。だから俺は模倣し研鑽し組み合わせを試したい。これは俺のちっぽけな、ほとんど唯一の取り柄だが、言葉を組み合わせるのはそこそこ得意なんだ。なるべく正直な小市民であろうと努めてはいるつもりだが、嘘やデタラメだって並べようと思えばそれこそユージュアル・サスペクツのカイザー・ソゼみたいに自然に陳列することもできなくはない。ある意味ではこの雑記はその練習のようなものだ。まぁこんなことを練習しても特に何の役にも立たないのは分かっているが。


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