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ギラン・バレー症候群

少しだけ話題になっているが、6月10日に運営さんがおススメする厚労省から RNA ワクチンに係る「使用上の注意」 の改訂についてのお触れが出ていた。(https://www.pmda.go.jp/files/000246777.pdf

参考URLは厚労省お抱え行政組織のPMDAから抜粋したものだが、重要な点は以下の通りだ。

8. 重要な基本的注意
修飾ウリジン RNA ワクチン接種後に、ギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢 遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。

要するに投与後のギラン・バレー症候群に一応注意するように説明しましょう、という事だ。ではまずギラン・バレー症候群とは何だろうか。

ギラン・バレー症候群(以下GVS)は、末梢神経の障害によって、力が入らない、痺れる、感覚が無い・弱い、などの症状を起こす神経系の疾患である。はっきりとした原因は不明だが、感染症などを引き金に生じる事が多く、「活性化した免疫による末梢神経の障害」、つまり、基本的には神経系に対する自己免疫疾患の一種だと考えられている。

ワクチンとの関連で言えば、Johnson & Johnson製の核酸ワクチン接種ではGVSの発症リスクが有意に高くなる事が既に確認されていた。RNAワクチンの方では症例報告は複数出ていた(Clin Case Rep. 2021 Aug 30;9(9):e04756., SN Compr Clin Med. 2022;4(1):41.)が、統計的には微増するものの有意な差は無く、基本的には無視されていた。その点、ここに来て厚労省がこの疾患だけをこの様に取り上げた理由は少し不透明でもある。報告だけならそれなりの数が他の免疫系疾患でもある筈だからだ。国内ではそれなりの数の症例が報告されてきたのか、お偉いさんの身内に何かあったのか、私の調べが足りないだけかも知れないが、何か理由があるのだろう。

いずれにしても、厚労省が核酸ワクチンと自己免疫疾患の発症について危惧を表面化させ始めたのは良い傾向と言える。最初の症例報告からすれば「危険性の周知」としては遅過ぎるくらいだが、いつまでも無視し続けるよりははるかに健全と言えるだろう。

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