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おやじ呑み

大切な人と食事にでかけた。
凝り性でミーハーで貧乏性で、食いしん坊な私だから、リサーチに余念はなかった。
料亭、割烹、イタリアンやフレンチ、中華、舞妓付きビアガーデン。
行ってみたい店は山ほどある。
美味しいものが食べたい。
肉よりも野菜がよい。創作よりも素材がよい。
河原町にほど近い路地の小さな小料理店「喜幸」(きいこ)に決める。
青大豆のお豆腐をつきだしに、大好物の京都ビールで乾杯し、てっぱい(ぬた)やら茄子やら目前に並ぶ粋なつまみ。
店内の一角を占拠するイケスから活きのいい鮎を掬い上げて塩焼きにしてもらう。
頭と骨はのちに素揚げにしていただく。
これが絶品だった。
割烹着姿の女将さんらがカウンターの向こうで忙しく立ち回る。
シメに生姜ごはんをいただいて、店をあとにする。
至福の時間が永遠に続けばいいのに、と思った。

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