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『先生不潔事件』ランキング入りありがとう&ミステリは3000字もあれば書けるという話


『先生不潔事件』

 先日pixivにて投稿した『先生不潔事件』が男性ランキングの45位に入りました。微妙な立ち位置ですが前回はじめてランキング入りした『生塩ノアの手記:クリスマスケーキ消失事件』が75位とかだったので躍進ですね。


いえ〜〜〜い

 まあ先生不潔事件はプロットもまともに作らず書いたので少し複雑ですが……

 今回は先生不潔事件に関連して「ミステリは3000字もあれば書けるよ」という話をしていこうと思います。


ミステリの定義

 ここからは『先生不潔事件』のネタバレ全開で話をするのでそれでも良いよという方だけ先へどうぞ。……読むのに5分もかからないから、とりあえず読んできなよ(悪魔の囁き)

 さて、皆さんはミステリと聞いてどのような作品を思い浮かべるでしょうか?
 シャーロック・ホームズ? 怪人二十面相? それともコナン?
 どれも探偵が活躍する物語です。しかしながらミステリとは必ずしも「探偵小説」ではありません。

 私の考えるミステリの定義は物語に「謎」を含んでいること、です。いやはや、とは言えこのミステリの定義。様々な意見のあるテーマなのは間違いありません。殺人犯罪の謎を暴く物語のみがミステリだと主張する人もいれば、「謎」があればそれがどんなジャンルでも(たとえバトル漫画でも)ミステリだと主張する人もいる。私としては後者──広義のミステリの立場をとっています。

 例えばホラーやサスペンス、スパイものやクライムもの。そこに「謎」があるならば、立派なミステリと言って良いでしょう。
 ホラーなら「この怪物はいったい何なのか」とか。クライムサスペンスなら「どうやって主人公は犯罪を犯したのか」とか。謎についての論理的な解決を主眼に置いていなくとも、私はミステリだと思います。だってほら、その方が世界が広がるじゃないですか?

 

ミステリの作り方

 それでは「先生不潔事件」を例にミステリの作り方を簡単に解説します。
 実はこの小説は「これでもミステリ名乗ってええんやで」と、ミステリへのハードルを下げたくて書いた話でもあります。

 先ほど説明したようにミステリには謎が含まれています。今回で言えば「なぜシャンプーが空なのか」です。謎をどうやって作るのか、は流石に私が語るには難しすぎるテーマなので「頑張って考えてください」と言いたいところですが、私は実生活で種を見つけることが多いです。

 それこそ「なぜシャンプーが空なのか」という謎も実生活から見つけました。私は月に一回程度実家へ帰っているのですが、何度帰ってもシャンプーが空。1回目と2回目は「まあ薄めて使うか」と気にしていませんでしたが3回目で流石に「おかしいだろ」と指摘しました。オチは小説と同様です。私はてっきり家族が重度のズボラになったものと思いましたが……

 このようにリアルでも「なぜ?」の種が転がっていますので、「謎が思いつかない!」という方は少し外に出て「謎探し」をしてはいかがでしょうか。案外楽しいものですよ。

 さて謎が出来上がれば後好きなように書いても良いです。恋愛小説でも、SFでも、謎を中心に話を展開させれば立派なミステリです。ほらね、簡単でしょう?

 ……ええ、ええ。これでミステリの作り方を名乗るのは反則ですね。では少しミステリの解釈を狭め、「謎の解決」を主軸に置く物語とした場合の作り方を解説しましょう。

 謎の解決を主軸に置く場合、まっすぐ解決にたどり着くと「ご都合感」が強くなります。なので、まずやらなければならないのは「可能性」をつぶしていくことです。「謎」に対しての「解1」「解2」「解3」と様々な可能性を列挙していき、それを否定していきます。否定する手段は何でも構いません。論理的に間違っているならそう指摘しても良いですし、事前に否定に使えそうな伏線を張っておくのも良いでしょう。「先生不潔事件」ではシンプルに、コユキとノアが提示する仮説をユウカに否定してもらいました。

 ある程度可能性がつぶせたなら、あとは「真の解」を提示するだけです。推理によってそれが導ければより推理小説っぽくなるでしょうが、別に答えをポンと置いても良いのです。「先生不潔事件」でも真の解は先生の口から直接提示されています。

 提示されている謎も、その解も、正直クオリティの高いものではありません。下も下、これでミステリを名乗るのはおこがましいかもしれません。しかし、良いのです。ミステリは自由なのだから。

 謎を提示し、その解の可能性をつぶしていき、最後に答えを明示する。それだけなら3000字あればことたりるのです。

 と、ここまでは「見えている謎」の話。ここからは「見えざる謎」について語っていきましょう。

見えざる謎

 「なぜシャンプーが空なのか」は作中で明示されている謎です。しかし作中に明示していない謎が「先生不潔事件」にはいくつか存在していました。
 まとめると「なぜユウカがこの謎を提示できたのか」。これはあえて伏せていましたが、ノアの反応から透けて見えるようにしていました。この謎に対して「先生とユウカが関係を持っているかもしれない」という解を提示し、物語は終了します。

 こういったあえて明示しない謎が見えざる謎です。これは決まると脳汁の出る手法です。「ああっ! そういうこと!?」という反応を引き出せます。いわゆる「どんでん返し」「叙述トリック」にあたるものですね。

 見えざる謎は見えている謎と比べ、可能性を列挙しつぶす必要はありません。どちらかと言うと「驚き」を引き出すためのギミックなので可能性を列挙するとクドくなり「驚き」を引き出せないからです。

 これ一見難しいのですが、案外簡単に作れます。一回普通に物語をつくった後に一部の前提や設定を意図的に隠せばいいのです。わかりやすい例だと主人公の性別ですね。一人称は俺だけど、実は俺っ娘だったとか。……ははっ、つまんね。

最後に

 以上、ミステリの作り方でした。謎から話が展開すればそれだけでミステリを名乗っていいと思いますし、少し推理小説のニュアンスを加えたければ謎の解を複数提示しては否定し、最後に真の解を示す。それだけでかなりそれっぽくなると思います。……本格派のミスオタに殺されそうなこと言ってるな。

 ともかく、これを読んで少しでもミステリのハードルが下がっていれば嬉しいな、と思います。さあ、レッツミステリ!


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