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統合失調症と嫉妬と希望と

私は基礎疾患として統合失調症という病気を持ってる。世間では生き辛くこの病気は理解され辛く苦しい生活を強いられる。

16で統合失調症になって私は38歳になった。実に半生の半分以上が統合失調症との付き合いである。この病気は治療に気の遠くなるような長い時間がかかるのだ。

今の時代は便利で旧友が何をしているのかわかる。私は自分で言うのも恥ずかしいが小学生の頃は神童と呼ばれてた。たまたま小学校でIQテストをしたら地域で1番のIQだと先生がこっそり教えてくれた。

そして地元で1番賢い私立中学に入り、挫折した。周りが自分よりはるかに頭が良かったのだ。

小学校も国立だった為、時代もあるが小中高とも経済的に恵まれた環境の人々と学校生活を送っていた。

そんな私は統合失調症を高校生の頃発症して今では障害者雇用で時短で働くのが限界だ。今現在のような長期療養も必要である。

小中高仲良かった子をFacebookやGoogleで検索してみる。

中2の頃仲が良かったムロちゃんは弁護士になってた。小中高一緒だったイノマンは医者に。ダンチはゴールドマン・サックスからベンチャーの社長になってる。みんなチャリで学校に行ってた友達だ。ヒラヤマは公認会計士、ホソカワは外務省のキャリア官僚だ。スエマツはGoogleで……。書いてて泣きたくなる。

彼らとは縁もなくなりもう会っていない。過去には戻れないのだ。

自分は生きるのが精一杯だ。なんで自分がこんな病気に、と共に彼らへの嫉妬も生まれていた。

では、もし私が病気にならなかったらどうだったのであろうか?

恐らくは当時のレベルから東大は無理でも早稲田や慶応に行っていただろう。慶応はお坊ちゃまのイメージがあるから早稲田に行っていただろう。で、大学生活だ。どうだろう満喫するのかなぁ、多分勉強する気はなかっただろうな。そして子どもの頃好きだったラジオ局にでも入社してたかもしれない。

どんな人生でも挫折はある。
私が病気になっていなくても仕事の挫折は必ずあっただろう。結婚もうまく行くかもわからない。今でこそ夫婦生活も円満だが、父となれば私も自分の父親のように勘違いした家長となっていたかもしれない。仕事の重圧と家族の問題も多そうだ。私はアダルトチルドレンなので子供を本当に愛せない可能性が高い。結婚した今でも子供は作らない事にしているぐらいだから。


同級生は医者や弁護士などの聡明な肩書きを持ってる。でも彼らの努力は凄まじい。大学に行っても努力を重ね就職してもキャリアという肉体的にも精神的にもキツい仕事をしているだろう。

20年前以上のドラマだが踊る大捜査線というテレビドラマがあった。当時は空前のヒットをしていたのだがそこに出演する柳葉敏郎の"室井監理官"が私の頭から離れない。

国家一種の資格を持つキャリア組だが、自分の指揮次第で現場の刑事は死ぬかもしれない。上層部は自分の保身しか興味なく出世の為にあらゆることをする。半沢直樹だってそうだ。彼らのストレスは異常だ。

私はそんなエリートな人材になれたのだろうか。肩書だけ見て旧友のことを羨ましがってるのではないだろうか。

しかも旧友の彼らも家庭を持っているだろう。仕事と家庭のバランスを私は持てたのか。

恐らく潰れてただろう。
酒に溺れてたかもしれない。

そう考えると今の不自由でお金もないが妻と笑いの絶えない生活をしているのはとても恵まれているのではないだろうか。

屋根がある部屋で生活でき贅沢こそできないものの、ご飯も食べれて、ストレスをコントロールして生きている。

そこには妻であり両親であれ友人であれ介護サービスの人などの協力ありきだ。

日々周りの人に恵まれて困難な時は助けてもらってる。それは私が普段から彼らに誠実に接しているというのもあるが。

私は統合失調症になって2回目の入院になった時に絶望した。なんの為に小さい頃から受験勉強をしたのか。私は競争社会から弾き飛ばされたのだ。

でも今の人生には満足してる。
もちろん過去への悔いや未来への不安もあるが"生きている"。

生きているだけで私は満足している。
それはエリートから転落した泣き言でなく、統合失調症になったからこそわかった世界があったからだ。病気になってなければ、こんなにも他者に社会的弱者に優しくなれなかっただろう。

自分の寿命を削りながら重圧と共に生活する。

それよりも美しいものを美しいと感じたり、自分の周りの人を愛したり、そんな事は歪んだ性格だった私には恐らくできなかっただろう。

統合失調症になってから私は第2の人生が始まったのだ。辛いことも泣いたことも人生に悲観したこともそして、嫉妬したこともたくさんある。

でも、今できることにたくさんトライして充実してる。最近は自宅療養の作業療養として映画をみたり絵を書いてみたり。この環境は彼らエリートと比べると実に穏やかな人生を送ってるのではないだろうか。

だから、これからも私は諦めない。
ゆる〜く生活しつつも自分が出来ること、特に同じ病気になった人を助けたいという願望もある。

人生に勝ち負けなんてない。比較しても都合よく比較してるだけだ。Facebookやinstagramを見ても切り取った幸せしかそこにはない。負の側面というのは誰にでもある。

だから、私は絶対諦めない。
絶望に唯一打ち勝つのは希望だ。
お金じゃない肩書じゃない、本当の幸せを感じながら。希望だけは失わないで。


追記 普段は主にYouTubeでの情報発信をしています。統合失調症の方に特化した生き辛さを減らし生活の質を上げるチャンネルです。ご興味を持った方は是非、自分にとって気になる動画があったらご覧ください。

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