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第3回fuzzカップ決勝(非公式観戦記)

これを書いている2023年3月24日現在、まだ公式の観戦記はアップされていません。私はfuzzカップのファンですが、同時に各観戦記のファンでもあり、入会以降にアップされた観戦記はすべて楽しく読ませていただいています。

非公式よりも公式の方がいい
ので、公式がアップされたらぜひそちらを読んでください! 気づき次第ここに公式観戦記のリンクを設置しようと思っています。

さてfuzzカップですが、決勝は二見さんの連勝によるコールドという結果で、ある面では圧勝でした。しかし、

「圧勝≠ワンサイドゲーム」

であり、fuzzカップらしい見どころが凝縮された決勝でした。この凝縮部分だけでも書きたい!と思って、書いてしまいました。

fuzzカップの魅力は決勝前に以下のnoteに書きましたが、なんといってもトーナメント方式の駆け引きです。援護・差し込み・見逃し等の技を見ることができます。

決勝は半荘3回(2連勝でコールド)の対戦なので基本的に2位に意味がなく、普段のトーナメントとは違う展開になるかと思っていました。ところがコールド阻止という要素が生まれたことで、ある意味普段以上に条件を見据えた戦いとなり、図らずもfuzzカップの魅力が凝縮されたものとなったのでした。

以下、本編。
以下、出場者は敬称略。


第3回fuzzカップ決勝は2023年3月21日に行われた。
この日はWBC日本代表が、メキシコ相手に準決勝で劇的な逆転サヨナラ勝利を挙げた日だった。
またMリーグではレギュラーシーズン最終戦が行われ、2回戦でドリブンズの園田賢選手がトップを取った。

「やはり自分たちの得を追求することでしか迷惑はかけられない」

セミファイナル進出が絶望的な状況下でのトップに、園田選手は試合後のインタビューで、時に苦渋の表情を滲ませながらこう語った。

片山まさゆき先生の作品の有名なセリフにあるように、どんな打牌も誰かに有利で誰かに不利。すべての打牌は迷惑で、自らの得を追求することで迷惑は正当となる。

逢川のリーチが入っているこの場面。
赤3だがツモはもうなく、テンパイに至っていない。
逢川の河にソーズは9索しか切られていない一発目。

ここから中月は長考の末に赤5索を切るが、これも自分の得を追求した結果。

直後の佐治。
やはり長考の末、河底打牌に選んだのは無筋の6索
これも自分の得を追求した結果である。

fuzzカップ決勝は、全3回戦で1、2回戦で連勝者が出た場合はコールドとなる。
1回戦トップは二見。
二見は2回戦も東4局にドラ入りチートイツツモアガリの2000/4000でトップに立ち、南1局に逢川の連荘で一時2着に落ちたものの、南3局、自身の親番での2600オールで再逆転。さらに5800は6100の出アガリで加点して、この時点でトップ二見、二着逢川の差は18100点となっていた。

このまま二見がトップで終了すれば3回戦を待たずに優勝が決定する。
1回戦2着、3着だった中月と佐治としては、仮にオーラス逢川が二見を逆転する未来があったとして、ここで逢川に差し込めば自身のラス落ちまである。トップ・2着ときた二見を3回戦で逆転できるのか?という葛藤もあったと思われる。

中月と佐治は「差し込みが得」と判断した。
赤5索と6索が抜き打たれたが、逢川の待ちは4-7索だった。

差し込みは成功せず、逢川の1人テンパイで迎えた南4局3本場。
二見、逢川の差は15100点。

二見はコールドでの優勝が目前だが、決して楽ではない。
逢川は逆転となる3000-6000を目指して進行するが、親の佐治がアガる限り何度でもやり直せる。中月は二見から16000以上の直撃が望めなければ決してアガらず、下家の二見に対して牌を絞るだろう。
二見が自らアガってケリをつけない限り、終わりそうもないオーラスである。
そして3回戦があれば、勝負はどうなるかわからない。

南4局3本場。
親の佐治が2-5索待ちリーチといくと、
中月が一発目に無筋のドラ8索でまたしても差しにいく。

直後の逢川。

5索を切るとカン七萬待ちで、ダマでも出和了8900、ツモで3000/6000。
ツモか二見からの直撃で条件クリアだが、打ち出される5索は佐治のアガリ牌。

今度は佐治がこれを見逃す
しかし結局逢川の逆転手は実らず、佐治もツモれず流局となった。
開けられた佐治の手を3人が確認する。

見逃しか①
見逃しか②

心に浮かぶことは何だったか?
中月も自分を殺して絞りに徹していた。
二見包囲網が敷かれている。
包囲網の中で逆転への条件が徐々に軽くなる。

南4局4本場
アガらなければ終えられない二見が2副露してテンパイ。カン③ピンから②ピン単騎に受け変え。

同順、佐治は②-⑤ピン待ちでテンパイするが、他家から②ピンが打たれれば頭ハネで二見のアガリ。優勝決定となる。

逢川の②ピンは危うい形だった。

逢川はここから打9索

中月は倍満以上、裏ドラ次第ではトリプルもあり得る手だが、

中月はここから打7索

②ピンは打ち出されず、六萬を引いた二見が打②ピン。
佐治のアガリとなって優勝決定は持ち越された。

南4局5本場
二見、逢川の差は7000点まで縮まる。5本場なので1000-2000ツモで同点。
結果は中月の1人ノーテンで流局となるのだが、ここではちょっと珍しい光景が。
二見、逢川のリーチはともにカン七萬で、その後佐治が七萬を暗カン。
一瞬にして2人リーチがともに純カラに。

流局時、珍しい光景に笑いが漏れる。

南4局6本場
逢川はとうとう直撃なら1000点でもいいというところまで迫る。
だが二見が2つポンしてタンヤオでテンパイを入れ、4索が暗刻になって単騎に待ち変えしたところで逢川から⑤ピンが出る。

このアガリで決着。
長かった南4局を自力で終わらせた二見の2連勝コールドでの優勝の瞬間である。

南3局と南4局だけで様々な思考、思惑が乱れ飛び、各自が「得」を追求して時に見逃し、時にあえて危険牌を切り出している。

今回はコールド回避を巡ってこれらが行われたが、普段はトーナメント方式の2位勝ち抜けを目指した駆け引きの中で、これらが毎試合のように行われる。
これが実に面白い。

トーナメントの面白さを語った二見の優勝インタビューで、締めくくりとしたい。

「2人勝ち上がりのトーナメント戦って競技麻雀特有のもので競技選手になって初めて体験できることが多いと思うんですけど、面白いんですよ、めちゃくちゃ。
打ってる選手側はもちろん、見ていてくださる側も非常に面白いと思うんですよね。普通の麻雀と違ってトータルポイントのこと考えたり、並びを作りたいからここからは見逃そうとか、選手の思惑が伝わって楽しんでもらえたと思う」


最後になりましたが、素晴らしい大会を開催していただきましたfuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。観戦していただいたファンの皆様。いつも本当にありがとうございます。
優勝した二見さん。おめでとうございます!
決勝卓を囲んだ中月さん、逢川さん、佐治さん。ギリギリまでやれることをやる姿勢、感動しました。
準決勝までの素晴らしい試合を見せていただいた選手の皆様、お疲れ様でした。本当にありがとうございました。


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