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データ分析と交渉術~病院内でのデータ分析者のサバイバル術その①~


私は急性期病院の経営企画部門に所属しているデータ分析担当者です。本稿では、データ分析のスキルではなく、「交渉術」について論考してみます。交渉術の要諦に関しては次回その②に論考しますが、今回は院内データ分析者の最低スペックについて論じたいと思います。

序論ーデータ分析は問題解決の一プロセスである

データを分析するということは、何らかの目的があります。
分析するということは、自分で課題がわかっていて、それを検証するとか、誰かに頼まれて仮説を検証するなどと
いった前段階がある。必ず、"仮説"があるわけです。
仮説があるということは、その分析結果をみて、何かに生かす、何かを変えたいということが根底にあるというのが前提です。
その疑問に答えを導き出し、実際に課題を解決できるまでが重要です。
分析は問題解決の中の一プロセスに過ぎないが、もう、ここは
拡大解釈して、データ分析は"問題解決"であると定義したい!(゜レ゜)ハっ!?

データ分析は問題解決のいちプロセス

当たり前ですが、分析に携わっているものとして、
私の個人的な見解では、いっちょ分析してみるか、とか分析しといてと言われる立場の人間(データ分析担当者)は、
以下のようなことが出来なければならないと思っています。(データサイエンティスト協会のスキルマップとは次元が違いますのでご了承ください)

本論 Ⅰ データ分析者の最低スペック

1.仮説/論点思考が出来る。
つまり、何が課題かを察知する能力=仮説が立てられる。
また、混沌とした課題のポイントを整理できる=論点を整理できる。

2.スキルと知識を兼ね備えている。
①分析するための変数が持つ意味を知っている
②データベースから変数を取り出すことが出来る
③複数のデータベースを結合することが出来る

3.アウトプットが出来る。
仮説を確かめるためのデータをわかりやすいように資料にまとめる。
つまり、見せたい相手に対して訴求力のあるドキュメントが作れるかどうか。

4.交渉力がある。
説明し、相手に納得してもらえる能力があるかどうか。
全部ひとりで出来るのが望ましいが組織としてこの役割を適切に実行出来る能力があるかどうかが、
問題解決能力の高さを示すのではないかと思っています。

Ⅱ 陥りがちなデータ分析のジレンマからいかに抜け出せるか

データ分析のスキルやデータの場所や抽出方法、変数そのものの意味を知っているというのは、必須のスキルで、勉強さえすれば誰も習得できます。
しかし、仮説の立て方が間違っていれば、せっかく作った分析資料は無駄になってしまう。
単なるマスターベーションでしかありません。
幸い、私の部署では、仮説をきちんと立てた上で検証を行うので
それが仮説と相反する答えであれば、さらに次の仮説を立てるので
マスターベーションに陥ることは極めて少ないというか、皆無に等しいです。

しかし、他の組織と方や他の部署の人と会話をすると、課題が多すぎて、
どこをとっかかりにして、どんな仮説を立て、分析を進めていけばよいのかがわかっていないような印象を受けることが数多ございます。
仮説の立て方がぼんやりしているということです。つまり、論点が明確でないということにも繋がります。
これがずれているとどんなに分析のスキルを高めて、そもそもスタートや切り口が最終ゴールと結びついていないので、論点がずれてくるだろうと感じざるを得ないのです。
全体を俯瞰してみたうえで、プライオリティの高い課題発見、そして、分かった課題に対してどうすればよいかを考えること。
この単純な流れが意外と重要である。そのためには、データを使って何かを出したいという考えはナンセンスで、一番クリティカルな経営課題は何なのかを考察する作業を行わなければならないです。
分析した結果、こんな傾向になりました。で?ってなる分析は意味がありません。当たり前のことですが・・・。

実際にある部署のスアッフがアンケートの集計結果をもってきて、
ここから何かでますか?統計解析をしたいんですが、的な相談を受けることがあります(よーくあります)。
アンケートの目的はなんだったんですか!?と思わず聞いてしまいます。
(これはあまりにも初歩的事例ですが・・・)

次回は、データ分析後のアクション-交渉術の要諦に迫ります。



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