◆業務委託契約のフリーランス等に係る労災保険の対応について◆

 まず、労災保険は会社に雇用され賃金を受けている者、いわゆる「労働者」が業務中に災害に被災した場合に保護を目的とした制度です。

 よって、事業主、自営業者(個人事業主、フリーランス等)は対象になりません。

 ただ、建設工事において、仕事中の危険性は、雇用される人(労働者)であろうと、事業主や自営業者であろうと変わりはありません。このような状況の中、「労働者でない」という理由だけで対象外にするのは著しく公平性を欠くことから、労災保険特別加入制度があります。この制度は、労働者でないものが、建設工事現場に入場する等で災害に罹災する危険性の高い業務を行っている場合においては、労働者と同様の危険性の中で仕事をする場合となり、労災保険と同等の保護を行う必要があるため設けられています。国民健康保険の利用では労災保険のような充実した保護が行えません。また、民間の傷害保険は掛け金が高額となり、保護範囲も限定的です。

 以上より、建設工事業界においては、現場に入場する者は労災保険もしくは労災保険特別加入制度により保護される者のみ入場可能としております。
これは、現場に入場する者が、労災に被災した際、雇用形態等により不利益を被らないようにするためと、万一労災が発生し、訴訟に発展した場合、元請負者の労災保険が使えず、元請負者の負担で賠償金を支払う必要が発生するためで、元請負者は特に労働者でないものについてはすべて労災保険特別加入をしているか、を確認しています。

上記の理由で、「業務委託契約のフリーランスは国民健康保険の利用となる」というような解釈をすると、労災が発生した際の不利益を肯定したものと見なせるため、不適切であると言えます。
 よって、
「業務委託契約のフリーランスは、労働者でないため、通常の労災保険が適用されない。よって、労災保険特別加入をしているか確認する。」
とするか、
「業務委託契約のフリーランスは、労災保険が適用されないため建設現場等に入場させない。」
とするのが正しいと言えます。

詳しくは社労士さんにご相談いただくとよろしいかと思います。

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