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【放射線の話】ビームライフルと機関銃

前回は放射線には電離という作用があるものとないものがあるよ、という話をした。

今回は電離放射線の中でも二つの種類があるという話をしたい。

「なんだよ、電離するとかしないとか、それだけでもよくわからないのに電離放射線の中にも種類があるの?」

そうおっしゃるのももっともである。

放射線と一口に言っても、色んな種類のものがごちゃっと混ざってるから分かりにくいんだよなぁと思う。


前回紹介したのは、X線とかガンマ線とか呼ばれる電磁波で、種類としては可視光線とか電波と似たものだった。

波長がすごく短い(エネルギーが高い)ので電子と相互作用を起こして、電子を吹き飛ばす。

これが『電離』であり、『電離』が起きると、原子の電荷バランスが不安定になって、周りに影響を与え始めるのが問題だった。


実はこの『電離』という作用に注目すると、自然界にはもう一つ、粒子線という電離放射線が存在する。

粒が飛んでくる線、粒子線だ。

ヘリウム原子核(陽子2個に中性子2個)が飛んでくるものをα線、電子が飛んでくるものをβ線などと呼んだりする。

また、人工的には水素原子核(陽子1個)や炭素原子核を加速させて打ち出すことが出来、それぞれ陽子線、重粒子線と呼ぶ。

このように原子の構成要素(電子、原子核、陽子など)がものすごいスピードでほかの原子群に突っ込むと、これまた電子を吹き飛ばして電離させるのだ。


「電磁波と粒子線、ずいぶん違うこの二つをイメージするのに何かないかな?電磁波がビームライフルだとすると、粒子線は機関銃のようなものかな?」と思って調べてみたら、かの有名なロボットアニメに登場するビームライフルは、『ミノフスキー粒子をIフィールドで縮退・融合させて生成したメガ粒子を、同じくIフィールドを収束させて発射する粒子ビーム砲』なんだとか。(引用元:https://gundam.wiki.cre.jp/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AC%E7%B2%92%E5%AD%90%E7%A0%B2)

これじゃあ、まんま粒子線じゃないか。

エヴァンゲリオンに登場するポジトロンライフルは陽電子を打ち出す粒子線だし、波動砲とかゲッタービームは物理的な原理の説明は殆どないものの、飛んでくるのが目に見えるので電磁波よりは遅い何かなのだろう。

電磁波だと秒速30万キロという圧倒的速度で進んでくるので、敵から打たれたところで避け様がないし、目にも見えないしで、アニメで表現するときには色々と都合が悪いのかもしれない。

調べていて一番電磁波っぽいなとおもったのは、マジンガーZのブレストファイヤーだった。

『ブレストファイヤーはマジンガーZ胸部の放熱板から発射される、摂氏3万度の超強力熱線』。


電磁波粒子線、物理的には全く異なるように思える現象なのだが、『電離』を引き起こすという意味では、電離放射線という仲間に分類されるのである。


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