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五兵衛米から広がるお米プロジェクト~村田佳平さんにインタビュー

フリーライターの上野です!
近頃は、イマトドカフェでちゃいろ飯を作ったり、料理教室の先生もどきの活動をしておりましたが、もともとは物書きが仕事なんです。

そして今回は、「五兵衛米」から広がるお米プロジェクトに取り組む、村田佳平さんにインタビューさせていただきました。

「五兵衛米」は地下水と有機栽培で作った奈良県産のヒノヒカリ。寛永3年(江戸時代)村田五兵衛から始まった奈良の富雄に位置する米蔵なので、「五兵衛米」と名付けられた、村田さんちで収穫されたお米です。

米作りは暮らしの中にあり、常にも身近にあったと話す村田さん。田植えや稲刈りでは親戚中が集まって協力して米作りをする中に、当たり前のように自分も存在していたそうです。

本業は父親や兄と経営する保険の代理店。専業農家ではなく、兼業農家として農業を続けてくる中で、米作りに対する思いが変わってきたと話す村田さん。村田さんに米作りに深く関わるようになったきっかけや、現在取り組んでいるプロジェクト、これからへの思いなどを伺いました。

米づくりに深く関わるようになったきっかけを教えてください。

髪型もファッションもおしゃれな村田佳平さん

生活の中に米作りがあったので、兼業農家を当たり前のように受け入れていました。これまでは、お米を作っても、家の分を残し、知り合いに少し分けたら、残りはすべて農協に買い取ってもらっていました。正直なところ、買い取ってもらう金額は満足のいくものではなく、自分たちが食べるために米を作っているという状況だったんです。

あくまでも本業は保険の代理店のお仕事だったのですね。

はい。妻と結婚して状況が変わり始めました。妻の父親が大阪の焼肉店を営んでいるわけですが、うちのお米を食べてもらったときに「これは旨い」と言ってもらったんですね。それから、ぜひ使わせてほしいということになり、お店で使ってもらうことになりました。大阪の老舗の焼肉店なので、かなりの米を使ってもらうようになり、米作りにも力を入れるようになりました。

自分たちが食べる量とはまったく違う量の米を作ることになったわけですね。


五兵衛米はインターネットで購入可能

米を作っていない田んぼも復活させて、今ではサッカーコート約1.5個分(約3600坪)まで広がっています。そして、米作りを続けていく中で、同業者の問題やお悩みを数多く知ることになりました。うちのお米は焼肉店という売り先がありますが、作っても販売するルートがない農家さんも多いんですね。結局、安くても農協に買い取ってもらうしかない農家さんがほとんどです。また、後継ぎ問題も深刻で「誰も田んぼ継いでくれへんわ」という農家さんも多い。うちも同じ問題を抱えていたわけですから、何とかできないかとずっと思っていました。

村田さんが、本格的に動き始めるのはここからですね。

これまで、父親の保険代理店の仕事も、実家の兼業農家で米作りを始めたのも、すべて受動的だったなと思ったんです。それはそれで何の問題もないのですが、もっと自分がわくわくする、自分が決めた道を歩いてみたいと思い始めました。うちではお米を作っているし、妻の父親が大阪の焼肉店を営んでいるし、周囲には知り合いの農家さんもたくさんいる。「食」に関するキーワードが自分の中でつながっていることに気付きました。自分が「食」をキーワードにつながりを広げ、いろいろなプロジェクトを始めることはできないかなと思ったわけです。

農業を新しい発想で広げるのが村田さんの「使命」だと思ったそうですね。

農業って大変とか、しんどいとか、そういうイメージがあります。もっと農業を面白く、わくわくすることを考えたいと思いました。楽しいことを考えるのが好きなんですよね(笑)。イキイキできる仲間が増えて、それにお客様がたくさん集まったらいいなという思いから「おむすびプロジェクト」が始まりました。

具体的に、どんな活動をされているのか教えてください。

最初は、大阪の飲食店にお米を販売するルートを開拓しようと動いていました。ところがコロナ禍で状況は一変。個人のお客様にもっともっとお米をPRして、おいしいお米を食べてもらいたいと、最初の思いに立ち戻りました。その頃、「イベントに出店しませんか?」と声をかけていただき、初めてお米を販売しました。おむすびのワークショップをやって、食べていただいたんですが、とても反響があったんです。

直接エンドユーザーに販売するのは初めての経験でしたか?

そうなんです。初めての経験でした。直接お客様の声を聞くことがこれまであまりなかったので、すごくうれしいものだなと実感しました。ただ、お米の量り売りだけではなかなか足を止めてもらうのは難しく、「お米は食べてもらって初めて買ってもらえるもの」だと思ったんですね。イベント出店の依頼は引き続きありましたので、、妻と友人たちがお米を使った商品化に取り組んでくれて、「おむすび」「五平餅」「みたらし」などを販売。これもとても評判が良くて、おいしかったのでお米も一緒に買ってくれるお客様も増えてきました。

次々に話が広がっていくのは村田さんの人柄ですね。

この笑顔で村田さんのファンになっちゃうんですよね

どのイベントも、同じ出店者どうしでとても仲良くなるんですよね。その中のひとりから「おいしいお米を米粉にしてほしい」という声があり、知り合いに相談して米粉を作ってもらうことにしました。それが昨年の秋です。去年は外に出ていくことによって、どんどん繋がりが広がった1年でした。

田んぼでフェス(イベント)も開催されたそうですね。

以前からやりたいと思っていたことのひとつが、「食」「農」「音楽」をミックスさせたイベントだったんです。イベント出店で仲良くなった人が「大阪の人は、そういうものを求めているから広めてあげるよ!」と言ってくれて、田植えイベントも実現。去年の春ですが150人もの人が集まり、いろいろなお店に出店もしていただき、田植え体験やDJも呼んで1日盛り上がりました。秋は稲刈りイベントと田んぼでの大運動会も開催。一輪車レースや竹引きなどを大人も子どもも一緒になって楽しみました。「土」と「水」と「空気」を味わってくれた人は、本当の五兵衛米のファンになってくれましたね。

五兵衛米のファンというより、村田さんのファンというかんじですね。

父親は、ずっと全国NO.1を取り続けたセールスマンだったんです。それをずっと見てきたので、人を巻き込んだり、すぐ仲良くなったりするのは、血筋かもしれませんね。父親も自分の作ったお米が、評価されて広がっているのを喜んでいます。

2023年はどのように活動を広げていこうと思っていますか?

「米」と「米粉」単体では、そこまで広がらないので、イベントで行ったように商品化に力を注いでいきたいと思っています。京都で子ども食堂と惣菜店を運営されているママさんグループに、米粉を使った商品開発を依頼しています。それをブランディングして販売まで手掛けようと計画中です。1月のイベント出店を皮切りに2月は難波マルイ、3月は万博公園などにも出店します。自分だけが抱えるのではなく、もっと多くの人に関わってもらって、みんなでわくわく楽しくできたらと思っています。

米粉を使ってどんなものが商品化されるか楽しみですね。

お菓子作りが好きなママさんたちに商品化をお願いしているので、ぼくがその話を持ち掛けたら目を輝かせて「やりたい」と言ってくれたんです。イキイキと意見交換しながら進められているので、ぼくはそれを広める手段を考えて、作り手が表に出るように仕掛けていきたいですね。

村田さん自身が周囲から声をかけてもらって広がった活動を、村田さん自身が声をかけてもっと大きく広げているんですね。

米袋がどんなバッグになるのか、楽しみ♪

思ったことを行動に移しているだけなんですよ。実は「食」以外のプロジェクトも進行中なんです。これまで、30kgの玄米を入れる米袋って、使ったら廃棄するだけでした。イベント中に米袋に貴重品を入れて、クラッチバッグみたいに小脇に抱えていたんですね。その写真をストーリーにアップしたら、ある人が「米袋バッグ流行っていますよね」ってメッセージをくれたんです。知らなかったので検索してみたら、実際販売もされていてびっくりしました。今まで全部捨ててましたから(笑)。

「米袋バック」はまさにアップサイクルですね。

そうなんです。今、捨てられるはずだったものに、新たな価値をプラスして、より質の高い素材や製品に商品化するということが注目されています。米袋を商品化しようと知り合いに頼んで制作しているところです。米袋って30kgの米が入るので、頑丈なんですよ。「おしゃれ」「かっこいい」「楽しい」というキーワードがプラスされていないと、なかなか今の人には響かないので。農業のイメージも少しずつ変えていくことにつながればと思っています。

ここまでのお話がすべて約1年間のお話というのが信じられませんね。すごいスピード感です。

1か月先にインタビューしてもらったら、また新たなことを始めているかもしれません(笑)。周囲の方のおかげですし、ありがたいですね。

以前、イベントに参加した方から「村田さん、私たち手伝えることはありませんか?」って聞かれたことがあるんです。草刈りとかしますよって。そこでみなさんに伝えるのは、「お米を買って食べてください」ということ。定期的に買ってもらわないと、農家はお米を作り続けることができません。お米を買っていただき、農家を買い支える仕組みをきちんと作っていきたいですね。

「五兵衛米を多くの人に食べてほしい」と話す村田さん

五兵衛米
大阪に隣接する奈良県北部で作られているヒノヒカリで、6年連続食味ランク「特A」を獲得する、おいしいお米です。ミネラル豊富な地下水を汲み上げ、有機肥料を使って丹精込めて作り上げました。ねばり、甘み、つやなどがほどよくバランスのいいお米で、噛めば噛むほど、甘みが広がります。

五兵衛米粉
有機特別栽培のお米(奈良県産ひのひかり100%)から湿式気流粉砕の製法を採用して作り上げた米粉です。でんぷんがほとんど壊れないので、とても水分の吸収が良くお菓子作りなどにぴったり。

 五兵衛米10kg 6,000円
 定期便 五兵衛米10kg 5,500円(3か月ごとに全3回のお届け)
 五兵衛米粉 500g 600円

お買い求めはこちら
ショップページ:https://gohei.thebase.in/


おむすびプロジェクト
これからの農業を考え、今ある様々な問題を「面白い」「楽しい」「ワクワク」に変えていくプロジェクト。たくさんの人とモノをむすび、生産・製造・加工・サービス・販売の全てをプロデュースしています。そして、たくさんの人とモノの循環を作り、大きなワクワクとお金を循環する仕組みを作るために活動中。





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