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見るべきものは見ずに帰ろう。

遠く離れた土地で人に会うと、「〇〇はもう見たん?」などと聞かれることがある。特に観光地や景勝地には一度は見るべき・体験するべき物事というのがあって、それを見ずにはその地域を体験したことにならないというような圧を感じることもある。
それはもしかすると、やってきた人がその土地に迎えられるための儀式のようなものなのかもしれない(自分だって初めてやってくる人を案内するならば定番スポットに連れていくだろう)。

一方で、地元民にとっての日常であり、別にアピールポイントでも何でもないところに注目することは、少し不思議な目で見られることがある。

確かに、珍しいものに目を引かれて写真を撮ることはある。でも、それは必ずしも文化的距離による物珍しさだとは限らない。よく知った場所であっても、半径1キロメートルの中にはたくさんの珍しさや綺麗なものがあって、そういうものを少しずつ集めたいと思っているだけなのだ。


最近は映えスポットを開拓して人を集めようという取り組みが多いし、SNSでは同じような場所の写真ばかりが沢山のいいねを集めている。でも、後から思い出して記憶に残る景色というのは、意外となんでもない場所だったりするのだ。
定番スポットを定番通りに撮ろうとするとき、なんだか妙な義務感に突き動かされているような感覚がする。それはきっと、何かを消費させられているからなのかもしれない。

それならば、今は見るべきものを見ないでおこう。食べるべきものを食べないでおこう。そうやって大きな流れから少しはみ出してみるのも、たまには良いんじゃないかな。

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基本的には日記ですが、たまに深いことを書いたり書かなかったりします。分量で著者の疲労度が測れます。

少し遠くに行ってみよう。人生が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。あるいは変わったとしても、気づかないかもしれない。だから、何か…

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昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま