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「やさしい」に含まれた意味

好みのタイプはどんな人ですか?の回答第一位は「やさしい人」だと思います。ここに含まれているやさしいは、人によって違います。

きちんと自分の話を聞いてくれる、自分だけを見てくれる、感情的にならない、自分のわがままを聞いてくれる、忍耐力がある、暴力を振るわない、などなど、その人を「やさしい」と言った人の価値観で変わります。ある人にとってやさしい人であっても、違う人にとっては刺激のない人、ものたりない人と思われることもあって相対的なものです。

自分のことを「やさしい」という人もいます。相手の言ったこと、やりたいことをできるだけ聞いてあげるようにしているとか、丁寧に人の意見を聞こうと思っているとか、相手の将来を思ってきびしいことをあえて言うとか、その人なりの価値観によって言われているやさしさかもしれません。また、他人に自分の意見を言うことができなくて、いつも妥協ばかりで、自己犠牲をしている自分の弱さを指して自分のことをやさしいと言っていることもあります。

と、やさしさを語りだすと長くなってしまうのですが、一般的に、やさしいというと、「ひと当たりが柔らかい」ことを指していることが多いのではないでしょうか。一時的な関わりだったり、自分には影響度がほとんどない人に対しては、ひと当たり柔らかくしやすくて、こういうのは表面的なやさしさとも言えそうです。

しかし、これが、自分の日常に関わったり、自分への影響度が大きいと、やさしくなんでも受け入れることはできなくなります。

例えば、お隣のおうちの一人暮らしの高齢者の方が、足を骨折してしまってから、庭の手入れができなくなって、雑草が生え放題、木は伸び放題になり、害虫や動物の糞尿で悪影響を被っていたとします。そこに、年に1回しかこない遠くに住んでいる息子さんに会ったら、ひとこと、ふたこと言いたくなりますよね。やさしくはできないかなと思います。

この例のような、継続的な関わりや影響度がある高齢者や息子にやさしく接するようにするには、表面的なやさしさでは対応できません。どうしたらいいでしょうか。

NPOが「困りごとを抱えている人にとってやさしい社会を創ること」といった場合のやさしさは表面的なやさしさ以上の意味が含まれています。

この問題を解決しようとするNPOはまず、こうした高齢者が家の管理ができなくなっている状況について地域の調査をして、固有の問題なのか、地域全体の問題であるのか把握をしようとします。その調査の結果、地域全体の問題であることがわかったら、その情報をもとに問題の構造的にしたものを公開して専門家や当事者、関係者と話し合って、理解を深めていきます。それから同様の問題を解決した他地域の事例提供をしたり、実証実験事業を行い、その有効性を確認し、自治体や福祉法人と協働で事業を実施したりします。その事業の一環で相談窓口を開設し、今回の例の高齢者の隣の方からの相談を受けて、担当者につなぐといった仕組みをつくります。ここまでやれて初めて、隣の高齢者と息子にやさしく対応ができるようになります。

このように、NPOが言う「やさしさ」は、深く・広くその問題を知り、困りごとを抱えている人と向き合いながら、周りの人を巻き込んで、全体でやさしい対応ができるように仕組み化していくことなのです。

NPOで働くことは、社会をやさしくすることにつながっていると同時に、やさしくあるための強さを知ることにつながります。

今回は、「やさしい」に含まれた意味というお話でした。

私はNPOの伴走支援やNPOで働いている人のコーチングを仕事にしていますので、このnoteを読んでいいなと感じた方や、無料相談をうけてみたいと思った方は以下のホームページのお問い合わせからご連絡ください。


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