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NPOの伴走支援におけるオーナーシップについて考えてみる

先日、某団体のオンラインイベントに登壇させて頂きました。今回のnoteではそこでお話させて頂いた内容を資料と共に共有します。

2つのオーナーシップ

イベントのお題は「オーナーシップ」でした。オーナーシップの言葉の定義は、大きく2つあって、➀そのプロジェクトのオーナー(所有者)という意味で、責任者や決裁者を指し、➁個人や団体が与えられた職務やミッションに対して主体性を持ち、取り組む姿勢やマインドのことをいいます。

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伴走支援が始まる前の段階では、➀プロジェクトのオーナー(所有者)の考えをよく聞き取って、オーナーが何を求めているのか、どんな成果物が必要なのかなどを明確にしていくことが大切になります。例えば、NPOの実質的なオーナー(代表や理事等)が、団体のファンドレイジング担当だけだとなかなかうまくいかないので、外部の専門家に伴走支援をお願いしようと思い、その際の期待値として、「〇〇〇万円の寄付が集まる」とか、「マンスリーサポーターが〇〇人増える」、「代表のフォローがなくてもファンドレイジング担当が企画を立案し、推進する力をつける」などを想定します。そこから、伴走支援者の候補者探しをして、団体の現状や課題、期待値を話し合ってお互いが合意すれば、伴走支援のお仕事がスタートします。

多くの案件は明確な基準や成果物があいまいなまま始まる

外部人材に委託をする場合、NPOのオーナーがそうした基準を提示することでオーナーシップを発揮し業務委託契約の内容まで落とし込んでいきます。

私も伴走支援者として活動をし始めた時はこの流れがあたりまえのように思っていましたが、実際やってみると、YouTubeの動画を編集したり、報告書を作成するといった成果物が明確に決まっているものももちろんありますが、多くの案件は明確な基準や成果物があいまいなものでした。

つまり、NPOの明確なオーナーシップを前提にしてしまうと、伴走支援のお仕事を得ることはできません。「これからどんなことが必要になるかわからないので明確なことは言えないんですが、その時その時の意思決定の相談役として関わってもらったり、足りない部分があったら実際に手を動かしてその部分を埋めることをしてもらいたんですけど。」みたいな感じで依頼され、期待値も基準もないまま「んー、まー、とりあえずやってみましょうか」と始まっていくのです。

ゆるくはじまった案件こそ2つめのオーナーシップが重要に

始まりはこうしたゆるい感じなのですが、このままだと成果はうまれませんから、一緒にいろいろやっていくわけですが、この始まってからが➁の個人や団体が与えられた職務やミッションに対して主体性を持ち、取り組む姿勢やマインドの側面がとても大切になります。

伴走支援者として、NPO側のオーナーシップはどんな感じなのかなと、様々なやりとりや活動を通じてみていきます。クラウドファンディングの伴走支援を例にとると、過剰に外部の専門家に期待をしている場合があります。

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一つずつ説明していきます。

新規寄付者が欲しいが、自分達では開拓するリストがないので、外部のファンドレイザーの関係性から寄付者を得たいと思っている場合。これでは名簿業者と同じです。SNSのフォロワーをお金で買うのと同じくらいの虚しさです。オーナーシップ度合いが高い団体さんは「新規寄付者を開拓するための行動計画を一緒につくってください」となります。

次のケースは、担当者がいないので代わりに、既存寄付者のコミュニケーションをして満足度を高めて欲しいという場合。これはメールとか電話とかの代行に近い感じでしょうか。団体のSNSのフォロワーが多かったり、メルマガ購読者数が多いなどのつながるチャネルがあればまだいいですが、こういうことを言う団体さんは逆なことがほとんどです。オーナーシップがある団体さんは、「人的リソースが厳しいので、既存の支援者とつながるチャネルを一つに絞り込んで強化したいのですが、どういう観点があるか一緒に分析・検討してくれませんか」と言ってくださいます。

次は、なにか目新しい寄付者向けイベントやキャンペーンをやって寄付者の関心を集めたいというケースの場合、様々な事例をお伝えすると、「じゃあ〇〇をしましょう。」とまるまるパクろうとする団体さんがいます。世の中に公開されている事例は、成功に導く一番大切なことが抜かれた上でいいことだけが記載されているお話ですから、参考にする程度で自団体の価値をしっかりとのせていく必要があります。それをしない団体さんのオーナーシップは低いかなと思います。

オーナーシップが低かったらどうする?

こうした団体さんが持っているオーナーシップ度合いを確認したうえで、低かったらどうするか?ですが、昔は私も力不足だったので、それがわかった時点でお断りしていましたが、今は、変化をする意志があるかどうかを問うようにしています。大きく以下の3点のことが多いですが「今のままだと何をしても寄付は集まらなくて、その原因はこうです。その原因をクリアしてから寄付集めをしたいのですが、変われそうでしょうか?」と。

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ここまでお伝えして、怒りだしたり、言い訳をしたり、微妙な顔をしていたら、お断りします。実際、私からお断りすることはなくて、NPOさんの方からお断りされるか、連絡がこなくなります。

伴走支援のはじまりはあいまいな感じで始まっていきますので、進めながら団体さんのオーナーシップを確認していくことが、とても大切です。でないと、搾取されたと感じたり、いやな気持になったり、一緒に成果を喜ぶことができなくなってしまいます。伴走支援のお仕事はこれからずっとやっていきたいと思っているので、そのために大切に持っている私のルールです。

よりそう伴走支援と、よりそわない伴走支援

伴走支援を始めたころは、団体さんの悩みによりそう伴走支援者になろう!と思って活動していましたが、最近は、変化を問う場面が増えてきていて、よりそわない伴走支援のケースもあります。よりそわないといっても、長い目でみたらよりそっているわけですけれども。個人事業主にとってつらい失注を覚悟して、変化を問う時は、なかなか精神的につらいですが、しょうがないですね。

今回はオーナーシップをキーワードに私が伴走支援する時に守っているルールについてお伝えしました。少し厳しい印象を持たれた方もいたかもしれませんが、オーナーシップをきちんと持った団体さんに対しては、期待以上の成果がでるように頑張りますのでご安心ください。

この記事を読んでNPOの伴走支援に関心を持った方はホームページの問い合わせからご連絡ください!無料相談もやっております。


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