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職員主導の団体らしいファンドレイジングキャンペーンの考え方

NPOの伴走支援のお仕事で、団体の職員さんと共ににファンドレイジングのキャンペーン立案に関わることがあります。例えば、団体のファンドレイジング担当の方から『代表から12月1日から500万円目標のクラウドファンディングをするように言われたのですが、どうしましょう?』という問いを一緒考えていく、といったことです。

どうしましょう?ときかれると、『そのケースだと〇〇をすればいいですね。』と答えたくなりますが、過去そうして決まったキャンペーンは、だいたい実行にうつされないか、思った以上に盛り上がらなくて目標に達しないことが多いです。

なので『どういう風にしたらいいですかね〜』とまずはアイデア出しをしていきます。その中で、『最近NPO法人▲▲さんの寄付イベントに参加したんですけど・・・ですごくよかったです』とか『伴走支援しているNPO法人◆◆さんでは先週からこんなクラウドファンディングを始めたんですが、・・・のコンセプトが新しいんですよー』とか情報提供をします。その上で担当者の方のアイデアをきいていきます。

アイデア出しの段階では、団体の人的リソースのことは考慮せずに話していくので、どんどん妄想がひろがって盛り上がるのですが、ある程度アイデアが出たところで『でもあの団体さんのように、代表が率先して活動してくれるわけではなくて、わが団体の場合は職員主導でやらないといけないんです。また、担当している別の業務もあるので連日動画ライブなんて無理です・・・』と現実に戻るタイミングがあります。

確かに、代表さんがファンドレイジングキャンペーンに強く関与している団体さんは目立ちますが、そういう団体さんは収入の柱が寄付だったり、寄付金額が大きくて、そういう意味で代表の関与は当たり前だったりします。一方、収入の柱が制度事業だったり自治体からの委託事業だったりすると、寄付が占める収入割合は限定的ですから代表さんが寄付集めにそんなに関与してくれないのは当然だったりします。

なので、そうした団体さんが参考になる他団体の事例は、代表さんがリードしているキャンペーンではなく、職員やインターンの方が主導している寄付キャンペーンです。結構、この参考にする団体さん選定を間違っている団体さんが多いです。

選定を間違ったまま、参考にしてつくられたたたき台は、目的・コンセプト・目標・体制・内容・スケジュールとそつなくつくられていますが、なんかコピペ感が高くて「企画が団体らしくない」「実施したとしても寄付につながらない」感じがします。

そう感じた時は担当者の方に「団体らしい企画を考えてみましょう」と一度立ち止まって考えなおすことをお伝えすると共に、職員主導の寄付キャンペーンの事例や、アイデアをお伝えすると、『あっ、そっか!』と気づくことがあります。

そうした気付きの後の企画は、すごく社会的に意味があって、無駄なく効率的で、何より担当者の方のモチベーションが高くて、それらが相まって目標達成しそうな感じがします。

職員のポジションは、実際に受益者に触れ合う立場の人が多いです。そのため、受益者の現状と困り感を一番リアルに知っています。そして何より、受益者の方が支援を通じていい状態になって欲しいと、未来がよくなることを強く願っている人たちでもあります。この2つがかけあわさると「団体の活動の社会的な意味を高める企画」が生まれることが多いです。

そして、職員は別の職員やボランティアや関係者と日々の活動を通じてつながっています。そうした人たちにファンドレイジングのキャンペーン企画のことを伝えて、その社会的な意味を知ってもらえると、「それはいいね!」「がんばって!」「知り合いにも伝えます」といった応援をしてくれます。また、最近は、過去に退職された職員やインターン生と継続的に関係性を持つ団体さんも多いのですが、そうした人たちにキャンペーンのことをお知らせすると、昔感じていた一体感を思い出してもらえて「応援しているよ!」と言葉かけをもらえたりします。このように、うまくいっているファンドレイジングキャンペーンの企画は、寄付も集まるが、人との関係性も強化されるといった効率性も高いのです。

社会的な意味を認めてもらえて、内部からの応援をもらえると、ファンドレイジング担当者はがぜんやる気がでてきます。担当者のやる気は活動に意志がのりますから、発するメッセージが多くの人の心を動かします。単なる業務としてやっている人や、代表や周りの人から「それをすれば、本当に寄付あつまるんだよね?」とプレッシャーをかけられたり、「なんで私が協力しないといけないの?それはファンドレイザーのあなたの仕事でしょ?」と孤立状態で取組んでいるファンドレイジング担当者から発せられる言葉は、本人のがんばりに反してそれほど多くの人の心に響きません。

職員主導でファンドレイジングキャンペーンを成功させるには、➀活動の社会的意味を高めるキャンペーンの企画、➁内外の関係者とのつながりが強まることによる応援する雰囲気の高まり、➂職員本人の高いモチベーション、といった3つをかけあわせて「団体らしさ」をいかに出せるかにかかっています。

「団体らしさ」を出そうとして、代表さんの関与度が高まってしまうと、「代表さんらしさ」が高まってしまいます。寄付は目標通り集まるかもしれませんが、毎回代表さんが頑張らないと寄付が集まらなくなってしまいます。早く職員主体のファンドレイジング体制にすることで「団体らしい」ファンドレイジングができるようにしてもらいたいです。

私はNPOの伴走支援をしております。今回のnoteを読んで、職員主導の団体らしいファンドレイジングキャンペーンの企画をたてたいと思われた方は、以下のホームページの問い合わせからご連絡ください。


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