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海外で活動している人に『日本にも課題が多いのになぜ海外なの?』と思ってしまう人への処方箋〜コモンズ投信主催:社会起業家フォーラムから〜

貧困や紛争など海外の社会問題解決のために活動している人に『日本にも課題が多いのになぜ海外なの?』と思ってしまう人は結構いるのではないでしょうか。私もそうでした。それがスッキリ解消したのでnoteでまとめました。

社会起業家フォーラムとは

コモンズ投信が毎年開催している社会起業家フォーラムがオンラインで10/3に開催されました。このフォーラムではソーシャルビジネスの企業やNPO活動をしている団体の代表が、マイク一本と想いだけを手に7分間のスピーチリレーをします。今年のお題は『私の未来を信じる力』でした。

コモンズ投信ではコモンズSEEDCapという寄付する仕組みがあります。寄付先はこの社会起業家フォーラム登壇団体から選考されます。

この仕組みについてはホームページ上で以下の説明がされています。リンクはこちら

https://www.commons30.jp/fund30/seed

『コモンズ30ファンド』の直販などから生じる弊社の収入である信託報酬の1%相当を寄付します。毎年開催しているコモンズ社会起業家フォーラムのスピーカーから候補を選び、ファンド受益者の皆さまからのご推薦を参考にして、外部委員を含む選考委員会で最終決定します。社会起業家とは、NPO、株式会社、個人など形態や規模は問わず「今日よりもよい明日」のために社会的な問題解決のための新しい事業を立ち上げ、活動するチェンジメーカーです。

海外で活躍されている方からのお話

今回のフォーラムでは国際的に活動されている登壇者も多く、とても想いが伝わるプレゼンをされていました。(以下敬称略)


・NPO法人e-Education 三輪 開人
・AFRIKA ROSE(アフリカローズ) 萩生田 愛
・MJI Enterprise Co., Ltd. 加藤侑子
・NPO法人アクセプト・インターナショナル永井 陽右

それぞれのスピーチリレーの後で登壇者とモデレーターの馬越裕子さんと、コモンズ投信株式会社会長の渋澤健クロストークになりました。

そこで渋澤さんより『日本にも課題が多いのになぜ海外で活動しているの?って聞かれること多いと思うのですが、どう答えていますか?』と質問されました。

それに対して、e-Educationの三輪さんは、『e-Educationはバングラディッシュでオンラインで様々な子どもたちに教育を届けることをしているが、10年やってきて、最近その答えがわかってきた気がする。バングラディシュのTOEICの平均点は900点を超えていて、英語が得意な若者が日本の子どもたちにオンラインで英語を教えるようになってきている。日本に関心を持っている子どもたちも多いので、ゆくゆくは日本の社会問題が発展途上国の人たちによって解決されるようになると思う。』とメッセージしていました。

次に、ケニアからとても綺麗で品質の高いバラを輸入して販売することで現地の雇用を増やしているAFRIKA ROSEの萩生田さんは、『大学時代にアメリカに留学していて、そこで模擬国連を国連事務所で経験し世界の貧困の問題を知った。その後、世界中を旅している中で貧困問題があるケニアに滞在していたが、海外からの寄付や支援に現地の人が慣れてしまい自分達で成長していく意志が弱くなっている現実を知った。なにか現地の人たちが仕事にできることはないかと探していたらケニアではバラ栽培が盛んで、多くの人がケニア産のバラの美しさと長持ちであることを誇りに思っていることを知り、これを日本で販売したら現地の雇用を増やすことにつながると気づき活動を始めた。』と言っていました。

次に、ミャンマーを拠点にマイクロファイナンスを提供しているMJI Enterprise Co., Ltd.の加藤さんは、幼少期にお父様が事業に失敗しお金にとてもご苦労された経験があり『お金はナイフと一緒、誰かを傷つけるためにある』と思っていらっしゃいましたが、ミャンマーでマイクロファイナンスにたずさわることにより、『お金は人の夢をかなえたり、助ける側面がある』ことを知り、そこからライフワークとされていました。しかし、勤めていたマイクロファイナンスが事業撤退を検討していることを知り、他の代表のように輝かしい経歴や肩書き、金融機関を立ち上げる資金もなかった加藤さんですが、自分が心打たれたことを続けていきたい想い、共に未来を信じてくれる仲間の支えから、50人のスタッフと数千人のお客様と共に事業の引き取り、独立する道を選びました。

最後に、ソマリアのテロリスト集団の更生や教育の場を提供することで、テロに加わっている若者の社会復帰を支援している、NPO法人アクセプト・インターナショナル永井さんは、『若い時は全く社会問題に関心はなかった。SDGsではだれひとり取り残さないと言っているが、テロリストはそこに入っていない。彼らもある仕組みの中でテロ集団に入らざるをえない事情を抱えていたり孤立しているので、それを支援するのはしなくてはいけないこと。よく得意なことを活かして仕事をした方がいいと言うがテロリストとの交渉が得意な人なんていない。やるべきことをやり続けるだけ。』とコメントしていました。

4人のお話から気づいたこと

三輪さんからのお話では、社会問題の解決策のとらえ方がとても広いことがわかります。一見日本の社会問題とは全く関係なく見えるが、この先その関係性が解決策になりえることがわかります。

萩生田さんのお話からは、世界の貧困を解決するには?という広い視点で問題を捉えていて、その中でケニアとの出会いを通じて、現地の雇用を増やす事と、日本の様々なシーンに他にない美しさと品質の高いバラを提供することを仕事にしていることがわかります。

加藤さんのお話からは、描く未来を信じて活動し続けることの大切さがわかります。当初海外で働くことや金融機関で働くことは想像もしていなかったが、お金を通じてミャンマーの市民と共に成長していきたい思いに沿って活動していたら、気づいたら海外で活躍する社会起業家とよばれるようになっていたそうです。

永井さんからは、これまで各国の軍部が長年とりくんできたテロリスト対策は、いまだテロリストがなくなっていないことから見て、うまくいっていないことが明らか。テロ集団の人たちをどう社会化していくかを考え、行動することは誰かがやらなくてはいけない、だからやる。世界のテロ問題解決に取り組んでいることがわかります。

まとめ

私も当初『なぜ日本の社会問題をあつかわないのか?』という疑問を持っていましたが、4人のお話から、社会問題は複雑で様々なことが絡んでいて、日本で起きている問題は世界の変化から起きているものがあったり、解決策は世界のどこかであるかもしれないのに、"日本"という枠をもって質問する方がおかしいなと感じました。

むしろ、こうして世界の社会問題に対して日本の人が向かい合っていることを誇りに思いましたし、お話されている皆さんが、仲間と共に主体的に取り組んでいることが、なにより素敵なことであると心から感じました。

とはいえ、日本に住んでいる立場からすると、日本の社会問題は気になります。なので、これからは『なぜ日本で』ではなく、『世界からみて日本の問題はどう捉えられますか?』と質問できるようになりたいです。

第12回コモンズ社会起業家フォーラムの様子はYouTubeで公開されています。是非ご覧ください!!


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