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すごい人のそばで仕事していて勘違いしてしまい、恥ずかしい思いをした話

昔、企業で働いていた時の話です。その時の私は、ある事業部長のもとで人の管理のサポートのお仕事をしていました。その事業部長は話がとても上手で、月に一回部署全員が集まる会議でいいお話をするのが恒例となっていました。

当時の私は31歳で、システムエンジニアを5年した後で、社内スタッフに異動したところでした。システムエンジニアをしていた時は、その専門分野に関する技術的な本を読んだり、資格の勉強をしていましたが、社内スタッフに異動してからは、どこに自分の専門性をもったらいいのかわからず焦っていました。そのため、自己啓発の本とかリーダーシップに関する本をよく読んでいました。

本を読むと知識が溜まっていくのか、事業部長が月1回するお話の意味がじょじょに分かってきました。さすがいい話するなと関心しながら勉強させてもらっていました。

事業部長に近いところで仕事をしていると、その事業部の人たちからも丁寧に扱われます。また、近いところで事業部長のお話を聞いていると、さも自分もそうした能力を持っているのと錯覚してしまいました。カリスマ性がある人の近くにいると、その影響で現実の自分の力以上のものがあると思い込む「自分に酔う」ことがあるのかもしれません。

酔っていた当時の私は、ある月例会議の際に、事業部長のお話のあとに、「事業部長の言っていた〇〇、本当に大切ですよね。先日私も〇〇に関する本を読んでxxだなと思いました。皆さんも日々の業務の中で▲▲を意識してお仕事してくださいね」みたいなことを3分くらいお話しました。

会議の後、事業部長から「今給黎さんは、人の話の泥棒だね~」とすれ違いざまに、目は笑っていない笑顔で言われました。その時の私はどういう意味かわからず混乱していましたが、やってはいけないことをしたことは理解しました。

すごい人の近くで仕事をしていると、周囲の人の扱いや、自分の発信がその人の威光で聞いてもらえることで、自分の実力以上に勘違いしてしまいます。現実の自分は、現場の人がクライアントと向き合って一生懸命している実態も知らず、現場の人をマネージしている管理職の苦悩も真に理解していませんでした。それを知ることなく表面的な知見での発言は、皆さんが集まった月1回の会議の貴重な時間に不釣り合いな価値のないものでした。「そんなこともう皆とっくに知ってるわ」聴衆の皆さんの心の声はその時の私には聞こえませんでした。

リーダーがメンバーに話をする時は、ある方向性に意識を持ってもらったり、モチベーションをあげたり、反省してもらったり、向上心を持ってもらったり、情報共有以上の目的があります。その目的のために話の構成をつくります。その構成の最後に、今回の私がしてしまったような変な話を差し込まれてしまうと、その話の有効性や効率性が損なわれてしまう可能性もあります。

多くの人の時間を奪うことと、リーダーのお話の目的達成を損なう行為が合わさっての「人の話の泥棒だね~」だったのです。それに気付いてからは、すごい人の近くにいるから酔っていないか?と自問し、自分が価値を提供できない場では発言しないことにしました。

現在、NPOの伴走支援者をお仕事にしています。これは第三者として団体の代表さんと近いところで、運営に関わる機会が増えるので、同様の危険性があります。これまで複数のNPOの代表とお会いして感じたのは、世のNPOの代表さんは泥棒をする第三者に過去多く会っていて、被害をうけていることです。なので、被害を最小限にするために段階的に話題を提供し「どこまで知っているのか?」「団体にプラスになる価値を提供してくれそうな人か?」を判断しています。そして、お話がうまい代表さん程、わからないようにコントロールできるので、自分が気分よく短く終わったお話ほど要注意だなと思っています。

今回ご紹介した恥ずかしい話を思い出すたびに、NPOの伴走支援者として価値に感じてもらえるように日々精進していかないとと背筋が伸びます。

私はNPOの伴走支援のお仕事をしています。noteの記事を読んで関心を持った方や無料相談をうけたいと思われた方はホームページのお問い合わせからご連絡ください。


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