『認知症世界の歩き方』筧裕介(著),認知症未来共創ハブ(監修)

認知症患者およそ100名にインタビューし、日常での困っていること、世界の見え方を「認知症世界」として紹介している
認知症と言っても症状は様々。それは脳のどの分野が衰えるかによって起こる困りごとも違ってくるから当然と言えば当然
問題はそれが目に見えないこと。もちろん当人もそれをうまく説明できるとは限らないので周囲と溝が生まれてしまう
その溝を埋める手立てとなり得るのがこの本だ。きわめてわかりやすく、読みやすくまとめてある
長い人生で認知症になった人と全く関りの無い人というのはほとんどいないだろう。自分自身が認知症になることもある程度覚悟が必要だ
この本が手元にあればいざ自分が認知症になった時助けてくれるかもしれない。転ばぬ先の杖ならぬ本といったところか
病気への無理解、知識の無さから親しい人との関係が壊れてしまうのは悲劇でしかない。よりよい人生のために一冊手元に置いておいてもいいだろう

読んでいて気づいたのは認知症の困りごとと高機能自閉症(アスペルガー障害)との共通点だ
どちらも脳機能の障害からくるものなので当たり前と言えるかもしれない
見た目でわからず周囲に理解され辛い点も共通している
認知症の人が暮らしやすくデザインされた社会は高機能自閉症の人にとっても良い社会たりえるかもしれない

広く読まれるべき本だろう

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