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(備忘録)“吉田屋弁当”集団食中毒

以下、青森テレビのニュース記事を転記します。なお、気になるポイントは太文字にしています。

青森テレビ 10/16(月) 15:01配信

青森県八戸市の弁当製造会社「吉田屋」の弁当による集団食中毒問題について八戸市保健所は16日、食中毒の原因が推定されたため「吉田屋」に対して改善指導をしたと公表。
青森県八戸市内で会見を開きました。

八戸市保健所は岩手県内の米飯製造委託業者について関係自治体に調査を依頼し衛生管理について大きな問題はなかったとしています。
また、施設で保管していたコメも検査したということですが問題になる菌は検出されていないということです。

このほかに保健所は、吉田屋が保管していた盛り付けが終わったあとの具材310件も検査しており、その結果2件から黄色ブドウ球菌、4件からセレウス菌が検出。
菌が検出されたのは15日の茶飯と16日の酢飯と具材からだったということです。

八戸市保健所 石井敦子 衛生課長
「委託製造された米飯の受け入れが、どういうリスクがあるのかをきちんと検討して確認していなかったことが、非常に大きな要因だと考えています」

保健所では16日午前中に「吉田屋」へ推定される原因を報告するとともに改善指導。
これを受け吉田屋は「大変重く受け止めており、ご迷惑をおかけしました。今後、再発防止に向けた改善に真摯に取り組んでまいります」とコメントしたとしています。

以下、八戸市保健所が公表した食中毒発生にかかる「推定される主な原因」です。

【製造施設内】
委託製造した米飯について、検収手順及び受入れ基準を定めていなかったことから、注文時の指示書より高い温度の米飯を受け入れ、米飯冷却までに原因菌が増殖した可能性がある。

〇委託製造した米飯冷却が配送された外箱(発砲スチロール製)について、殺菌等の措置をせずに、盛り付け室に搬入したことから、米飯、具材などの原因菌が付着した可能性がある。

〇自社炊飯分の米飯冷却に加え、予定にない、委託製造した米飯の移し替えや冷却が同時に行われたが、その製造記録が残されておらず、手指の消毒、手袋交換等のタイミングや方法が適切に行われず、原因菌が付着した可能性がある。

臨時従業員に対して衛生教育や体調・手指の傷等健康状態の確認を行ったが、これらの記録が残されておらず、通常当該施設で実施されている衛生的な取扱いや健康管理が徹底されず、原因菌が付着した可能性がある。

【その他】
〇回収について、当該営業者(吉田屋)からの連絡が一部の販売店まで届かず、16日製造分の一部が販売され、食中毒患者が確認された。
回収に関する連絡が確実に販売店まで届くよう、予め定めていなかった。

これまでの保健所の発表によりますと「吉田屋」の弁当(21種)による食中毒患者は29都道府県で計521人確認されました。
また、保健所の調査で患者の便と吉田屋が製造した未開封の弁当からは「黄色ブドウ球菌」と「セレウス菌」が検出されていました。

以下、八戸市保健所による菌の詳しい説明資料の全文です。

黄色ブドウ球菌による食中毒とは…
【菌の特徴】
・人や動物の皮膚、鼻やのどの粘膜、毛髪や食肉、生乳など自然界に広く分布
・特に、傷口やおできに化膿菌として存在
・菌自体は熱に弱いが汚染された食品中で熱に強いエンテロトキシンという毒素を作る
【原因食品】
・おにぎり、弁当などの調理品 ・二次汚染を受けた食品 (多岐にわたる)
【症状】
・嘔吐・吐き気・腹痛など (潜伏期間は30分~6時間)
【黄色ブドウ球菌による食中毒予防のポイント】
・手指の洗浄を十分に行う
・手に傷などの可能性がある場合は、食品にふれない、調理しない
・調理器具の洗浄・殺菌の徹底
・食品は低温管理(10℃以下)し、長時間放置しない
・調理にあたっては、帽子、マスクを着用

セレウス菌による食中毒とは…
【菌の特徴】
・土壌、河川水などの自然界を始め、農産物、水産物、畜産物などの食料に広く分布
・熱に強い芽胞を作り、増殖時産生される毒素により食中毒が発生
・嘔吐型、下痢型がある
【原因食品】
嘔吐型:チャーハン、ピラフ、焼きそば、スパゲティー
下痢型:弁当、食肉、野菜、スープなど
【症状】
嘔吐型:吐き気、嘔吐 (潜伏期間:30分~6時間)
下痢型:腹痛、水溶性下痢 (潜伏期間:8~16時間)
【セレウス菌による食中毒予防のポイント】
・一度に大量の米飯や麺類を調理し、作り置きしない
・穀類等が原料の食品は、調理後保温するか、小分けして速やかに低温保管(8℃以下)する


以下、読売新聞の記事(2023.10.17)

 青森県八戸市の駅弁製造販売会社「吉田屋」の駅弁を原因とする集団食中毒は、市保健所が16日、「推定」と位置づけた原因を明らかにし、一つの節目を迎えた。吉田屋が岩手県の業者に製造を委託した米飯が、注文時の指示より高い温度で搬入されたにもかかわらず受け入れ、冷却までに菌が増殖した可能性がある――などとする「推定される主な原因」は、5点に及んだ。

 市保健所によると、吉田屋に9月14、15日、製造を委託していた岩手県の業者から計約1・5トンの米飯が搬入された。事前の指示書では茶飯27度、酢飯28度で納品予定だったが、14日は、搬入から3時間後の時点で45度と15度以上も上回っていた。翌日も搬入時点で約10度上回っていたが、自社で冷却し、弁当に使用した。

 さらに、委託業者が配送で使った発泡スチロール製の外箱を、吉田屋が殺菌せずに盛り付け室に搬入したため、米飯や具材に菌が付着した可能性もあるとしている。吉田屋は、この米飯と自社炊飯分の冷却を同時に行った際の製造記録や、臨時従業員に対する健康状態の確認についての記録を残しておらず、手指の消毒や手袋の交換が適切に行われなかったり、衛生管理が徹底されていなかったりした可能性があるという。

 市保健所は、同社から一部の販売店へ回収の連絡が届かず、16日製造分の一部が販売されたことも、患者増につながった要因の一つと指摘した。事前に回収時の販売店への連絡方法を定めていなかった。

 市保健所は吉田屋への聞き取りや検体の検査結果などを分析してきた。16日に記者会見した市保健所の石井敦子副所長は、菌が増殖した原因の断定にまで至らなかった理由について、記録が残っていないことや、原因菌が検出されていないことが、菌が付着していない理由にはならないことなどを挙げた。

 9月23日から命じられている営業禁止は今後、吉田屋が改善報告書を保健所に提出し、立ち入り検査で改善が確認された後、解除される見通し。吉田屋は10月16日時点で、読売新聞の取材に応じていない。

 市保健所は9月17日、福島県内の保健所から「吉田屋の弁当を食べて体調不良を訴えている人がいる」との連絡を受けて調査を開始。症状を訴えた人の便や未開封の弁当から、黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出され、弁当を原因とする食中毒と断定した。


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