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京都カフェ視察レポ(Blue Bottle Coffee, %ARABICA)

2020年2月4日、京都東山にあるブルーボトルコーヒーさん、四条の藤井大丸1Fブースにあるアラビカさんの視察レポート。本投稿では連続ツイートに追加情報をバシバシ入れていきたいと思う。両者に倣い、当店でもすぐに改善した箇所もあるので、該当ツイートも追加した。

アクセスの良さとアプローチと

 ブルーボトルコーヒーは地下鉄東西線の蹴上駅の1番出口より徒歩6-7分。茶色の駅舎を出て下り坂をゆく。東山の落ち着いた雰囲気の中、着物を着て歩かれてる方も多数。ねじりまんぽというレンガのトンネルがあったり、蹴上インクラインという傾斜鉄道の跡地で写真撮影会をしてる方もちらほら。交差点の小路に入ったらすぐ現れる。木製立て看板にスカイブルーのロゴが目立っている。白い小さな砂利の庭。古風な日本家屋が前後に2棟あり、手前がギフトショップ、右手を抜けた奥にカフェにカフェが併設されている。

 アラビカは烏丸四条駅から徒歩3-4分。藤井大丸の1F、BEAMSの向かいに店(ブースと言った方が適切かもしれない)がある。キッチン兼レジはホワイトを基調とした小さな小さなスペース。客席は鳥かごというか電車というか、壁や仕切りのないこじんまりとした空間。

内装に残された新旧の質感

 漆喰の壁もしくは土壁だけを剥がして、そのまま綺麗にせずに仕上げている。店舗全体の65%ほどはこの状態で、他はベニヤ板が貼られている。通常ベニヤ板はそのままでは使わない。塗装をしたり壁紙を貼ったりする、あくまで下地材。だが他の箇所があまりにも”汚い”ままなので、ベニヤ部分が逆に綺麗に見えてしまう。奥にあった客席空間やトイレなどは全面ベニヤで内装されていた。茶色の濃いめの材が選ばれているのはわかったが、うまく使えばベニヤでも”そのまま”使えるのだということは、目からウロコだった。 

 間接照明も数が多く、店内にいい感じの明暗のギャップを生んでいるのだが、配線もむき出しのまま。逆にコーヒー関係の物品やテーブル、換気、そしてブランドロゴなどは綺麗に仕上げてあり、店内にクオリティの高低差がつけられていた。

気遣いの接客はコーヒーをさらに美味しくする

 店員さんの接客は見習うべきものが多くあった。ツイート通りで特筆すべきことはないが、対応してくださった女性スタッフの方が優しかった。
 注文を終え、続きのカウンターでコーヒーのドリップに夢中になった。店内空き席が数席しかなく、窓際の低めのベンチに2人で腰掛けた。しばらくするとレジで対応してくれたスタッフが声をかけてくれた。「よかったらテーブル席が空いていますのでご移動されますか?」とのこと。ありがたいなぁ、と思いつつ席まで近づくと小さなテーブルの上に水のコップが2つ準備されていた。「お水準備していましたので、コーヒー少々お待ち下さい」とのことだった。このように文章にしてしまうと、僕の文章能力不足で伝わらないものがあるが、その時の僕たちの気持ちはすごく柔らかいものになっていた。スタッフのちょっとした心づかいのおかげである。ありがとうございました。

秀逸なブランドカラーの引き立て

企業カラーのスカイブルーが店内ちょこちょこと差し色で入れてある。ロゴはもちろんだが、メニュー表やお持ち帰り商品、内装のテキストなど、所々に入っている。木の色やグレーの中にスカイブルーの統一された色が入っているのは洗練されたイメージを与えた。
 当店もなるべく色を減らして、木の色とアイボリーで統一している。ロゴは白黒のゾウだが、今回の視察で、何かしらの色を入れたほうがかわいいのではないかと考えさせられた。コーヒーやラテがメインの当店では何色がいいのかと考えたが、ブリーとグリーンの混色がいいのではと思った次第だ。


ブルーボトルコーヒーから学んだことを即実行してみた

▶︎メニュー作り
当店のメニュー数は少ないので、ブルーボトルのような構成はできなかったが、とにかくシンプルに仕上げるようにした。前回までは英語併記もしていたし、各素材の産地も商品ごとに書いていたが、煩雑になることを危惧してやめた。細かいことはホームページや店頭で説明すればいい、という結論に至った。

数日して、メニュー表をグレードアップした。当店でできる限りのラインナップを展開し、フードもトーストから始めた。項目ごとの順番は注文の多い順になっている。論理的にメニューを並べるより、お客様が見やすい注文しやすい形を意識した。「TEA」の欄を見ていただくとゴチャゴチャさがわかるとおもう。かなりブルーボトルコーヒーからインスパイアされた形になったが、とう注意書きに全品オーガニックのことも書き加えた。

▶︎開店時間の掲示

▶︎掲示方法の変更

▶︎立て看板のロゴ見せ
 当店は店頭にメニュー表を置いていない。「ELEPHANT COFFEE」と書かれた看板が店の上部に書かれている。それを見たら「あぁ、コーヒー屋さんか」「ぞうさんコーヒー」くらいにしか情報を与えることはできない。メニュー表を出している時期もあったが、少し”野暮”な感じになってしまうのが嫌で辞めた。
 メニュー表を出すかわりに、立て看板に少しだけ情報を書いていた。
①ORGANIC COFFEE
②ORGANIC TEA
③TAPIOCA
→オーガニックのコーヒーとお茶が飲めて、タピオカもあるのね
と伝えることができていた。
 しかし今回の視察でロゴだけを見せていくことにした。引き算に次ぐ引き算のデザイン。ぞうさんが3匹。これだけでは何も伝えることはできないが、強い印象を与えることができる。その印象をプラスにするかマイナスにするかは、商品と僕の腕の見せ所だ。

%ARABICA 京都四条藤井大丸1F

アラビカの主役は何と言ってもエスプレッソマシン。ラテが主力商品。というより、ほぼそれしかない。日本人はエスプレッソを飲まないし、マキアートも飲まない。スタバが開発したマキアートは"キャラメル"マキアートで、マキアートとは別物、かなり甘いドリンクになっている。

 またエスプレッソを主力、つまりラテを主力としているのでメニューに変化球はない。それゆえにキッチンのコンパクト化に成功している。約2畳のスペースの中でスタッフ2人が動いても窮屈に感じさせない設計には感心した。資金が潤沢でない起業初期の方などは学ぶもの盗めるものが非常に多いと思う。


口コミに多数書いてあった"接客がよくない" 件に関しては僕も同意見だった。というより、接客が "かなり薄い" 。あまり会話を楽しんだりするスタイルではない、淡々と淡白にコーヒーを提供していた。それはひとつのスタイルであり、口コミに書いてあるように消費者が批判をするところでもないのかなと思う。厚めの接客やコミュニケーションが取りたいのなら他店を選べばいいだけのこと。


ラテアートに適した口径の大きなカップを採用

ラテアートについては、エスプレッソのクレマ然り、しっかりスチーミングされたミルク然り、文句はなく、綺麗な絵が描けていたと思う。スタッフ全員がかけるとしたらすごい教育だなと感心した。ただ、他店のカフェラテと比べてどうなのか、というところに関しては少々疑問が残った。ラテアートと可愛いカップの「普通のラテ」というのが正直な感想だった。

ラテアートを描こうと思うと日本で一般的な形のカップだと口径が小さくて描きにくい。描けないこともないが、同じ容量でもカップの底までの距離が長くなり、底から返ってくるミルクを利用したアートは描きずらい。口径を広くすると、描くキャンバスも大きくなるし、底までの距離も短くなる。おそらく90mm口径の太っちょのカップを採用している。アラビカは香港のブランドだが、日本人の有名なバリスタがラテアートに関しては監修しているようなので、バリスタ目線の納得のいく設計だなあと思った。


ロゴのインパクトと謎

ブランドロゴについて、アップルのようにかなりシンプルなものであった。少し気になったのはロゴのサイズ感。時代の流れからすると少し大きく感じた。カップにしろ、コーヒー豆の袋にしろ、ちょいでかい印象だった。でかいからなのかシンプルだからなのか知っている記号だからなのか「%」というロゴの存在感は大きく、一発で覚えてしまう。僕も「パーセントのロゴの珈琲屋さん」というように覚えていたし、アラビカという名前を記憶する時間の方がかかったように思う。


まとめ

今回の京都視察は学ぶものが非常に多かった。特に客足が増える春先に向けて改装や経営を考えようと思っていたタイミングだったので最高だった。先週はお茶会に参加し、教養や美術に触れ、眼を鍛えたわけだが、毎週火曜の定休日は、経営を学んだり自分が成長できることを積極的し店舗経営に生かしたい。ブルーボトルコーヒーのUXデザインについての考察記事もよかったら一読されたい。

▼今村義則(いまむらよしのり)
31歳。福岡県筑紫野市でオーガニックカフェ「ELEPHANT COFFEE」をオープン。東大大学院でコーヒーの研究ををした後、アメリカやネパール駐在でオーガニックコーヒーの生産販売事業を担当。帰国後すぐに妻の地元福岡に移住。店舗を中心に新しいライフスタイルを発信している。
▼コーヒー全国通販(メルカリ、BASE、ラクマ、ジモティ)
https://linktr.ee/elephantcoffee3
▼Instagram
https://www.instagram.com/elephantcoffee3/




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