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【旅日記】長野といったら善光寺(長野県/長野〜渋温泉)

土曜日、早起きをして東京駅に向かう。今日の目的地は長野だ。朝ご飯は東京駅の駅弁屋で、鳥取の「かに寿し」を買った。東京で鳥取の駅弁が買える不思議。新幹線の中で「かに寿し」を頬張りながら、長野まで90分、ぼんやりと景色を眺めていたらあっという間に長野に着いた。

時間は朝の8時で、駅前はまだ人通りが少ない。長野駅を出て改めて駅舎を眺めてみると、善光寺推しであることが感じ取れる。駅舎はお寺の木造建築を模したような作りで、木造の木組みや立派な木造っぽい柱はお寺のそれを彷彿とさせる。また、駅構内に善光寺のポスターがあったり、駅舎の近くのモニュメントが仏像あったりと「善光寺の表参道ですよ!」感がすごい。

善光寺まで2km弱あるが、天気が良くぽかぽか陽気だったので、善光寺まで徒歩で行くことにした。道中歩いていると、地図を見ながら善光寺を目指す海外の方がちらほら。海外でも人気なんだなぁ。あと、ロードバイクでサァーと駆け抜けていく人が何人かいて、気持ちよさそうで羨ましく思った。参道のお店は朝早いからかまだ開店していなかった。

そんなこんなで30分ほど歩き、善光寺に8時半頃に着いた。まだ人がまばらでお参りしやすかった。写真を取るために立ち止まりつつ、巨大な山門をくぐって、ゆっくりと本堂へ足を運んでいく。本堂前には、常香炉と呼ばれるお線香の煙を顔や頭にかける香炉が鎮座している。よくお寺で見かけるやつだ。普段は買わないのだが、おもむろに100円払って線香の束を買い、常香炉に供えた。

本堂では、社務所の人が仏像の前で手を合わせてから中にはいっていく光景が印象的だった。入場券を購入しないと本堂のお参りができない。なので、自動券売機で、入場料が必要な場所にすべて入れるオトクなチケットを購入した。お寺なのに、近代的でアトラクション的な雰囲気が混在している。

続いて、お戒壇めぐりも体験してきた。お戒壇めぐりとは、真っ暗な回廊を通り、御本尊が安置される檀下の錠前を探し当てる、というものだ。中は明かりが一切なく、真っ暗すぎて、高さや奥行き、今自分がどこにいるかさえわからなくなる。前に私よりも先に入った観光客がおり、前の人にぶつかってしまって「ごめんなさい」した。何も見えないという日常では味わえない、不思議な感覚を体験することができた。

次に、輪蔵といって、鉄眼黄檗一切経の経本が納められているお堂に寄った。ちなみに、鉄眼黄檗一切経とは、仏教の各宗派が使用している仏典や語録を全部まとめたものだそうだ。この輪蔵の腕木を押して一回転すると、中の経本をすべて読んだのと同じ功徳が得られるという言い伝えがある。江戸時代に作られたというので、功徳があるというのは後付けされた話なんだろうなぁと思った。

係りの方が「良かったら輪蔵を回してみてください」と言ってくれたので、腕木を力いっぱい押してみた。まったくビクともしなかった。そうしたら、係りの方が「私も一緒に押すので」と手伝ってくれた。一緒に腕木を押すと、ゆっくりゴトゴトと回り始めた。一回転させるのも一苦労でかなり重く、疲れてしまった。

輪蔵を後にすると、どこからともなく、太鼓をドンドコ鳴らす音とともに、お経を唱える声が聞こえてきた。護摩堂の方からのようだ。護摩祈祷をやっているお坊さんがいて、夫婦が二人、祈祷を受けているようだった。厄災を払うために来たのだろうか。般若心経を太鼓を叩きながら、ハイテンポで読み上げていく。祈祷が終わると、祈祷をしていたお坊さんが立ち上がり、扉をガラリと開けて去ってしまった。その後、別の若いお坊さんが出てきて「お疲れ様でした」と夫婦に声をかけていた。

最後に山門に登って、善光寺を一望した。山門の上には人はまだ誰もおらず、貸切状態で写真を取りまくった。参拝客が門をくぐって入ってくる様子を上から眺めることができる。山門の2階には、四国八十八ヶ所のそれぞれの仏像が安置されていた。過去に、地震で落ちてしまい破損してしまった仏像もあるようだ。そのせいか、仏像が柱に固定してあるようだった。

善光寺を一通り見て回った後、七味で有名な八幡屋礒五郎に行くことにした。善光寺に来たらというわけではないが、八幡屋礒五郎で七味を購入するのが私の善光寺参拝の通例になっている。今回は、通常の七味唐辛子に加えて、ラーメン用の七味と柚子入りの七味を購入してみた。今から使うのが楽しみだ。

朝が早かったのと駅弁では量が少なかったこともあり、まだ10時過ぎだったがお腹が空いてきてしまった。善光寺を出ると、店先でそばを売っている様子が見えた。「かどの大丸」という蕎麦屋だ。見事なそば打ちだったので、つられて自然と足が動いてそのまま蕎麦屋に入った。卓上には、先ほど購入した八幡屋礒五郎の七味が置いてあった。更科そばを注文したので、残念ながら使う機会はなかった。蕎麦の味は可もなく不可もなくといった感じだった。

善光寺の参道に軒を連ねるお店を見て回るのもまた面白い。昔からの店構えを留めているお店もあれば、昔の蔵を改装してモダンな内装にしているお店もあったりと、古いものと新しいものが融合した不思議な通りだ。本当は古本屋を訪れる予定にしていたのだが、Google Map に書かれている古本屋の開店時間に間違いがあり、まだ閉まっていた。縁がなかったと思い、その場を後にした。今度また来たときに寄りたい。

善光寺からの帰りは長野駅までバスを使うことにした。バスに乗るとき、Suicaが使えるものだと思ってSuicaをタッチした。バスの車内で、何気なく掲示物を見ていると「2025年春からSuica互換利用の新ICカードが導入される」と書いてあった。「あれ?しまったぞ」と思った。逆に言えば、現在はSuicaが使えないという意味ではないか。現在はKURURUというローカルのICカードしか使えないとそこで気づいた。料金を払う際、ダメ元でSuicaをタッチしてみたが、無反応。さらに、整理券を取り忘れていたので、後ろの人たちをまたせるのも悪いと思い、泣く泣く全額払ってバスを降りた。

次に、長野に来るきっかけとなった、水野美術館で開催中の特別企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」に行ってきた。最初、美術館の入口だと思って入った先が併設されているレストランの入口で、スタッフさんとばったり出くわし、気まずい感じになった。「こっちじゃなかったかぁ」と間違って入ってきたアピールをしつつ、首を傾げながらレストランの入口を出てきた。どこが入口なんだろうと迷いながら、建物の塀のまわりをぐるぐる歩いていると美術館の入口を発見した。

門をくぐって敷地内を入っていくと、全面ガラス張りの建物に日本庭園が広がっていた。ここだけでも美術館に来た甲斐があるというものだ。椅子に座って室内から眺める日本庭園は素晴らしく、読書してずっと過ごせそうな雰囲気だった。

特別企画展「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」はとても良かった。人が少なかったので、落ち着いて鑑賞できた。また、川瀬巴水以外の作家、とりわけ海外の作家の新版画を見れたのはとても貴重だった。日本にはない視点や海外の風景を版画として表現されていて、独自の良さがあった。記念に展覧会の図録を買って帰った。

善光寺と美術館以外に行きたい場所を決めていなかったので、長野電鉄で本日泊まる予定の湯田中・渋温泉街に向かうことにした。長野駅で「長電フリー乗車券」と「特急券」を購入した。改札で切符を見せると「フリー乗車券は特急券込みなので、特急券は不要ですよ」と駅員さんが気づいてくれて、特急券の料金をその場でシュッと返金してくれた。そんな親切なことあるのかと思って感動した。

なお、フリー切符は長野⇔湯田中間を特急で往復するだけなら通常と同じ料金なので、そこまでお得感はない。ただ、切符を記念に取っておけるので、個人的にはいつもフリー切符で買ってしまう。あと、何度も切符を買うのも面倒なので。

特急に乗ろうとホームに向かうと、旧式の成田エクスプレスの車両が停まっていた。これは長野電鉄の特徴の1つなのだが、東京を走っていた鉄道の中古車両を使っている。特急電車に限らず、普通電車もどこか見覚えのある車両が走っている。東京に住んでいた人なら、過去にタイムスリップしたような懐かしさを覚えることだろう。

今回乗車した特急は、スノーモンキーという名前の特急だ。旧式の成田エクスプレスの車両の黒と赤を基調とした車内とは対照的な外装の白さは、スノーモンキーという名前でもしっくりくる。ちなみに、隣には旧式の小田急ロマンスカーが止まっていた。本音をいうと、ロマンスカーのほうが乗りたかった。

車内では、駅員さんが長野電鉄のグッズ販売を車内でやっていて、商魂たくましいなぁと思った。なお、昔の新幹線のようなお弁当や飲み物といった通常の車内販売はない。渋温泉の話は、また別の旅日記で。

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