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【ライブレポート】IMALAB×新宿LOFT 「ライブが見たい!」個性がぶつかる六者六様のステージ

新人アーティスト発掘プロジェクト「IMALAB(@imalab2021)」と新宿LOFT(@SHINJUKULOFT)がコラボした無料オンラインライブ「ライブが見たい!」が2月19日(金)、新宿LOFTにて開催された。

きっかけは2月8日に実施されたClubhouseでの新宿LOFT・大塚智昭(@zukasun)によるトーク。LOFTのスケジュールに空きが出たという話にIMALABが反応し、翌2月9日にはさっそくライブ開催と出演者募集について発表されたのだ。


ライブ出演者を開催10日前に募集するという前代未聞のプロジェクトはこうして立ち上がった。IMALABが発信した出演者募集ツイートへリプライを送り、そのリツイート数によって出演者が決まるというブッキング方法で、出演ラインナップは以下の通りに決定。

■きゃない(@kyanai_music)
■GREED FIVE EGG'S(@GREED_FIVE_EGGS)
■伏見◎Project(@Project_FSM)
■THE 革命キラ獣(@CHINJUUNOKAKUNI)
■meiyo(@takashi_4gatera)
■NIYOCO(@NIYOCO1)

また、ライブ当日はゲストオーディエンスとしてJ-WAVE等で活躍する藤田たくみ(@TakMe520)を招へい。オープニング、転換中、そしてエンディングと3ブロックにわたり、ZOOMを使って視聴者参加アリのライブ雑談企画も展開。

そんな注目ポイント盛りだくさんの無料オンラインライブ「ライブが見たい!」について、その模様をレポートしていこう。

ZOOM雑談タイム(オープニング)

まずはライブ開演直前に、ゲストオーディエンスの藤田たくみが司会進行の役割を果たし、IMALAB主宰の今村圭介(@KeisukeImamura)、そして新宿LOFTの大塚智昭がZOOMで参加してのトーク配信がスタート。今回の試みのきっかけや、ライブハウスでの転換中やライブ前後にする友達との雑談をイメージしたZOOMでのトーク企画について紹介するうちに、ライブ開演時間を迎える。

GREED FIVE EGG'S

LIVE HALLとBAR STAGE、2つのステージで進行していく今日の構成、その幕開けはLIVE HALLから。トップバッターは3ピースのパワーポップガールズバンド、GREED FIVE EGG'Sだ。

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ゴリゴリのロックサウンド、そして可愛い声とデスボイスを自在に操るFATIMA(Ba./Vo.)のボーカルが強烈な印象を与える“My Fuckin' Dream”でライブスタート。yumika(Gt./Cho.)はコーラスワークで歌に厚みをもたらし、Miyu(Dr./Cho.)は白くキュートな衣装で迫力のドラミングを披露。さらにラウドさを増した“ALMOST FAMOUS”で熱量を上げ、途中MCを挟みながら最後の“How to Get”まで一気に駆け抜けていった。

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リツイート数の結果集まった、ジャンルもバラバラな出演アーティストたちの先陣を切るというプレッシャーを見事に跳ねのけたグリファイ。「初めましての方もいると思うので爪痕を残して帰りたいと思います」というFATIMAの言葉通り、観る者の記憶に彼女たちの姿は確実に刻まれたことだろう。

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セットリスト
1.My Fuckin' Dream
2.ALMOST FAMOUS
3.RUBY SPARKS
4.VIRGIN SUICIDES
5.How to Get

NIYOCO

続いてカメラはBAR STAGEに切り替わり、3ピースロックバンド・NIYOCOの登場だ。名刺代わりともいえる“存在ビーム”でスタートしたライブは、ほぼワンカメラによる躍動感のある映像で、3人の激しい熱が画面を通して痛烈に伝わってくる。倒れこみ、絶唱し、カメラを睨みつけ、無邪気な笑顔を見せる…川瀬(Vo./Gt.)の一挙手一投足から目が離せない。

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「ポジティブになるために暗い曲を歌います」と川瀬が告げて2曲目“ヘローイン”へ。その言葉通り、薬や絶望、死といったワードが並ぶ歌だが、魂を削るかのようなパフォーマンスが陰鬱な空気を吹き飛ばしていく。そして「画面の中にいないよ、君の横にいるから」「つらい中にあるからな!希望が、明日があるからな!」と語りかけてリスナーに寄り添い、「伝えたかったことはひとりじゃないということです」とあふれ出るメッセージをまっすぐ届けようとする姿に胸が熱くなる。

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第1回IMALAB LIVEでもセンセーショナルなパフォーマンスで話題となった彼らだが、あの夜に負けないくらい圧倒的にエモーショナルだった今夜のライブ。NIYOCOはあらためて配信でもその思いや熱量がちゃんと伝わることを証明してみせたのだ。

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セットリスト
1.存在ビーム
2.ヘローイン

伏見◎Project

3番手は京都からやってきたブラックポップバンド・伏見◎Project。メンバー全員、スーツ着用でLIVE HALLをスマートに彩ると、Tomoya(Key.)によるお洒落なジャズテイストのピアノイントロで激情のNIYOCOから空気を一変させる。そして一気にゴージャスなバンドサウンドに切り替わり、“はじめまshow!!”でライブ開幕。ファンキーな裏拍のリズムが体と心を躍らせる。

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その後もYouhei(Ba.)のベースが生み出すグルーブがたまらないダンスナンバー“急がば回れ”、ムードたっぷりなカッティングギターに加え、Takaya(Vo.)による色気たっぷりなサックスプレイも魅力の“Down-Town”といった具合に「伏見◎Projectワールド」が繰り広げられていく。

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MCは最小限にとどめ、ひたすらに自分たちのパフォーマンスを表現する、結成一年未満とは思えないほど熱さとクールさが交じり合うステージだ。

ラストは地元愛を感じさせる“京都らんでぶ~”。タイトルにふさわしい、思わず外に飛び出したくなるようなポップネスあふれる一曲で〆てくれた。音が止み、全員が綺麗なお辞儀を揃えてライブを終える。最初から最後までスマートでカッコいいバンドだった。

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セットリスト
1.はじめまshow!!
2.急がば回れ
3.Down-Town
4.京都らんでぶ~

ZOOM雑談タイム(セットチェンジ)

セットチェンジの時間を使って、ここでZOOMによるライブ雑談タイムへ。司会進行の藤田たくみを中心に、視聴者も参加して前半3アーティストに関する感想トークが盛り上がる。「配信でもちゃんとライブを観た気持ちになる」「映像のクオリティが高い」といった視聴者からの発言を受けて、今村圭介が撮影の裏側について言及する場面も。

また、「アーティスト喋りはないのか?」というリクエストに運営サイドが反応する場面も。視聴者の声から突発的に新たな企画が立ち上がるというのもこのイベントの面白さのひとつかもしれない。

きゃない

準備も整い、ここからは後半戦。シンガーソングライターのきゃないがLIVE HALLに登場し、圧倒的歌唱力とともに個性豊かなパフォーマンスを披露した。

バンドサウンドのオケを流しながらアコースティックギターを手に“革命”を歌い始めるきゃない。その歌声には一瞬で引き込まれてしまう強さと色気があった。2曲目もオケ音源をバックに“一等星”をプレイ。たったひとり、メインのステージで堂々と歌い上げる姿はある種の貫禄すら感じさせる。

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一生、日本中を音楽でドキドキさせるアーティストになり、自身にとっての憧れである京セラドームでのライブ開催を必ず実現させると力強く宣言するきゃない。そんな彼の、自分の歌に対する圧倒的な自負が視聴者にも伝わり、説得力のあるライブへと繋がっていた。

きゃないの凄さがたっぷり詰まった20分も、いよいよ最後の曲となった。リハーサル時にオケの音源が壊れていることが発覚し、当初予定していた曲から急遽変更。弾き語りでの演奏となった。「シンガーソングライターなので、俺がどういう人間か、音楽で説明しようと思います」という言葉とともに披露されたのは“人間”。《全員死ねよ君以外は》という歌いだしも強烈だが、何よりギター一本と己の歌声のみで勝負に出た彼の音楽が素晴らしく、まさに人間・きゃないが垣間見える…そんな思いを抱かせるライブだった。

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セットリスト
1.革命
2.一等星
3.人間

meiyo

5番手としてBAR STAGEに登場したのはmeiyo。ボタンシャツにカーディガンという軽やかないでたちながら、同期を用い、タブレット端末を駆使して変態的とも天才的ともいえる中毒性たっぷりな曲“うろちょろ”“コンニチワテンプラスシナットー”を立て続けに披露する。

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スタッカートのように言葉の粒ひとつひとつがくっきり飛び込んでくる歌い方が印象的だ。言葉の意味だけでなく音としての役割も考えて歌詞を書いているのか、トータルでとても心地よい音楽になっていた。《砂嵐》という歌詞の直後に砂嵐のザーという音を入れ込んでくるなど、遊び心もたっぷり。

“机上の空論”では同期音源にも様々な音色を使い、カラフルな仕上がりになっており、また特徴的なファルセットも「meiyo印」として機能している。

MCでは昨年、彼が大好きだったミュージシャンが亡くなってしまったことに触れ、「これからもできるかぎりみんな音楽続けられたらいいし、みんなが音楽を好きなままでいてほしいという気持ちを込めて最後の歌を歌います」告げ、“いつまであるか”を披露。この曲のみ、同期もタブレットも使わずエレキギターのみの弾き語り。

《それは突然訪れて》
《悲しくて消せないよ》

という歌詞が心にしみる名曲。前3曲と合わせて、まったく異なる色を持つmeiyoの幅の広さに驚かされる素晴らしいステージだった。

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セットリスト
1.うろちょろ
2.コンニチワテンプラスシナットー
3.机上の空論
4.いつまであるか

THE革命キラ獣

IMALAB×新宿LOFT 「ライブが見たい!」もついに最後のアクト。チープ感漂うSEとナギノエナ(Vo.)自らが行うマイクアナウンスで登場したTHE革命キラ獣。両サイドにギターを配し、ベース、ドラム、そしてボーカルの5人編成だ。

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先ほどのSEとは打って変わってオシャレなイントロから始まる1曲目“RC ~臓~”で一気に彼女たちの世界が広がっていく。

ナギノエナの、高速で言葉を紡ぎながらシャウトも交えて歌い上げるボーカルとしての表現力。そしてステージに立つアーティストとしての「魅せ方」のうまさにハッとさせられた。

インスト曲としても成立するのではと思うほど豊かな構成が癖になる“genocyber≒NEO”やギターリフがカッコいいメロウなナンバー“モネブルー、渋谷にて”など、メンバーそれぞれの演奏技術の高さが際立つ楽曲たちも強烈な光を放っている。

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バンド名からは想像しにくい、雰囲気たっぷりな大人のサウンドとナギノエナのポップな歌声という、ギャップを生み出すコンビネーションも彼女たちの大きな魅力のひとつと言えるだろう。

ジャンルも年齢も性別も多種多様な6アーティストが出演したIMALAB×新宿LOFT 「ライブが見たい!」のトリを飾るにふさわしい、個性が爆発するTHE革命キラ獣。最後はキャッチーなメロディが光る“ノンインフィニティ”でこのイベントを見事に締めくくった。

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セットリスト
1.RC ~臓~
2.貴様らの血は何色だ
3.genocyber≒NEO
4.モネブルー、渋谷にて
5.ノンインフィニティ

ZOOM雑談タイム(エンディング)

すべてのアクトが終わり、エンディングとなった最後のZOOM雑談タイムでは、視聴者からのリクエストに応えて全アーティストが次々とZOOMに登場。ライブ直後にアーティストの生の声が聞けるというのは、大型フェスの収録映像ではよくあるが、ライブハウスのイベントとしてはかなり貴重な機会になったのではないだろうか。各アーティストも口々にライブの楽しさ、ライブハウスでやれる喜びを語り、充実感が伝わってきた。

本日のライブはアーカイブ視聴も可能なのでぜひチェックしよう。

また、IMALAB主宰の今村圭介から驚きの発表が。3月2日の夜も新宿LOFTのスケジュールが空いているとのことで、第2回「ライブが見たい!」イベントの開催が決定。生配信中に発表というサプライズは、まさにライブならでは。

10日でゼロからライブを立ち上げるという荒業を、連続してもう一度やるという、またまた前代未聞となる試み。今回の配信をリアルタイムで視聴した方はもちろん、視聴できなかった方もぜひ次回の「ライブが見たい!」を体感してほしい。配信ライブでもドキドキできる、そんな瞬間が待っているに違いない。


■GREED FIVE EGG'S/NIYOCO/伏見◎Project/きゃない/meiyo/THE 革命キラ獣(2枚目、3枚目) photo by Megumi Kato(@meg_livephoto__)
■THE 革命キラ獣(1枚目) photo by ai.(@123a_17)
■flyer design by ヒグチキヨ(@SHR_oom)
■text by ほしのん(@hoshino2009)


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