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蟹座16度「手書きの巻き物を目の前にして広場の前にいる男」

マーク・エドモンド・ジョーンズの蟹座16度のサビアンシンボルは、A man before a square with a manuscript scroll before him.「手書きの巻き物を目の前にして広場の前にいる男」。 

ディーン・ルディアは、この蟹座16度のサビアンシンボルを、A man studying a mandala in front of him, with the help a very ancient book.「男がとても古い書物を頼りに、自分の前にあるマンダラを研究している」と言い換えました。

この蟹座16度のドデカテモリーは山羊座になりますが、まずジョーンズのほうのサビアンシンボルにおいては、 before a square 「広場の前に居る」ということが、山羊座を表わしていることになります。「広場」というのはシンボルとして、山羊座が象徴しているところの社会性を表わしていると考えられるので、ここでは、社会との接点を作ろうとしていると考えることができるのです。

また、もう一つのルディアのほうのサビアンシンボルにおいては、ドデカテモリー山羊座は、 with the help a very ancient book「とても古い書物を頼りに」という表現の中に見ることができます。山羊座というのは、古いことや古くから積み重ねられてきたものを、その象意として持っているサインであるのです。

また、このサビアンシンボルの16度という度数は、タロットの大アルカナの「16.タワー」のカードがそうであるように、「殻が打ち破られる」といった意味を持っている度数になります。

16度は、ドデカテモリー的に真向いにあるサインが流入するポイントであるわけなのですが、そのことによって入ってきた、今までとはある意味逆転した視点をどのように取り込んで行くのかが、この16度の課題となって行くわけです。

この蟹座16度においては、それまで心の中にあるものを大切にしてきた蟹座が、社会や歴史(山羊座の象意)を意識し始めたことがわかります。そのことによって、心の中だけに閉じこもらない蟹座への取り組みが始まることになるわけです。

ここには、おおもとに、世界は心が投影されたものなのだと感じている、蟹座の基本姿勢があることになります。心がブルーな時は、世界もブルーに染まります。蟹座においては、心と世界はひとつなのです。

しかし、この16度の蟹座は、社会を意識していますので、ここでは、その心の構造と社会のシステムとの、接点や共通点を探していることになります。

その心と社会のつながりを、「手書きの巻物」や「マンダラ」は、指し示してくれるに違いないと、あれや、これや、接点や共通点探しをやってみているようすがうかがえます。

これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、生活の場や社会の場で活かして行ける、自分に合ったマンダラを見つけて行くと良いということがわかります。

マンダラというのは、心や精神もふくめたすべての要素を統合した、精神的宇宙法則図のことを指します。心や精神の基本構造を示した、マトリクス(母体・基盤)ということもできるでしょう。

しかしながら、このサインが蟹座であることを考えると、それは、難しい抽象的な理論を扱ったものではなくて、もっとインナーチャイルド(蟹座の象意)に語って聞かせることができる、お話のようなものであることが考えられます。

たとえば、河合隼雄さんのたくさんの著書に取り上げらているように、古くから語り継がれてきた昔話や神話の中にも、これらの心を大切にしながらも、社会とのより良い結び付きを示す、叡智が詰まったお話はたくさんあります。

そこに描かれているのは、いっけん理不尽ともいえるような左脳的な理屈が通じないお話で、右脳や心や身体といった無意識の世界との関わりが描かれたものとなっているといえます。

つまり、ひとことでいうと、それらは「無意識の叡智」が描かれているおはなしということができるでしょう。

このように、ここに描かれている「手書きの巻物」や「マンダラ」とは、人の無意識の普遍性に触れたシンプルな精神的宇宙像で、古い時代からずっと変わることの無いものであることでしょう。


蟹座16度 今季洋