行ってみた中越国境の街、モンカイ(街中ぶらぶら編)
今回もまた行ってみたシリーズ。今日は中国とベトナムの国境都市、Móng Cái(モンカイ)のことを書こうと思います。モンカイ市はハノイから北東に約300km、クアンニン省の一都市で中国・広西壮族自治区の東興市と陸続きの国境都市です。
内容が多岐に渡りすぎると読みづらいと思いますので、noteはいくつかに分けて、今回は主にモンカイの街中、その国境都市の現在について書いてみたいと思います。どうやって行ったか、どうやって帰ってきたか、ホテルはどうだったかなどのロジ解説は追って別途noteにしたいと思います。
静まりかえる国境ゲート
モンカイの街、と言えば国境都市、国境都市といえば国境ゲートということで、まずは着くなり国境ゲートへ。ただタクシーの運転手さんも「えっ、何しに行くの?」感を強く漂わせます。国境を越えられないのはわかっていますが、写真だけでもと行ってみると、そこには衝撃の静けさがありました。
あまりに国境らしい活気が無いことに衝撃を受け、道端のお茶屋おじさんと話をすると「コロナ前は賑やかだったんだよ、でも中国側が国境を全く開けないからねえ」と寂しい様子を嘆きます。でも人は行き来できなくても物は動いているはずと聞いてみると「物流は違うゲートなんだよ」と。
バイクタクシーを走らせそこから5キロほど行くと、確かにありました。それでも賑やかとはいきませんが、トラックが多少往来していて、まあ少し国境っぽい感じが。このゲート(cửa khẩu cầu Bắc Luân II)はできてまだ日が浅いそうで、現在周辺に倉庫などを鋭意整備中な様子も見受けられました。
実は4月末まで約二ヶ月、中国各地でのロックダウンに呼応しモンカイでの通関がストップ。再開後も止められていた冷凍製品の輸入が許可され、モンカイから中国への輸出は、6月17日からようやく「正常化」。それでも中国側の感染対策は引き続き厳しく、トラックが少なめなのは無理もないのかもしれません。
連れて行ってくれたバイクタクシーのおじちゃんも、「オレもコロナ前までは中国から自転車仕入れて売ってたんだ。でも行き来ができなくて、今はバイクタクシーやってるんだ」と。物流ゲートを(正式に)使うような大型貿易でなく、人の行き来に付随した大量の(時に非公式な)個人輸出入が止まることで、物流もかなりの部分止まってるんだと言うことが窺えます。
寂しげ、でも長閑な街中
街中に戻ると、夜が暮れるにつれて人の動きはそれなりに。まあ長閑な地方都市といった雰囲気。でもタクシーの運転手さん曰く「コロナ前は24時間賑やかな不夜城状態だったよ、でも今はねえ…」と寂しそう。
歩行者天国ではミルクティーが売ってたり、中国製の靴や衣料品、おもちゃが露店で売られているところに、国境都市っぽい雰囲気を少し残します。でも、写真だけだと何処のベトナム地方都市かなぁと思うかもしれませんね。
夜はそれなりの活気はあるも、やはり街並、建物、道路の大きさに比べて人が少ない感じがします。対中貿易で膨らんだ経済に合わせて諸々投資したら、中国人来なくなって持て余してる、と言う雰囲気をヒシヒシと感じます。
いなくなった中国人
中国料理はあるのかなと聞くと「昔は中国人経営の店も沢山あったけど、今は少ないねえ。そもそもコロナ期間中に中国人はパスポート、ビザ厳しくチェックされて、滞在期限切れたら皆中国に帰されちゃったからねえ。街には中国人ほとんどいないよ」と。確かに滞在中に街で中国語を聞くことは皆無、自分が店に入るとベトナム人の店員が嬉しそうに「你好!あっ、日本人か」と声をかけてくる程、外国人自体が少ない感じです。
市内のカジノがあるホテルの周りは、カジノ客を相手にした中華レストランが立ち並んでいたが「今は漢字が残っているだけで、料理は皆ベトナム人がやっているよ」と。
街の中心にあるモンカイ市場は、中の店子もかなりの部分が中国人だったそうだが、今は閑散としています。シャッター閉まってる店子の名前には、中国人の名前が目立ちました。
まだコロナ禍に向かい合うモンカイ
ベトナムは今どこに行っても「コロナ?まだあったっけ?」というくらいの経済回復ぶり。海外はまだ敷居が高い面もありますが、国内観光客はすごい勢いで増えており、モンカイ市と同じクアンニン省ハロン市では、ホテルがとれないほどの観光盛況ぶり。
そんな中、同じベトナム国内であるモンカイの人々からは、国境貿易と大量の人の国境往来で潤う、コロナ前を懐かしむ声が多く聞かれました。ベトナムが力強くコロナから経済回復する中、中国の隣という地理的宿命からゼロコロナの影響避けられないこの街では、まだコロナとの闘いが終わらない。その難しさを強く感じた、モンカイの夜でした。
11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。